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双子獣人と不思議な魔導書  作者: 夜色シアン
第二幕・牙を穿て
36/85

2-20振り返ると……

34話まで読んでいただきありがとうございます。

ハティとスコルの次にガルムが可愛いと思い始めた今日この頃です。

それはさておき、ロリBB……九尾が本気で?魔法を一から教え始める話となります。……って一から教えなきゃとか言ってたサッちゃんは……

あ、本ごと誘拐されてましたね

てなワケで、結局九尾が魔法のことを教える第35話開始です!

「何度もいうですが、ここは誰も通すなと言われてるです」


「だったらさっきのやつはなぜ入れた?」


「それは秘密だです。通行証が必要なんて言うはずねぇです」


「お前バカだろ……ま、そうとなれば一度戻るぞスコル」


 グニパヘリルを護るガルム。脅しかけても通ることはできないものの、彼女の口からそこを通る条件が漏れていた。


 しかし口が滑ってしまったことなど本人は自覚がなく、バカだと罵られても尚気づくことは無い。


「もう来んなですよ!この@'+♭(ピーー)!です!」


 そもそも戻りハティと九尾を連れて来なければならず、どっちみち戻らねばならない少女達。踵を返して来た道をゆっくりと戻っていく。が、去り際に下品な言葉がウォンの耳に突き抜け、再び踵を返す。ドスドスと言わせつつ、戻っていくとガルムの正面に立ち、漆黒の髪に隠れていた……いや、それも漆黒の髪だと思っていた垂れ耳を強く引っ張り、


「お前の耳としっぽを引きちぎってやろうか?あぁ?」


「怖いですよ!?痛いですよ!?辞めるですよ!?ぎぶですよぉぉ!?」


 ぎぎぎと千切れんばかりに横に耳を引っ張られる彼女は、慌ててウォンの腕を離そうとするがなにぶん力が強い。結局腕を離すことはできず痛さによる涙を目尻に溜め叫ぶ。


「わかればいいんだ」


「うぅ……耳痛い。です……」


 すぐに手を離すと、満足げに猪を担ぎ、耳の痛さに悶え蹲ったガルムなど気にもとめず、その場を去る。


 そこまで力づくでやるならば、通行証がなくとも通ることができるのではないだろうか?そんな疑問を持ちつつスコルもその場を後にする。


 後で少女が聞いた話だと、早く猪を食べたいだけだと確かに言ったそうだ。その他特別な理由はない。ならばと、ふわりとスカートで隠れたもふもふ尻尾を揺らすようにして、振り返るが、何故か冥府の門……グニパヘリルが()()()()()()()()()


「あれ?グニパヘリルが無くなってる〜?」


「チッ……そういう所は言わないのか……結局の所情報も集めないとだな」


 少女達は再び歩み始めたーー


 一方、ハティ達は。


「遅いですね」


「仕方ないだろう。入り組んだ道を進んでるんだからね。さて戻ってくる間に、魔法の勉強しようか。アンタはクソ女の血を引いてるんだ、一度で全て覚える覚悟で覚えな!」


 待てどもスコル達は未だ帰ってこず、本日2度目となる魔法練習が始まる。しかし、先程とは打って変わって彼女の気迫が違う。葉巻を取り出し吸う彼女もまた、本気で教えにかかっているのだろう。


「こ、こっちもスパルタ……」


「なんか言ったかい!?」


「い、いえ!」


「ならさっさとやるよ!まずは基本、詠唱のことだ。詠唱には三つ、いや四つの方法がある」


 と、幼い身体で葉巻を吸いつつ、杖替わりとなるキセルを取り出すと、


「一つは無詠唱。省略詠唱と似てるけど、全く別物さ」


 ふっと細い腕とちいさな手に握る杖を、高く持ち上げ振り下ろした瞬間、不思議な事に火の玉が現れ、ゆっくりと前へ飛んでいく。


 しかしその火は、どこに当たるわけでもなくただただ宙を舞い、雪を溶かしただけで役目が終わる。


 正にそれが無詠唱の〈(フレイム)〉なのだろう。


「この通り何も言わない分威力は弱めさ。まぁ、魔力量さえ調整できれば克服できるけどね」


「な、なるほど……」


「で二つ目。あんたがよくやってる想像して魔法名を言う省略詠唱。これは爆発させたあんたもよくわかってるね」


「す、すいません……」


 何故か嫌味にも聞こえるその言葉だが、少女は少女なりに反省しており、耳としっぽを垂れさせ申し訳なさそうな顔を浮かべる。


 しかし、九尾は一切気にすることなく、説明を続ける。


「省略詠唱は、魔法名を言うだけの詠唱。魔力量に左右されやすい場合があるけど、無詠唱よりは便利なものさ。そして三つ目。詠唱。魔力に左右されずに、魔法本来の力を出せる。ただそれだけだよ」


 説明しながら、キセルを前に突き出すと、〈(フレイム)〉の詠唱を行う。刹那、キセルの先端には暖をとった時と全く同じ〈(フレイム)〉が生まれ、まるで春の日差しのようにその場に暖かな熱を放ち始めた。


 今はただ聞くだけの、魔法勉強。長旅だったということもあり、暖かさで少女の意識が飛かける。しかし、次に九尾が発した言葉で、目を覚ますこととなった。


「そして、四つ目。これはあんたの親、フェンリルが編み出した詠唱だ。名前は錬詠唱(オーダー)。魔法を一から創り出す詠唱だ。とは言えフェンリル以外誰も成功した試しはないけどね」


錬詠唱(オーダー)……ですか……」


「やり方は教わってるんだけどねぇ……この私でも成功しないから、やるなら期待しない方がいいよ」


「なら是非、教えてください!」

35話を読んでいただきありがとうございます。


最後の最後で新ワード錬詠唱(オーダー)

一体どんな詠唱なのか、それは明日として、今回は少し小話を。


冥府の門と言われてるグニパヘリル。

実は洞窟の名前で、険しく切り立った岩に囲まれているんです。そこにガルムが縛られていていて番犬をしているのだとか。簡単に例えるならケルベロスが有名ですね。


さてはて、次回は明日。お楽しみに!


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