1 こちら転生先相談ハローワーク第五日本支部です
591 名前:29歳ガチニート ◆NEET.29abc 2021/01/1 (金) 00:00:02.23
あけおめ
今年で俺も30か
そしてニート歴10年目でもある記念すべき年や
今かーちゃんが年越しそば作ってるで
610 名前:風吹かない名無し 2021/01/1(金) 00:01:55.56
>>591
高卒ニートでこどおじは草
620 名前:29歳ガチニート ◆NEET.29abc 2021/01/1 (金) 00:03:12.00
>>610
にわか乙
中卒ニートやぞ
629 名前:風吹かない名無し 2021/01/1 (金) 00:05:22.10
>>620
誰もお前みたいな無名コテハン知らんのや
悔しかったら新年の抱負言うてみい
640 名前:29歳ガチニート ◆NEET.29abc 2021/01/1(金)00:09:01.40
>>629
新参乙
俺二年前から毎日はりついてるぞ
新年の抱負とか200000個あるわ
まずひとつ「今年も親から毎月二万小遣い貰う」
645 名前:風吹かない名無し2021/01/1 (金) 00:10:49.91
>>640
そこは値上げ要求やろ……
648 名前:風吹かない名無し2021/01/1 (金) 00:11:54.33
>>640
ソシャゲに課金して小遣い一日で溶かしてそう
699 名前:風吹かない名無し 2021/01/1 (金)00:20:09.14
ガチニートの抱負、一個目で終わってて草
まあガチニートだからしょうがないかw
780 名前:風吹かない名無し2021/01/1 (金) 00:33:13.28
>>640
30分音沙汰ないけど
新年早々親からこどおじ狩りにあったか? w
911 名前:風吹かない名無し 2021/01/1 (金) 00:59:40.02
ガチニート、スレから消えてて草
パソコンの前で死んでんじゃね? w
989 名前:風吹かない名無し 2021/01/1 (金) 01:12:56.05
ガチニートが一個抱負発表しただけでスレ終わりそう
しょーもないこいつの人生みたいなスレッドだなw
1001 2021/01/1 (金) 01:14:45.23
このスレッドは1000を超えました。
新しいスレッドを立ててください。
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「はーい、次九十八番の転生予定者さん、三番窓口までどうぞー!」
――……あ?
津久井志信は、その時自分が眠りから覚めたのだと一瞬思った。
しまった、せっかく大晦日だっていうのに寝落ちしちまったか、と。
せっかく親の目も気にせず全国で夜更かしが許されてるお祭りの日だっていうのに、やれやれ深酒しすぎたか、と。
だが、どうやらそうじゃないらしい。
志信の体はパイプイスの上にあった。
目をこすりながら周囲を見渡すと、整然と並んだパイプイスに自分と同じように数十名ほどの人が座っている。役所の待合室のような内観の場所だ。
こんなところに自分が今いることに全く身に覚えもない。と、いうことは、結論はたやすい。
「なるほど、夢の中ってことね」
ついさっき二〇二一年の新年があけて、ネットの掲示板に書き込みをしていたことまでは覚えている。
たしか新年の抱負で面白いこと書こうとしていたところだった。どうやらネタを考えているうちにイスの上で寝落ちしてしまったようだ。
――それにしても、不愉快な夢だな……。
思わず志信は顔をしかめる。
見覚えがある場所に自分がいたからだ。
そう、ここはまるで公共職業安定所――いわゆるハローワークそっくりではないか。
長年ニートで実家暮らしをしている志信も、もちろん何とか定職に就こうとこういう場所に足しげく通っていた時代がある。今となっては遠い昔のことだが。
「九十八番の転生予定者さーん! 三番窓口までどうぞー!」
さっきから同じ声で同じ言葉が聞こえてくるな、と志信は声のした方を見やった。
アクリル板で仕切られた受付っぽい窓口で、若い女性職員が身を乗り出してこちらを見ている。
目が合って、反射的に志信は目を伏せた。伏せた先に、自分の手に、「98」と書かれた紙きれが握られていた。
――俺!? 俺を呼んでんの!?
