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双子獣人と不思議な魔導書  作者: 夜色シアン
第二幕・牙を穿て
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2-32太陽と月

一番早く夢から覚めていた双子達。

周りを見れば九尾とウォンが眠っているのだが、それを他所に上空から降りてきた二人は……

 ――九尾とウォンがまだ眠る中。二人の少女達は夢ではなく現実を目にしていた。


 いや、確かに少女達も夢を見ていた。が、先日夢に出てくるはずの親に会い、更には戦闘も繰り広げられた。故に夢と現実の差別が容易く直ぐに夢から覚める事ができたのだ。


「ふっしぎー!」


「すぐ目を覚ますなんて」


「予想外だね!」


「だねー」


 晴れた空に浮かぶ二人の影。そこから元気そうな女の声と、冷徹なほど凛とした女の声が響き渡る。


 いやそもそもここは室内だ。それも永遠と空は続いていないはず。なのにも関わらず夢から覚めてもなお塔の中は別空間と化している。


 ふっと二人の影から聞こえる女の声を他所に周りを見れば安らかに眠りすぎて死んだようにも見えるウォンと、顔を青く染めうなされ続ける九尾が横たわっている。


「あ、無駄だよー!」


「起こそうとしても目覚まさないから」


「そもそも起きないから!」


 寝ている九尾立ちを起こそうと手を伸ばすとまたも上空から声が響き渡ると、いつまでも上空に滞在しているのも失礼だと上空の少女達は漸く下へと降りてくるのだが、見たところ羽は生えていない。なにかの乗り物でも無いことからちょっとした魔法なのだろうとハティはすぐに気づく。


「あ、紹介が遅れたね!私はソール!」


 と降り立った一人の女。それも()()のようにギラギラと周囲の気温が熱くなるほど元気がよく、されども優しい橙のふわふわヘアーに、鮮やかなルビーレッドの瞳を持つ少女。


「ボクはマーニよろしく」


 一方でもう一人の女は()のように美しく凛とし大人しい高嶺の花の存在。さらにその雰囲気をより上げるためにと艶のある漆黒の長髪に、夜になりて咲き誇る星達がくっきり見える程、快晴夜空を永久的に眺めているような輝いた瞳を持つ少女。


 だが二人にはある共通点が存在していた。


「よ、よろしくお願いします……」


「よろしく〜」


「うん。よろしくね!ハティ、スコル」


「……え?なんで私達の名前……」


 それは二人とも何故か双子のことを知っていたということ。しかしそれ一つだけでは無い。まだ共通点が存在している。


「いやぁ……()()のこと聞いたよ!腕に傷をつけたんだってね!」


「驚きだよ。まさかあの先輩に傷を付けるなんてね。ボク達二人でも傷すらつけさせてくれなかったのに」


「せ、先輩……?腕に傷……」


「ハティ〜……多分……その二人エリスの……」


「ピンポンピンポン大せいか〜い!」


 目の前にいる少女達が先輩という人物がいち早くエリスではと勘づくスコル。だからこそ相方が死にかけた光景を思い出し、震えが止まらなくなる。もしも、目の前の少女達が騎士ではないなら、笑顔で大正解と叫んでいるのが嘘であるならと双子は何度も祈るが……


 いや、そもそも子供のなりをした少女達が騎士など務まるのか。本当は嘘ではないのか。


 そんな疑問が生まれるが次の瞬間ハティとスコルは耳を疑う言葉を、目を疑う光景を見ることとなる。


「ボク達は人の街(ミズガルズ)から派遣された騎士」


「先輩と同じ君達人を害する者を狩る騎士!って私達小さいからって油断してるでしょ!」


「嘘だとも思ってたりしてね」


「そんなこと思ってる人狼ちゃんはー……ボコっちゃうぞ☆」


「そんな軽い感じで言わないでください!?」


「でも油断してるとほら」


 と大人しそうなマーニがどこから取り出したのか一瞬にして小さなナイフを投げつける。それもハティの頬を少し裂くようにして飛んでくる。しかしかすり傷程度なのにも関わらず顔面を横に切り裂かれたようなとてつもない痛みがハティを襲う。


「あぁぁあっ!」


「ハティ!」


 その痛みに驚き、焦りと冷や汗、息ですら荒くなり視界がチラつく。更には視界がチラついたことで地面に手をついてしまう。そんな中、ナイフを投げたマーニは再びナイフを取り出すと切っ先をハティへと向け。


「本当に死んじゃうから。だからさ、そんな所で痛みに驚いてないでボク達を楽しませてよ」


「あ!ちなみにね!マーニの今のナイフには痛覚を数倍にする毒が塗られてるの!」


「ソール。それ言ったらダメだって……とりあえずさ、()()欲しかったらボク達と追いかけっこしてよ」


 と、ナイフをしまうと同時に白い本と氷のように冷たい林檎風な一つの木の実を見せびらかすように取り出して見せた。


 しかも手に収まる一つの木の実は、双子が探し求めていた氷獄の実である。


「それ……は!」


「そうだよ!これは弐の魔導書〈召喚(サモンズ)〉そして氷獄の実。どれも人狼ちゃんが探してる物……でしょ?」


「だから欲しかったら追いかけっこしてよ」

いつも読んでいただきありがとうございます。

第49話いかがでしたでしょうか?

これからもっともっと面白くなる(予定)です!

また必死に加筆修正中です!この機会に是非読み直してみましょう!


さてさて、次回ですが百合が入る予定です。お楽しみに!


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