2-14Gibbous Moon Night③
28話まで読んでいただきありがとうございます。
後編を書いてようやく「Gibbous Moon Night」の正しい意味?を把握しました。正しくは「GibbousMoonNight」です。
さてそれは置いておきまして、29話の最後には百合シーンを書きました。苦手な方はご注意ください。
その日は満月が欠け始め、されども半月とは言い難いほど満ちた月が、夜空高く浮かぶ夜。
月は今も尚、世界の人々を、人狼である少女達も見守り続ける。
「考えをまとめろ……ですか」
「悩むねぇ〜」
少女達は現在獣人が集う家の二階の空き部屋を借り、窓から見える人の街と星空を眺め、夜風にあたる。
今後に関わる事のため、どうするか、いや少女達自身がどうしたいのか考え続けていた。
それよりもと、スコル。
「ハティ〜、そろそろしようよ〜」
「スコルさん。それどころじゃないんですよ?」
「でもでも〜私はハティと一緒にいれるならなんでもいいし〜。それに〜気分転換にもなると思うよ〜」
「スコルさんがしたいだけですよね!?」
ハティは我が妹でもあり、姉でもあるスコルの言葉に戸惑いを隠せない。
というのも、少女達は実の姉妹なのにも関わらず、まるで恋人のように互いを求める。しかし、ハティは恥ずかしいらしく、今でも尚スコルからの誘いに戸惑いを隠せないのだ。
「したいのは山々だよ〜。だってハティの事大好きだし〜!」
「それよりも!それよりもですね!?」
「でも〜ハティもどうするかなんて、一つしか思いつかないと思うよ〜」
スコルの言う通り、ハティは考え続けても、たった一つの答えしか導き出せていない。それをいとも簡単に当ててしまうとは流石双子だ。
双子が導き出した答えは、復讐。その為ならなんだってやってみせる決意の答え。だが少女達の復讐は、一部の人を敵に回すのと同じ事。ただでさえ人狼が疎まれる国にいるというのに、和解どころか更に嫌われ、疎まれる可能性がある。
その可能性が恐ろしく、ハティは答えをだせずにいる。
「確かに一つしかありません……ですが、復讐の為に動くと、お母さんの願いが叶えれない可能性も出てくるんですよ……そうなるとお母さんに合わせる顔がなくなりますし」
「ハティ……」
刹那、スコルはハティの手を、指と指を絡ませるようにしてぎゅっと握りしめーーその場に押し倒す。いつもは少し無邪気で不思議な雰囲気を出しているが、この時のスコルは今までにないほど綺麗で大人びていた。
「ハティはさ〜、難しく考えすぎなんだよ〜。確かにお母さんの事も大事だけどさ〜、もうちょっと姉であり妹でもある私を頼ってくれてもいいんじゃないかな〜」
いつになく真剣な眼差しで、少女は言う。その顔はずっと一緒に居るハティですら見たことない表情。故にハティはショート寸前だった思考を一時停止させ、
「スコルさん……確かにそうですね……意地を張りすぎました」
邪念を追い払うかの如く、短い溜息をつき、苦笑いで押し倒されたまま呟いた。が、次の瞬間、押し倒されたまま呟いた事に後悔することとなる。
「じゃあ早速しようよ〜!」
「何故ですか!?それとこれは全く別物ですよね!?」
「私はハティの成分でできてるんだよ〜だから人殺しだと思って〜」
「殺してどうするんですか!あぁもう!好きにしてください!」
押し倒されたままで、逃げる事もできなければ、手を繋がれ無理やり離すこともできない。ならばどうにでもなれと、いきなり初心に戻ったスコルに身を委ねることにしてしまう。
だが、ハティが逃げられないことをいい事に、口と口を重ね合わせる他、さほど育っていない胸部をーー
「ってちょっと待ってください!?そこまでいいとは言ってませんよ!?」
「好きにしてって言ったくせに〜?」
「言葉の綾です!」
「もう遅いも〜ん」
かぁぁぁっとさほど育っていない胸部を触られそうになり、顔を赤く染め、スコルを止めるものの、結局のところ無駄に終わってしまったようだ。
29話を読んでいただきありがとうございます。
これにてGibbous Moon Nightは終わりです。
次回「アクセル」は30話。
決意を決めた双子達は、九尾とウォンと共にユグドラシルの最北端に向かう!
勿論明日公開です。お楽しみに!