こういう、人が大勢いる場所に自分がいること自体久しぶりだったので一瞬面食らってしまったが、なに、これはただの夢だ。ちょっとばかしリアルな夢。
夢なんだから自分が主役なのは当たり前だし、ここで自分の名前が呼ばれるのも当然といえば当然だ。
「九十八番、津久井志信さんですね。こちらへどうぞ」
三番窓口まで足を運ぶと、椅子に座るよう女性職員に促された。
志信は言われるがままそこへ座り、アクリル板越しに女性職員と向かい合った。
「えー、津久井さんの死因は脳卒中と。西暦二〇二一年一月一日、午前零時二十二分に脳死してますね」
――出し抜けに何を言い出すかと思えば。
いくら夢とはいえ、志信は文句を言いたくなった。こんな不吉な初夢は御免である。
「ははあ。資料に目を通す限り、十年くらい前から大分不摂生な生活してるようですもんね……。これでは突然死しても文句は言えませんね」
「いや、あの、俺、死んでる設定なんですか? 死後の世界の夢?」
なんだか夢にしては言葉や風景の色がはっきり感じられる。
少し不気味に思い始めた志信だったが、それに対して若い女性職員はにっこり微笑んだ。
「死後の世界っていうのは合ってますね。夢ではないですけど。
まあ大半の方が言葉で言っても理解されないんで、我々職員はちょっとした魔法を使うことを許可されてます。――では、ちょっと失礼しますね」
女性職員は微笑んだまま、パチンと指を鳴らした。
その音は鼓膜を突き抜けるように鮮明に響き、志信の脳細胞を駆け巡ってバチバチと弾けた。
そうして、一瞬白目を剥いた後、志信は理解した。なぜだか、理解してしまった。
――あ、ここ夢じゃねえ。
――俺、死んだらしい――。
「改めまして、ようこそ。転生先相談ハローワーク第五日本支部へ。津久井さんを担当させていただく、シュピノ・レビルスと申します。あなたに相応しい転生プランを多数ご用意しておりますよ」
シュピノと名乗った女性は、オレンジ色の髪を真っすぐ肩に伸ばした、若くフレッシュな印象の女性だった。首には金色の懐中時計がぶらさがっている。
「……俺、死んだんスか……」
「はいっ。急死でしたね〜。さっきも言いましたが、不摂生の極みです。
大晦日でテンション上がって血圧が上がってたのも一因ですね。あと日本酒七合は酩酊レベルでした。パソコンの前でキーボードに頭激突する形で気失って、そのまま脳卒中でご逝去です」
事細かに志信の死の状況を説明するシュピノ。
先ほどの「魔法」の効果とやらもあってなのか、もはや志信に自分の死を疑う気カはなかった。
――まあ、元からほとんど未練なんてないけどな……。
「……それで、死んだ俺はどうなるんですか? まさか地獄とか天国とか本当にあったり? 生前の行いで行先が変わるんですか?」
嫌な予感が背筋を巡る。生前の行いとやらがこの先に加味されるのならば、自分は間違いなく地獄行きだ。
「うーん、当たらずとも遠からず、と言いますか。先ほども申したように、ここは転生先相談ハローワークです。
ご自分の生前の『徳』によって紹介できる転生先は限られてはしまいますが、どんな死に方でも死者は必ずこの転生ハロワに来ていただいて、次の人生を歩んでもらってます」
「……え。つまり、俺、生まれ変われるってことですか?」
「はい。どんな人でも。日本でも、世界中でも。
ここは日本支部の一つですが、全人類、死んだら全国にあるこの転生ハロワに赴くことになってます。何回死んでも何回でもここへやってきます。
簡単に言うと、人は百パー転生できるんで、ある意味で不死身といえるんですねー。あ、もちろん転生の際の諸々の手続きで転生後は転生前の記憶を一切失ってますからね」
……確かに、かつて自分に転生する前の何者かの人生があったとして、志信に前世とやらの記憶はない。そもそもそんなものがあると思って生きてきたわけがない。
――だが、なかなかどうして……これは……。
胸が躍るじゃあないか。三十路でこども部屋おじさんやってたクソのような人生とおさらばできただけでなく、このシュピノとかいう職員が新しい転生先を斡旋してくれるってことだろう?
