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僕とは?

いつからだろうか。人間というものが嫌いになったのは。

いつからだろうか。自分のことも嫌いになってしまったのは。

―君ハ優シスギル―

ガキの頃はよかった。何でもできるという全能感で溢れていた。

―ダカラ皆ヲ苦シメルンダ―

遅すぎた後悔は、何も、生まない。うまれない。

気付かなかった気持ちは、道にいるアリンコのように踏みつぶしてしまった。

―私タチハコレッキリ二シヨウ―

だから、僕は、他人と関わるのを辞めた。

はずだった。

―君ハ、マタ、後悔スルコトニナッテシマウヨ―



―キーンコーンカーンコーン―


聞きなれた学校のチャイムは、ようやく今日のひと段落の雰囲気を作る。

今日どっか寄る~?

スタバ行こ~

ゲーセン寄らね?

すまん!部活あるんだ!

聞きなれたクラスメイト達の会話は、何時もの如く、楽しげだ。

そんな僕は……というと、既に高校に入ってから一年と一カ月経っているのにも関わらず、友達がいない、所謂『ぼっち』という存在だ。

いや、僕の尊厳のために、自尊心のために、念の為訂正しておこう。

友達は……いる。が、その友達は自分より仲の良い友達がいる。

*結局のところ『ぼっち』では?*

いいや!違う!『ぼっち』というのは……友達がいない人のことを指すので…は……?

疑問形になってから気が付いた。

向こう側が僕のことを友達と思っているのか?

しかし、相手に「僕のこと、友達だと思っていますか?」って聞いてみろ!絶対にめんどくさい奴だと思われる!

くっそ……友達がいる奴らも会話を聞いているとネガティブな思考に陥ってしまう!

こんなところから離れるかのように、僕は教室を後にしようとドアに手を掛けた時……。

―ダァン!!―

掛けたのとは反対側のドアが思い切り開けられ……。

ピシッという、指の骨が砕けるかのような幻聴が聞こえた。

「ぃだああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

僕の絶叫は、学校中に響き渡っただろう。


「あー!ごめんね~!指大丈夫~!?」

犯人は、クラスで一番イケている…所謂女子たちのリーダー的存在……『雪代(ゆきしろ) 萌香(もえか)』であった。

「お……お構いなく……。」

くっ……痛すぎて自分がどんな表情をしているかわからないっ!

「じゃあ……僕は……帰るので……。」

「ダメだよ!!」

放たれた声は耳を劈くかのような声音……。

あー……キーンという耳鳴りが聞こえるー……。


結局、雪代に引っ張られるがままに保健室へと向かった。


「よっし!これで大丈夫かな!」

「勝手に湿布とか使っても大丈夫だったんですか?」

「えー?いいのいいの!どうせバレないし!」

雪代は、湿布やテーピングのゴミなどを片付けている。

その間に、巻かれた指をじっと見る。

「これ……巻き方上手いですね。」

ガッチリと巻かれた指を軽く振りながら話しかける。

「まーね。そりゃ、マネージャーやってるし。」

「そうなんですか。」

……。

……。

沈黙が重いっ!!

「じゃ……じゃあ僕帰りますので!湿布とテーピング!ありがとうございました!」

そう言ってドアに手を掛け、この場から離れようとした。が、ドアが開かない。

「ねぇ……この後、予定……ないよね?」

僕に話しかける女子高校生は、悪魔のような、笑みを浮かべていた。

幸せとはなんだろうか?

これをテーマとした小説を自分は書きたい。(えが)きたい。

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