13文字の手紙
学校はつまらない。
ただ席に座り面白くもない授業を聞き、年に4回テストを受け、ただ、ただ無駄な時間を過ごすだけだ。
最初にそう思ったのは小学校の4年生のことだった。
自分は友達と言える友達もおらず、最近学校での楽しみは、昼の休み時間に親父から毎日1枚届く13文字の手紙を読むことだった。
その手紙はどこか変でなにか謎がある気がしてならない。
親父は1週間ほど前に家から突然いなくなった。ケータイも置いたままどこかへ行ったそうで、それから親父との連絡方法はその手紙だけになった。母はしばらくしたら帰ってくるわと言っていたがどうだか。
今回の手紙は「ろくろはまわるがまわらない」とかいうまた訳の分からないものだった。
その前は「こロンブスは世界を一周した」で、最初の手紙は確か「にわの灯篭は二羽の鳥の形だ」だったと思う。
手紙の共通点は必ず最初の文字は平仮名で13文字で出来ているということだ。
親父はこんな几帳面な質でないので何かを俺に伝えようとしているのだけはすぐに分かった。
「どう思うよ、母さん」
そう聞くとはて、と言った顔で母が振り向いてこう答えた。
「お手紙のこと?どうでしょう。あの人は手紙なんて出せる状況じゃないはず…って言ってた気がするけどね。」
母は本当に不思議そうな顔をしていた。
「へぇ」
俺はそんなに忙しいのかなと思ってその後母には何も聞かなかった。
これで12通目
13で終わる気がした俺は適当に来た手紙を並べてみた。
「ろくろはまわるがまわらない」
「こロンブスは世界を一周した」
「げん界は常にすぐそばにある」
「にわの灯篭は二羽の鳥の形だ」
「ろンドンの街は私には合わぬ」
「つかまえろ空に浮かぶくもを」
「まだいやもう私はかえれない」
「はだしで歩く草原は健やかだ」
「まい日私は逃げ惑うそこから」
「おそれるなそれはすぐそばに」
「えん天下で私はそこに倒れた」
「もうその場所にはかえれない」
やっぱりどの手紙も分からない。なにかを伝えたいことは分かるのに。もしかしてこうか。いや違うか。と考え続けている時間はものすごく楽しかった。
「すいかは緑で覆われている」の手紙が来るまでは。いま俺はもうその家にはいない。