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双子獣人と不思議な魔導書  作者: 夜色シアン
第二幕・牙を穿て
23/85

2-7本来の姿

21話まで読んでいただきありがとうございます


今回はフォルネウスが大好きなあれがでてくる22話です

そしてかれこれ3週間……皆様、双子獣人と不思議な魔導書を読んでいただきありがとうございます!

「さて、腕輪が取れたからにはお礼をしなきゃだね。っとその前に私の本来の姿を見せよう」


「え?そのちっちゃくて~すご~く可愛い狐の姿が本来の姿じゃないの~?」


「へぇ?私の事そんな目で見てたのかい。流石はクソ女の子供だ。まぁいい……」


 フェンリルにも似たようなことを言われていたのだが、九尾は可愛いと言われるのが嫌いらしく、どこか言葉に怒りが篭もっているようだった。


 しかし怒りの篭った言葉の後に、短い溜息を吐いた瞬間、九尾が煙に包まれた。


「いやぁ本当に感謝だよ」


 煙はあっという間に晴れるのだが、そこには九尾の姿は無い……いや九尾はいる。いるのだが。彼女は人に……いや、ハティと同じ獣人になっていたのだ。それも金色に輝くようなふさっとした九本の尻尾とさらさらと触れ心地が良さそうな耳と長い髪。しかしそれに劣らない程綺麗な白く透き通った肌に、淡々と続く煌めく砂漠の瞳を持った裸の小さなーー


「子供!?」「えぇぇええ!?」


「そんなに驚くことかい?」


「いや、その前に服をですね!?」


「なんだい。女同士だってのに服を着てないのを気にしたのかいな。まだまだ子供だねこのガキ」


 ふんっと鼻で笑うと衣類を着ていないことなど気にせず、いつもの口調で話し始める。


 外見こそ子供だが、雰囲気は完全に大人。そこに葉巻があれば咥えてしまうのではーーなんて彼女達は思うと、ふわっとした尻尾の中から葉巻を取り出し器用に魔法で着火すると普通に吸い始めた。


「そ、その歳で葉巻は……」


「ダメとは言わせないよ。私はかれこれ数百年以上生きてるんだからね」


「いやでも、ビジュアル的にどうかと……」


「吸うか吸わないかなんて人の勝手さ。あんたらガキが文句を言うんじゃないよ……さて、約束通りあんたらのカバンの魔法を解いてやるよ。よこしな」


「あ、はい……」


 確かに葉巻を小さな体で吸うのは、傍から見れば問題になりかねない。しかし彼女の場合は合法であるため吸っても構わないが、やはり違和感を感じることは確かだ。その違和感を感じたハティとスコルが良い例である。


 だが、そんな事を毎回不思議に思っていても仕方なく、彼女はカバンを九尾に渡すことにする。


「契り交わせし魔法よ。汝の役目はここで終わりを迎える。早く術者へと返還されるがいい。〈天元返還(リキャスト)〉……これでよし」


「え!?もう!?」


「疑うならカバンの中みてみな」


 カバンを渡した途端、葉巻を咥えつつ短い詠唱を唱えるがこれといった変化はみられなかった。なのにも関わらず解除したというのだから疑うしかできない。かといって安易に信じ解けていなかった、なんて事はハティにとって最悪になる。故に恐る恐るカバンの中を覗き込むとカバンの中に幾つも展開していた魔法陣は全て消え去っており、カバンの素材の革布がハッキリと目視できた。


「ほ、本当に消えてる~」


「まだ仕上げしてないよ」


「仕上げ……ですか?」


「そうだ。妖狐の鈴……あ、これのことだけど、これをつけときな」


 九尾の九本の尻尾を荷物入れのように使っているのか、再び尻尾から物を、今度は小さな鈴を取り出し続いて自分の背丈にあった衣服と灰皿を取り出した。


「ってその尻尾どうなってるんですか!?」


「気になるかい?」


「気になる気になる~」


「そうかそうか。ま、触らせな……んな!?」


 灰皿に吸いかけの葉巻を擦りつけ火を消すと、サッと子供っぽい服を着て、気高き狐の尻尾を触らせないように煽るが、煽ったが故にハティ達のもふりたい欲望が増幅され、九尾は後悔することとなる。


 なにせ、一本一体丁寧に、かつ激しく触ったり、九尾自身がやったように尻尾に手を入れたりなど、これでもかという程に天日干しした、柔らかなタオルのような柔らかさを誇る、九尾の尻尾をもふもふもふと撫で回すのだから。


 しかしそれは短時間では終わらずハティとスコルがそれぞれ九本の尻尾を堪能するまで続く。


 その間、九尾は自身の気高き狐の尻尾を触られたことと、尻尾を触られることに慣れておらず、逃げれずに固まってしまっていた。


「ふはぁ……もふもふだよぉ~」


「違いますよスコルさん。ふわふわなんですよ~」


「間をとってふわもふなんだね~それに九尾って案外子供~」


「あ、こっちにも飴が入ってましたよ~」


「というか凄く癒される~」「というか凄く癒されます~」


 見られたくない秘密を知られる恥ずかしさで九尾は顔を紅く染め上げるが、彼女の手は止まることない。それだけハティとスコルはふわふわかつもふもふの九尾の尻尾にハマってしまったのだ。


 それから一時間後、九尾はようやくハティ達の手から解放された


22話を読んでいただきありがとうございます

いくらふわふわだからと、飴とか色々を尻尾に隠すなんて……九尾しかできなさそうな技ですね!


次回『知られざる真実』お楽しみに!

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