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第12話(累計・第93話) クーリャ85:いよいよ出陣! めざせ、西方エルフ大公国。

「では、行ってきます。お父様、お母様はお身体にお気を付けて下さいませ」


「クーリャ。今回は他所のお子様も一緒だ。くれぐれも無理はせずに、全員無事に帰ってきなさい。これは絶対命令だよ」


「わたくしの可愛いクーリャ。貴方は自分を大事にしないので心配なの。貴方の事を心配している人の事を絶対に忘れたりしないで……」


「おねーさまぁ。はやくかえってきてねぇ!」


 わたし達は、両親や弟に見送られて朝の砦から出発する。

 今回は、テストゥード号でも数日はかかる遠方、西方エルフ大公国への移動。

 途中、王都にも寄り学院長先生にも会う予定だ。


「アタイ、ドワーフ王国でも都の外は殆ど出た事無いから、こうやって車内から見る風景も楽しいの!」


「ボクは馬車でいろんな国を流れてきたけど、この自動車は快適だよね。それに早いし、強いってのがサイコー! クーリャちゃん、いつかボク専用の自動車を作ってね」


「そうですわね。学院二年生くらいまでには余裕が出ますから、その時にはお2人に専用車を作りますわ。この先、機動性は大事になりますものね」


 まだ、陸上物流は馬車やロバ、牛等による荷馬車が主流。

 なので、街道も石畳があれば上等。

 王国内、王都へ向かう街道は比較的整備はされているが、王都から離れるほどに石畳は無く、荒れて穴だらけにもなったり、盗賊や野獣、モンスターが出たりする。

 わたしのテストゥード号なら大抵問題は無いけれども、ずっと一台だけという訳にもいかないだろう。


 ……余裕が出たら、仲間達に一台ずつ作ってあげようかな? それに、いずれは戦車や自走砲も作らなきゃだし。


 おそらくアントニーの軍勢との闘いは砦を守る物になるだろうけれども、この先に野戦になることもあるかもしれない。

 そんな時には自走砲で遠距離攻撃力を持っていた方が有利に決まっている。


「この先、戦車なども作りますよぉ!」


 わたしは、気分よくアクセルを踏む。


「姫様、くれぐれも大人しい運転でお願いしますぅ。ここでは敵も居ませんし、街道を歩く方々を轢いてしまっては困ります」


 助手席で、顔を青くしてシートベルトにしがみつく先生。


「だいじょーぶです。今日は60キロ先の宿場町イーモラに到着すれば十分ですもの。ゆっくり行きますよ」


 王都までの街道、途中には大体30キロメートルごとに宿場町がある。

 前世世界江戸時代の東海道などでも、大体30から40キロメートルごとに宿場町があった。

 また「全ての道はローマに繋がる」ローマ帝国の街道も、大体軍隊が一日で移動できる距離ごとに宿場町が存在した。


 ……馬車でも、歩きでも一日移動距離は30キロくらい。その点、テストゥード号なら道さえ良ければ一日100キロは余裕だもん。60キロなら、らくしょー!


 今回、逗留する予定のイモーラは王都とウチを繋ぐ街道の中間点くらいにある大きな街。

 貴族が宿泊できる格調高い宿も存在する。


 ……わたしは、別にそこそこ以上の宿なら気にしないけどね。毛布や布団にノミ・ダニは嫌だけど。


 木賃宿や一階に酒場があるような冒険者宿も興味はあるけど、虫に喰われるのは勘弁してほしい。

 先生は熱風魔法を覚えていて、ベットの殺菌殺虫が出来るらしい。

 もちろん野営をする騎士、マスカーも同様に対応できるとか。


「では、お昼までに最初の宿場町オスマまで移動しますの。そこでお昼ご飯食べて休憩後、イモーラに移動します!」


  ◆ ◇ ◆ ◇


「では、エル様、ダニエラ様、クーリャ様。カティと共に荷下ろしと宿泊の準備を致しますので、しばしお待ちくださいませ」


 夕刻のイモーラ、予約をしていた宿舎に到着したわたし達。

 テストゥード号に繋いだ馬車(サスペンション付き)にゲッツと共に乗っていたアデーレさん。

 元気なカティを連れて高級宿舎の受付へと行く。

 その間、わたし達は玄関ホールに座り待っている。


「先生、大丈夫ですか? 出来るだけゆっくり運転しましたが……」


「ええ、クーリャ様。今回はドワーフ王国の時よりは楽です。氷で首筋を冷やしながらでしたし……」


「クーリャは、なんかハンドルを握ると性格変わるよーな気がするんだけど……」


「ダニエラ様、それは間違いなくです。俺も何回もクーリャ様の運転に付き合ってひどい目に会いましたから」


 ロビーのソファーに座り込んでしまった、青い顔の先生。

 わたしは、先生を心配して声を掛けるも、仲間達がわたくしの運転が荒いと文句を言う。


 ……よく見ると、ダニエラやエル君、ゲッツも半分ダウン状態なの。マスカーは、わたしの背後で警護してくれているけど、マスク越しでは顔色見えないし。


「えー、そうですか? うーむ。わたくし自身自覚は無いのですが??」


「姫様を守る騎士として意見具申するのはどうかと思いますが、加速と減速、更に軌道変更が極端でございます。そこが問題点かと」


 なんと、いつもわたしを崇拝してくれているマスカーにまで突っ込まれるわたしの運転。

 どうやらレーシングゲーム感覚で急加速・減速、急ハンドルをやらかしているらしい。


「マスカーにも言われるのでは、わたくしが悪いですね。事件が起きない限り、もっと大人しい運転しますぅ」


「あらあら。皆様、クーリャ様に辛辣ですね。ですが、素直に配下の意見を聞ける姫様も、ちゃんと意見具申できる配下も立派でございます。ダニエラ様、エルロンド様も参考になさってくださいませ。はい、しっかりしましょう!」


 ……可愛そうにダニエラ、ノビている時にアデーレさんに言われたくないよね。ホント、みんなゴメンね。


「ハンドルを握ると怖いのじゃな、クーリャ殿。そういう人は結構いるのじゃ。まあ、クーリャ殿は優しいからアオリ運転とかはしそうにもないのじゃが」


 一時期、アオリ運転からの暴行というのがマスコミをにぎわせましたものね。

 最近はドライブレコーダーがあるから、すぐに捕まるのにね。


「当たりやとかもまだいるらしいのじゃ。注意してもしすぎる事はないのじゃ!」


 ですね、チエちゃん。

 では、明日の更新をお楽しみに。

 明日は王都の学院へ行きます!


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