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双子獣人と不思議な魔導書  作者: 夜色シアン
第二幕・牙を穿て
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2-5エリスの素顔

19話まで読んでいただきありがとうございます。

ミズガルズに住むお祝いとして、カバンや食べ物を送ったエリス。そんな優しいエリスは何を企んでいるのか…

タイトル通り、エリスの事がわかる20話です

「騙されてるってどういうことですか……?」


「カバンの底見てみな。それでエリスがあんたらのこと騙そうとしてるって分かるはずさ」


 カバンの中は触れていないというのに、確実に何かあると、そして双子が唯一人の中で信用しているエリスが双子を騙していると確かに言った。


 とはいえエリスは優しく、人狼であるハティ、スコルに色々教え、彼女たちの為に嘘をついてまで街の中に住んでもいい許可を取っている。


 だからこそ、そんな人が騙すだなんてありえないはずだ。


 そう思いつつハティ、スコルは恐る恐るカバンから魔導書を引き抜き底を見る。


「これは……!」


「何この魔法陣~」


「それはあのクソ女どもがいる国騎士しか使えない魔法〈天啓の魔法第五目(アルマロス)〉だ。発動するとその中に入ってる物は一瞬であいつの手にわたり、さらに身に着けてる者の魔法を無効化させる。あんたらにとって最悪の魔法さ」


 カバンの底には国騎士しか使えない小さな魔法陣が確かに施されていた。それも一つだけではなくいくつも同じ魔法陣がカバンの底にびっしりと書いてあり、まだ発動していないだけ幸いだと悪寒を感じつつ少しほっとする。


 しかし貰った時は何も書かれていなく、別の者がやったのではと思う。しかしそれは無理な話で、昨日の夜から今までエリスと彼女たちの三人。ましてやずっとカバンと魔導書を持ち歩くため他の者が仕込むことも、貰った時から今までの中でエリスが仕込むこと不可能だろう。


 ならばやはりエリスが魔法陣を仕込んだのは間違いのないことである。


 それにしても、国騎士でもなく人でもない獣の九尾は何故そんなことを知り、外側を一目見ただけで魔法陣の存在を見つけたのか。


 その疑問はハティ達も感じており、この魔法陣が本当にエリスの物なのか理由を聞いた。


「本当にエリスのなんですか……?」


「そうだ。私も見た事あるからわかる。あのクソ女は自分の功績の為なら誰だろうが蹴り飛ばすんさ。そして私ならその魔法陣を消すことできる。……言いたいことはわかるね?」


「……頼み事を受けろ……ということですか」


「ああ、その通りさ。だけど私は強制とは言ってない。まぁ拒否すれば魔導書と信用を失うだけだけどね」


「私達にとっては強制だよね~?」


「それで頼み事とは……?」


 カバンに付いた魔法を解くために双子は九尾の頼み事を引き受ける。直後ピッと可愛らしい小さく細い前足を、それも薄いピンク色をした肉球を見せるように前に差しだす。


 だがそれが一体なんだというのか。そもそも九尾の頼み事とは何なのか、それは直ぐに九尾の口から発せられた。


「この手首に小さい腕輪がついてるんだ。あんたらにそれを取って欲しい。それだけさ。ただ、この腕輪は特別な魔法〈擬態(カモフラージュ)〉がかかっててね普通に見ただけじゃわからないよ」


 確かに九尾が上げた小さな腕の手首には何も付いていないように見える。いやそもそも見えるのが金色の毛と手袋のようにも見える茶色の短い毛だ。故にどこに付いているか、そもそも付いてないのかは全くわかることない。


 しかしそれは彼女達も知る〈擬態(カモフラージュ)〉の効果によるもの。もし九尾の言っていることが本当だとするならば、確かに九尾の腕についているに違いない。そう思ったハティは魔導書を開き、九尾の腕についているであろう腕輪を思い浮かべつつ上書きするように〈擬態(カモフラージュ)〉を唱える。


「ま、まさかあんたら……その魔導書……魔石の魔導書かい!?」


「ん~と空白の魔導書?」


「魔石の魔導書じゃない……!?なら一体……」


 普通、魔物に与えられた魔物限定の魔法は魔石でしか利用することができない。だが、九尾が言った魔石の魔導書のみ魔物限定の魔法を魔石無しで使用することが可能である。


 しかし九尾も知らない空白の魔導書も魔石の魔導書同様に魔物限定の魔法を使用できる。故に九尾が驚いたのだ。


 そして驚いている間に魔法は効果を表し、隠されていた銀の小さい腕輪が顔を出した。


 ただ普通に取ることはできなそうなのは一目見ただけでわかる。くい込んでいるのではと思うほどに、肌にぴったりくっついた腕輪だったからだ。


「こうなってたのか……よし、初級魔法の〈(ウインド)〉を圧縮した空気刃でこれを切りな」


「え!?そんなことできるんですか!?」


「あんたは魔法をなんだと思ってるんだい……ともかくだ、私の腕を少し斬る勢いでやりな!怪我は心配しなくていいから!」


「わ、わかりました……!」


 ゆっくり息を吸い、ゆっくり息を吐く。


 そうして深呼吸を終えると、余計な傷を増やさぬよう集中し、〈(ウインド)〉を唱えーー


「あの……風の圧縮ってどうやるんですか?」


 応用の仕方を知らないハティは手を止め、可愛く小首を傾げつつ、その言葉を放った。

20話を読んでいただきありがとうございます。

魔導書を持ってるのに魔法の事は全くわからないハティさん。とある最強の人は簡単に空気をzipしてますが、そんな簡単なことではなかったようです。

次回、『風の圧縮』4月8日20時投稿です!

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