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爆裂令嬢(ボンバーガール)は、あきらめない~科学チートで乙女ゲームを攻略するの! アタシを追放した悪徳貴族は後悔しても、もう遅い!!~  作者: GOM
第5章 クーリャの夏休み、一年生!

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第4話 (累計・第177話) クーリャ168:飛行機作り。まずは模型を作るの!

 ニシャヴァナ男爵領中央部にあるカルカソンヌ砦。

 砦の屋上に、今日わたし達は来ている。


「クーリャちゃん、ここ見晴らし良いね。農場とかが見渡せるの」


「将来は、ここを砲台にしようかなと思ってますの、カトリーヌちゃん」


 眼下には広大に広がる農場、放牧場。

 それを縫うように走り回るコンクリート製用水路、遠くには護岸工事中の川も見える。

 更には、近くの工場群から立ち上る水蒸気の雲も見える。


 ……順調に改革が進んでいるの。後は、自然破壊に注意しなきゃ!


 製紙業や製鉄をする関係で、木材伐採量は増えつつある。

 また、新たな耕地を求めて森も切り開かれている。


 しかし、国内ではマシな方とは言え降水量も少な目なニシャヴァナ男爵領では、伐採した木々の自然回復は多大な年月を必要とする。

 なので、今後の事も考え、伐採した後に杉、トウヒのような使いやすい木々だけでなく元の木々、ブナやモミを含めて植林をしている。


 ……確か前世ドイツでは原生林『黒い(シュバルツ)(ヴァルト)』を伐採しすぎて、再生に困っていたらしいの。わたし、同じ轍は踏まないよ!


 もちろん工場からの排水も活性汚泥や石灰を使って浄化、発生したメタンガスは化学合成の材料、汚泥は肥料としての活用を研究中だ。


 ……前世ではSDGsなんて言ってたけど、様は人間も自然の一部だって忘れなきゃ良いの!


 鉱山や製鉄排水の改善については、ダニエラ経由でドワーフ王国へ情報提供済み、しかしキリキア公爵領では以前通りの放置状態。

 だから、領民に健康被害やら農作被害も出ている。

 そのために、農地から逃げドワーフ王国との国境などで盗賊を行うものも居たり、ウチに逃げている人たちも多い。


 ……公爵様がウチを狙っているのも、領民が言うこと聞かずにウチへ逃げている逆恨みってのもあるのかもね。


「それで、今日は何をするのかい、クーリャちゃん?」

「この模型の飛行試験なのです!」


 わたしはエル君に聞かれて、自慢の飛行機模型を示す。


「クーリャ様。飛行機と言われましたが、まさかこれが空を飛ぶのですか?」


「はい、アナスタシヤ様。魔力モーターによるプロペラ機です」


 今回作ったのは、一般的には複葉機と呼ばれる機体。

 姿としては、前世日本帝国海軍の練習機、通称「赤とんぼ」に似た姿にしている。


 ……なんとなくで作ったけど、機体の大部分が木製で一部布製というのが作りやすいのよね。


「ふーん、羽が二重になっているのは意味があるの?」


「ええ、ダニエラ。これは複葉機といってスピードは早くないのですが、その分安定性が高いのです」


 わたしが複葉機を選んだ理由の一つが飛行安定性。

 実験機が墜落が嫌だから、色々考えた。


 ……問題は、どこまで飛ぶかなのよね。ラジコンみたいには操縦出来ないし。魔力を少な目にして、砦周辺を周回する様に飛んで、しばらく後に着地するようにするつもりなの。


「では、さっそく実験開始なの! モーター機動!」


 ブルンブルンとプロペラを回転させる「赤とんぼ」。

 そしてストッパーを外すと機体は前に進み、軽々と空に舞い上がった。


「あんなものが空を飛びましたわ。びっくりですの!」


「わらわ、空を飛びたくなったのじゃ!」


「鳥は羽を羽ばたいて飛ぶのに、飛行機は羽を回して飛ぶんだ! すっごいね、クーリャちゃん」


 あらかじめ尾翼を少し斜めにしているので、ゆっくりと砦の上空を旋回する「赤とんぼ」。

 その様子に、エカテリーナ様やクラーラちゃん、カトリーヌちゃんも飛行機から目が外せない。


「俺、また世界初の物つくっちまったんだな!」

「今度は俺との共同作業だけどな」


「姫様、とうとう空まで制覇なさったのですね。わたくし、姫様の進む先をもっと見たくなりました」

「ええ、自分も共に姫様を支えていきます!」


「空を飛ぶ機械、これは世界を大きく変えるな。はぁ、今まで以上にクーリャの守護が大変になったよ」


 ゲッツ、ゴットホルトさんは共に喜び合う。

 先生はマスカーと仲良く見ているし、お父様はあきれ顔。

 側仕え達もぽかんとした顔ばかりだ。


 ……さあ、もっと開発進めるの! 目指せ、ジェット機!


  ◆ ◇ ◆ ◇


「さあ、お勉強をしましょうね。クーリャ様、わたくしが来るまでに随分とさぼられてましたね。他の方々も同じですの。わたくしが担任をする以上、手加減はしませんですわ!」


「ひぃ。先生、少しは手加減できませんかあぁ?」


「いえいえ、クーリャ様。学業部門は良くても貴族のたしなみや礼儀作法関係は、まだ怪しいです。16歳になれば、皆様は社交界にデビューなさるのですから。アナスタシヤ様やエカテリーナ様を見本にして下さいませ。王族関係の方々もそうですよ。王族になれば、もっと大変です。ダニエラ様とクラーラ様は、もっと気品ある行いをお願いしますわ。エルロンド様はセクハラダメです。カトリーヌ様は魔法以外全部まだまだ。さあ皆様、夏期講習行きますよ!」


「はぁぁい……」


 開発は進むけど、まだまだ勉学に励まなければならないわたし達だった。


 ……社交界デビューなんて面倒くさいから、まだまだしたくないもん!


「今回は模型飛行機のテストじゃな。後は、領内の開発具合かや。クーリャ殿は森林伐採などの環境破壊に気を付けておるのじゃな。偉いのじゃ!」


 産業革命後、ドイツでは森が消失、ロンドンでは煤煙で呼吸器障害による病人が多数発生、日本でもイタイタイ病、水俣病などの産業由来の公害病が発生しました。

 それを知っているからこそ、クーリャちゃんは対策を考えている訳です。


「内政ターンでも物語は進んでおるのじゃな。今後の発展が楽しみなのじゃ!」


 では、チエちゃん、皆様。

 明日12時の更新をお楽しみに!

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[一言] 爆裂令嬢空を飛ぶ(まだ模型の試験ですが)
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