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双子獣人と不思議な魔導書  作者: 夜色シアン
第二幕・牙を穿て
47/85

2-31白煉瓦の塔の上

氷獄の実の残る情報と、第二の魔導書サモンズを取りに白煉瓦(ハクレンガ)の塔へと足を踏み入れる少女達だが……

 暫くして二人の人狼と九尾、ウォンは白煉瓦(ハクレンガ)の塔に戻ってくる。


「案外でかいですね……」


 下から見上げるそれはまさに圧巻。天空の雲を貫いてしまうのではないかと思うほどに高い塔は、確かに遠くから見てもこの場所に街があると知らせれるようになっている。


 が、塗装されてるわけでもなく、ここ極寒の地(ニヴルヘイム)特有の、雪のように淡い色を持つ粘土を焼き作る天然色の白煉瓦(ハクレンガ)で作られており、白銀の世界に溶け込んでしまい遠くからはほぼ見えないに等しい。


 だというのにここの人達は直すことなど一切せず、建てられた当初からそのまま雪風に耐えずっと残っている。


 だからこそ、年代物のオーラと地上数百メートルの迫力で少女は驚いた。が、そのつかの間ギギギと錆びきった鉄が擦れる音と共に目の前にあった大きく重たそうな扉が開かれる。


 いや、開かれるというよりは、ウォンが硬い扉を強引に押し開いたのだ。


「行くぞ人狼」


「ハティ〜行くよ〜?」


「え、あ!はい!」


 未だ塔の頂を眺めているハティは出遅れながらも塔の内部に足を進めて行く。


 と、全員が塔の内部に入った途端。強引に開かれた重そうな扉が大きな音を立て閉じられる。周りには人などいなかったのにも関わらずだ。


 急な出来事ゆえに急いで扉を開けようとするが、ビクともしない。


 どうやら少女達四人は塔の内部に閉じ込められたようだ。


「ど、どうしましょう……」


「先に進むしかなさそうだね……と言っても塔だから登るしか……って塔ってこんなに大きかったかい……?」


 諦めて塔内部を進み、さっさと魔導書と氷獄の実を回収しようと改めて内部を見ると外から見た塔の大きさに合わない程、広い空間が広がっており、陽の光は当たらないはずなのにも関わらず太陽が強くその場を照らしていた。


 更にはぽかぽかと外の極寒の地(ニヴルヘイム)とは違い暖かく、雪もない。代わりに一面花畑である。


 しかしここは塔内部。太陽も当たらなければ極寒の地(ニヴルヘイム)の寒さで植物は凍えるはずである。


 なのにも関わらずその場は不思議とその常識を覆しているのだ。


「い、いえ……こんな広くはないですし窓とかは一切無かったと思いますが……それに外雪ばかりなのにここだけ春みたいにぽかぽかしてますし……」


「ハティ〜眠い〜」


 少女達は旅を始めてからまだ一度も睡眠を撮っていない。日が沈まぬ極寒の地(ニヴルヘイム)では夜がいつなのかなどわかるわけもなく、もう既に一日経過していることも知ることは無い。


 だが、だからこそ不思議とぽかぽかしたその場は眠気を誘う。


 獣人は獣と人のハーフ。ならば暖かな陽を受けると眠くなるのは仕方の無いことである。


「見たとこ周りに何も無いですから……寝ます?」


「まだ何があるかわからないんだ。そんな簡単に寝れるか!」


「でもほら……眠いのは確かですし、集中力切れたらすぐ寝ちゃいそうですから……特にスコルが」


 とハティが言った刹那。どこからともなく甘い匂いが漂い始める。それも初めて嗅ぐ匂い。しかしウォンはその匂いの正体を掴みつつ手を口に当てる。


 が、一歩遅かった。


 少女達が嗅いだ匂いは睡眠草の匂い。それらは匂いを嗅いだ者を眠りにつかせる花で有名で、嗅覚が鋭ければ鋭いほど効果が増す。


 まさに獣人の天敵とも言える草だ。


 とはいえ、数時間しか効果がない睡眠草の効果は条件が揃ってようやく現れる。それは匂いを嗅いだ者が目覚めてから丸一日寝ておらず、また身体が疲労困憊している状態である事の二つ。


 生憎、少女達は全員その条件を満たしており、九尾も直ぐに匂いに気づいたウォンも、何も知らないハティ、スコルも一斉にその場に倒れ深い夢の中に入り込んでしまった。



 ーーその様子を塔の上から眺めていた二人の人らしきモノは、仲良く息を揃えると。


「さあ」


「深いふかぁい夢の中に……」


「「ご招待〜!」」


 クスクスと企みの笑みを浮かべ、仲良く言葉を吐くとそのまま姿を消した。

46話を読んでいただきありがとうございます。

最後の方にでてきた謎の人物aとb

なんで塔の中にいるんでしょうね……


それはさておき(え)

次回のタイトル等はまだ未定です。

ひとつ言えるのは、人気な九尾をメインに話が進むかもしれないということです。お楽しみに!

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