第80話 水球
本日1話目です!1時間投稿が遅れてしまった…
「ユウキさんやりましたっ!私勝ちましたよ!」
「おー、おめでとうリリア!まさかこんな早く秘奥義を使えるようになるとは…魔法で色々ブーストしてるとは言え完璧だった。よく頑張ったな」
「ユウキさんっ…」
感極まったリリアが俺に飛びついてこようとする。
「ウォーターボール」
「ブフォッ!?な、何するんですか!?」
「あっ、すまん血だらけで抱きつかれたくなくて…追咄嗟に…」
「酷いです…」
「リリア凄かったのです!私も負けてられないのですよ!」
「おー!リリアお姉ちゃん凄かったー♪ひゅーって!速くて見えなかったっ!」
興奮した様子のミスティとルビーに囲まれ、表情筋がゆるゆるになっているリリアは照れ笑いを浮かべている。
「…リリアちゃん凄いわね…おめでとう…私も最後に極大魔法を使うつもりだったけど必要なかったわね」
「おっ、ローズもお疲れさん!傷治せたか?」
「えぇ…なんとかね…でも、結構血が流れたみたいでフラフラするからこの後の戦闘は厳しそうね…」
「了解、後は俺たちに任せてリリアと共に座って待っててくれ」
「そうさせて貰うわね…リリアちゃん?まだ闘いは終わってないのだからいつまでもだらしない顔してたらダメよ?集中しなさいね?」
「あっ…そうでした!まだ元凶が残って…すみません、少し浮かれてしまって…」
「気にすんな。俺も秘奥義が完成した日は興奮して眠れなかったからね…」
「ユウキさんもなんですね!あっ、これ以上はまずそうなので下がってます!気をつけてください!」
「あいよー、そんじゃミスティ、ルビー行くぞ」
「はいなのです!今日は私も闘うのです!」
「おー!ルビーも頑張るよー!」
「え?ミスティも闘うのか…なら、この前作ったこの刀で闘うか…」
俺は亜空間から一振りの刀を取り出す。
「マスター?その刀は何て名前なのです?」
「ん?これか?神刀・夜桜だよ」
「おー♪カッコいいー!パパー!ルビーも欲しいよー!」
「んー、そうだ。じゃあこの闘いが終わった後でコレのルビーようのサイズのヤツを作ってあげるな?名前とか色は変わると思うけど…」
「パパありがとうなのー!ルビー頑張ってあいつ倒すよー!」
「何か凄くジェラシーを感じるのです…でもまぁ仕方ないのです!このイライラを全部あいつにぶつけるのです!」
哀れ、名も知らぬ魔神族の男よ…きっと地獄に行った時に幼女2人に嬲り殺しにされた弱者って罵られるに違いない…
そう思い同情の眼差しで奴を見ると、放心状態からようやく戻ってきたのか、此方をワナワナと震えながら睨み付けていた。
「貴様ら…絶対許さんっ!!!俺の計画を邪魔したあげく、そこの女児2人に闘わせるだと…?俺を舐めるのも大概にしておけ!!もう少しでインカローズを攻め落とせる筈だったんだぞ!?この前アメジスティアで失敗した教訓を生かし、今度こそ入念な準備を終わらせ、数日中に体制を整え…進軍する予定だったんだぞ…それを貴様らのせいで台無しだ!!!必ず殺すっ!!はぁ、はぁ…」
早口で捲し立てる魔神族の男は、一通り文句を言い終わったらしく、呼吸を整えていた。
「お前今アメジスティアで失敗したと言っていたな?もしかしてあのゴブリンのスタンピードは、お前が仕組んだのか?」
「あ?あぁ、そうだ…わざわざキングまで育てた小鬼を解き放った…なのに誰1人殺せず終わったのだ…待て、お前…あのって言ったな?」
「ん?言ったな…そのスタンピードを潰したのが俺だからな!お前もつくづく運のない奴だな?また俺に見つかるなんて…」
「やはり貴様が!!…まぁいい…お前をここで殺せばもう邪魔は入らないと考えよう。だから、確実にお前らは息の根を止めさせてもらうぞ!!」
「遊んでやるよ…うちの子達がな!」
「え?マスター?またこの流れなのです!?」
「おー!ルビー頑張るよー!ミスティお姉ちゃんもがんばろー?」
「うっ、ルビーに言われたら引き下がれないのですっ…やってやるのです!」
ミスティが闘う所を観察したかった俺は、途中まで闘う素振りを見せていたにも関わらず、いきなり2人に魔神族の男の相手を押し付けた。
まぁ、此れには訳があるし、そっちが終わったら俺も手伝う予定だ。一応言っておくと予定は未定と言う言葉があるが…深い意味はない
さて、俺がどうして闘わずにいるかというと…このままだとあのダークフェンリルがゾンビ化するという悪夢の再現を防ぐ為である。
魔物の死骸を放置してはいけない。それが冒険者の掟の一つなのだが、普通ならアンデットに変化するには数週間はかかるだろう。
更にそこには他の魔物に喰われたり、ましてや体の形状が大きく変わるほど(バラバラやミンチ)になってい無いことが条件なのだが…
あのダークフェンリルは、腹の部分に大穴が開いて入るが、原型は留めたままだ…更にここは瘴気が異様に濃い…予想になるが、このままだと数日かかるアンデット化が、数十分で終わってしまうだろう。
多分あの魔神族の男にはそれを狙っている節がある。今もミスティ達との攻防を繰り広げながら此方をチラチラ窺っている。
此方にのようにもミスティとルビーのコンビが完璧に奴を抑えてるので、動くに動けないらしく、戦闘にも支障が出ていそうだ。
このまま油断していてくれるなら、直ぐに2人は魔神族を片付けてしまいそうな気もするが…奴らは奥の手を持ってる筈、この前のペリドットでもそれでしてやられたと聞いた。
なら、早いとここいつを浄化して亜空間にでもぶち込んでおくかと思い、ダークフェンリルの側へとやってきたのだった。
「すまんな…お前の体からはもう瘴気を取り出す事はできなかった。どうか来世もまたこの森の守神として生まれてきてくれ」
(そうしたいのは山々なのだが、俺はまだ死んでいない…あの娘っ子が核を破壊してくれた事で自我を取り戻せたよ)
(!!??しゃべった!?)
なんとこの狼はまだ死んでおらず、俺に喋りかけて来たのであった。
次の更新は、本日の21時予定です!
狼さんとお喋りします…個人的には犬より猫派なんですが…もふもふわんこも好きです…




