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爆裂令嬢(ボンバーガール)は、あきらめない~科学チートで乙女ゲームを攻略するの! アタシを追放した悪徳貴族は後悔しても、もう遅い!!~  作者: GOM
第3章 エルフ大公国を襲う悪意!

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第6話(累計・第87話) クーリャ79:勉学は大事。領内教育を考えるわたし!

 わたしは、今日も勉強はしつつも、新しい物を作るアイデアを考えている。


「先生、これで答え合ってますか?」


「ダニエラ様。そうですねぇ……。はい、大体正解ですが、惜しくも、ここが間違っています。計算する際に桁間違えなさってますね」


「先生。ボクも出来ましたぁ!」


「エルロンド様は、……。はい、全問正解です。クーリャ様は、……。また、何か別の事を考えていらっしゃいますね。確かに全問正解ですが、問題用紙の計算欄に何か落書きが見えますの」


「え、えっとぉ。そろそろエル君のお国を救いに行きたいので、それまでに装備の準備を考えていましたの」


 わたし、今更、五桁の四則計算くらいでは間違うはずも無い。

 こと、お姉ちゃんの手抜きでアラビア数字と記号が同じなら、暗算レベルだ。


 ……と言っても、三角関数とか微積分の難しいのを言われたら少々困っちゃうけどね。アタシ、高等数学が苦手だったから物理じゃなくて化学に逃げたもん。


「それも大事ですが、今は勉強中ですの。前世で高等教育を受けられたクーリャ様には簡単かも知れませんが、これがこの世界の普通ですもの」


 この世界、まだ識字率も高くなく、江戸時代の寺子屋的なものも存在しない。

 わたしに仕えてくれているカティでも、去年までは文章を読むのが苦手だったくらいだし。


「うーん。これは近日中に領内に『寺子屋』、簡単な教育を行う施設を作るのを考えた方が良いかもです。文章で書かれたお触れ書きを自分で読んでもらえるのと、人から聞くのでは情報の正確さも違いますし。ただ、先生が出来る方が少ないのも問題でしょうか?」


「神殿では、教育を行う施設もあるようですが、大きな神殿でないと神官が一人二人しか居ませんから、それは無理ですね。確かに、教育の大事さはわたくしも感じております。幼少期から教育を行えば、社会全体の底上げも出来ますね。そこはクーリャ様を見ていて思う次第ですわ」


 封建制度から民主政治への過渡期というのが、この世界の「設定」。

 主人公カトリーヌ様が、歴史の表舞台に出てきてからが本番。

 わたしと同級生になる彼女は、まだ王都の平民街でお母様のお手伝いをしてる事だろう。


「早く勉強始めた方が良いってのはアタイも同意だね。ドワーフ族は只人族よりは寿命長いっていっても、幼少期の時間はそう大幅には違わないし。だったら、大人になる前に早く勉強したいよ。アタイ、早くクーリャが言っている事理解したいもん」


「若いうちの勉強が大事だってのは分かるよ。でもね、ボクが大人になるころには、クーリャちゃんは間違いなく居なくなってる……。それにダニエラちゃんでも、ボクより先に居なくなっちゃう。ボク、寂しいよぉ」


 大人になるって話で、エル君は涙をこぼす。

 ハイエルフの血を継ぐエル君は、おそらく誰よりも長く生きる。

 大人になるまでには、まだ100年は必要。

 100年後では、わたしが生きている可能性は低い。

 ドワーフ族のダニエラでも人生後半戦だろう。


 ……一人世界に残されるのって寂しいよね。誰も彼もが先にこの世から去っちゃって、自分だけが一切姿を変えないのは。


 もしかしたら、エルフ族の方々が他種族とあまり触れ合わないのは、未来に訪れる永久の別れや、その後に襲い来る寂しさを感じたくないからなのかもしれない。


「それはしょうがない事ですわ。天命だけはどうしようもありませんもの。でも、だからこそ一緒にいる時間を大事にしましょう、エル君。あ、先に言いますがセクハラは禁止です。握手してあげますから、それで我慢してね」


「アタイも握手しよう! アタイ達は、ずっ友! ダチだよ」


「うん、ありがとうね、クーリャちゃん、ダニエラちゃん!」


 なお、この後お約束としてエル君がわたし達2人に抱きつきにきたので、蹴りが飛んだとさ。

 おしまい。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ついに完成しましたのね、反射炉が」


 数日後、工房を訪れたわたし達の前に、耐火レンガと鉄筋コンクリートで作られた反射炉がある。


 ……農業アイドルのテレビ番組見てて良かったの! これで鋳造用の鉄が大量に手に入るの!


 ドワーフ王国からの金属素材輸入の目途が立ったとはいえ、特殊加工はこちらでやりたい。

 こと、今後作るであろう大砲の砲身に使う鋳鉄と製法に関しては、いかな友好国であるドワーフ王国でも簡単には渡せない。


 ……まあ、ゲッツやゴットホルトさんが一緒に開発に関係しているから、今更だけどね。無煙火薬に関しては、完全にわたしだけの秘密だし。


「クーリャ様、後は俺に任せておけ。攪拌(パドル)法は、母国でもやっていたからな。クーリャ様は、安心してエル坊の国を救ってこいや。ゲッツ、ダニエラ様、エル坊を頼むぞ」


「はい、師匠。あれ? 師匠にダニエラ様がエルフ国へ行くって話をしましたっけ? 俺も聞いてませんが」


「そんなのまだ誰にも言っていないから、知らなくても変じゃないぞ。アタイも今からお父ちゃんや男爵様に許可貰うんだからね」


 ゴットホルトさんは、当たり前のようにダニエラが、わたしと一緒にエルフ大公国へと行くつもりだという。


 ……そりゃ、わたしも当然ダニエラがついてくるとは思っていたけどね。


「では、ちゃんと準備しまして、完全勝利を目指しましょう!」

「おー!」


「内政ターンも、そろそろお終いじゃな。じゃが、着々とクーリャ殿の計画が進んでおるのじゃな」


 ええ、大量の高性能な鋳鉄を手に入れる事で、工業プラント建設が可能になりますからね。

 蒸気機関、そしてハーバ・ボッシュプラント。

 これらが揃えば、後は富国強兵です。


「問題は、石油が発見されておらぬ事じゃな。石油化学は、科学技術の進歩や高度文明化には必須なのじゃ。これは、今後の課題かや?」


 そうですね、チエちゃん。

 石炭はモデル地域のヨーロッパでも多く産出されますが、石油は採掘するのが、時代的に難しいです。

 石油が地面から湧いているタール(ピット)とかは、ロシアやポーランドにはあるので、発見さえすれば使えるかもですね。


 では、明日の更新をお楽しみに!


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