図書館に置きたい本
今回は疲れておりませんw
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「何を言っている?図書館に作り話を置いて何になるというのだ。」
「全く持って下らない。図書館には金をかけているのだよ?
何の価値も無い作り話を置いて何になる。」
「歴史書からは過去が学べる。
学術書からは技術や思想が学べる。
作り話から学べるものは何だ?何が学べる?」
「分かり易さ――、ですかね。」
「何?」
「図書館は学ぶ場所、故に最も優れた本こそが相応しい。
素晴らしい事だと思います。大賢者が生涯を費やして得た学識、それが皆の手の届くところにある。そこから得られる知見はさぞ価値のある事でしょう。
私もその事に異論など有りません。
ですが、それらを手に取り価値の判る者は一握り。
それこそ将来の大賢者に限られるでしょう。」
「貴様、それでは図書館に価値が無いと言いたいのか?」
「いいえ?図書館に並ぶ本が一つであれば、そうなるでしょう。
ですが図書館は一冊の本を並べる場所ではありません。
学術書が在り、歴史書が在り、中には礼儀作法の教本、或いは法律書もあるかも知れません。」
「裾野は広ければ広いほど良く、数多の分野が一堂に会する。
独りでは買い揃えられぬ知識が、大勢が訪れる事で数多の人々の望む多種多様な知識がそこへ行けば揃っている。
それこそが図書館の価値、それは間違いなく素晴らしいものでしょう。」
「ですが。全ての書物が天才だけしか読めないとのであれば、流石に片手落ちだと言わざるを得ません。
天才であれば図書館に立ち寄らずとも、己の才覚で臨む本が買える筈。
図書館は、買えぬ者に知恵を与える事に真価が在ります。」
「そして、本を買えぬ者が天才の書物に手を伸ばすか。
それは極一部の例外を除き、否。と言わざるを得ません。
何故なら彼らはその価値を知りません。これから学ぶからです。」
「それは例えるなら塔の様なものでしょう。
彼らは最上階に最も優れた本があるとは思わない。
何故なら知らないからです。目にする事が、理解する事が出来ないからです。」
「故に、入門書という名の梯子が必要となる。
読むための基礎知識、前提となる知恵。それらを記載した本があれば理解はより捗るでしょう。
では、子供は梯子を上れるのか。否。文字を知らなければ読む事も出来ない。
ならば文字を知らぬ者に如何にして梯子を上らせるか。
上に興味を抱かせるか。」
「そこに、作り話という価値があるのです。
楽しい話、下らない話、只の醜聞。ですが、そこに興味という価値がある。
文字を理解するに足る、踏み台がある。」
「詰まり。作り話とは、分かり易さ。
学問への好奇心を学べるのです。」
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「――それで?これは何のお話なのでしょうか。」
「強いて言うなら、プレゼンです。
『作り話にどの様な価値を見出すか』という問いに、私なりに答えを出して相手を説得する話を作ってみました。」
「それ、楽しいんですか?」
「それなりなら。やはりプレゼンには、ぐぅと唸って下さる方が必要ですね。」
「そうすれば達成感が得られる?」
「そうですね。特にやり込めるお話であれば、悔しがるなり納得して下さるなりの反応が見たいものです。」
「ですので、ここは一つ分かり易い形でお茶を濁す事に致しましょう。」
「ほぅ?」
「これは、例え話なのですが――。」
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何が言いたいのかと問われれば。
まぁお気に入りの漫画に六巻目が出たので読み終えての、衝動的なファンレターめいた何かですw
また完とは書いてないので、もしかしたら続きが出るかもと期待して、またヤキモキしてしまうでしょうw
そして台詞だけで構成されているのも作為ですw
この後書きを含め、表情を想像する楽しみを味わって頂ければ幸いです。
以下完結作品。
ガラクタの学園https://ncode.syosetu.com/n5215gu/
炯目の刺繍鳥https://ncode.syosetu.com/n2229if/
他短編作品などもありますので、興味があればそちらもお楽しみいただければ幸いです。
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