まさか死んだ後にこんなオチが待っていようとは。
「転生プランは様々なものがございます。年齢や性別はもちろん、生まれる場所や環境、能力もある程度選択可です。
もちろん地球だけじゃなくて、異世界プランも大人気ですよ。異世界の場合は世界観が独特だったりするんで、自由度が高いのが利点ですね。どうしても地球のような法整備が施された歴史の長い場所ですと、0歳からのプランを選んでもらうしか――」
「ちょっと待った! いま異世界って言いました!? それ地球以外の別の星ってこと!?」
思わず志信は身を乗り出した。
「ふふ。皆さん同じ反応をされますね。そうですよ。この転生ハロワ日本支部では約三千の異世界を転生先としてご用意してあります。
津久井さんの前世は地球ですね。地球は歴史もあって平和な世界なんで転生先としては大人気ですよ。ゲーム、といった独特の文化も発展していますし、剣や魔法、異世界への妄想や探求も他世界に類を見ません。
それゆえ、地球は転生先としてはかなりの高倍率なんで……」
シュピノは顔を曇らせたが、志信にはどうでもよかった。
異世界への転生が可能だっていうのに、どこの誰がまた同じ世界に転生希望するっていうのだ。
「剣とか魔法の世界があるんですよね!? ゲームみたいな世界とか! スキルとかレベルとかあったり! そういう異世界を紹介してください!」
表情を輝かせてぐいぐい詰め寄る志信に対して、やはりシュピノは顔を曇らせたままだった。
う〜ん、と困ったように苦笑しながら、手元の分厚いファイルをめくっている。
「最初に言ったんですけど、ここ、あくまでハローワークなんで。生前の『徳』がご自分の学歴だと思ってくださいね……」
「……俺の『徳』が学歴、だって?」
「正直……いや私も申し上げにくいんですが……津久井さんにはFランク、良くてEランクの転生先しかご案内ができません。
自堕落な前世だった津久井さんには、Fランクのこの転生先が比較的性に合っているかと……」
そう言って、シュピノは開いたファイルのページを志信に差し出した。
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(※自動日本語翻訳・地球基準単位翻訳対応済み情報)
ランク【F】固有世界名 〝快灰の星・メイプレイル〟
■基本情報
所属:宇宙外世界・内角群・日本支部管轄
基本基準安全度:B
支配種族:人型
文明レベル:C
資源レベル:E
異能レベル:なし
■転生情報
種族:眠り人
性別:男性
年齢:30歳
容姿:E
性格:E
財力:E
■概要
前時代の世界大戦の影響で滅びるまであと100年以内と目されている星。
そのため世界統合府により低所得の人型種族は特殊な薬品で強制的に眠らされており、彼らは「眠り人」と呼ばれる。
眠り人は一年に一回覚醒するが、まばたきをした途端にまた眠りに落ちる。消費も生産も行わない無価値の存在として一定の人道を守りつつ結果的には廃棄している。
眠り人たちは薬品の副作用で悪夢を見ることが多いとされ、眠り人はただなにもせず、悪夢の中をさまよう。
基本的になにもする必要がないため、生きる気力のない者へはオススメの転生先。
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目を見開く志信に対し、シュピノは「あ、あはは……」と気まずそうに笑っていた。
数ある作品の中、当作品をここまで読んでいただきありがとうございました!
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※書き溜めがあるのでしばらく更新速度早めで更新していきます。