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駄女神に信託を受けた俺、世界最強の流派で異世界を無双する!  作者: 雪月花
神が創りし至高のケモ耳
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第79話 リリアの勇姿



〜〜sideリリア〜〜



「!?ローズさん!危ないっ!!」


「ッ!!風妖精の風壁ッ!くっ…うぅ…」


ダークフェンリルの一撃を風の壁によって緩和したローズであったが、全てを凌ぎきれずに吹き飛ばされる。


「大丈夫ですか!?ッッ!?怪我が…!」


ローズの側まで駆け寄った私は、致命傷では無いものの、生々しい傷をつけられたローズは痛みに顔を歪ませている。


「これぐらい大丈夫よ…私は回復魔法が使えるもの…でもごめんなさい、暫く動けそうに無いわね…」


「大丈夫です!ローズさんが戻ってくるまで…あの犬の相手は私が努めます…あのクソ犬が…!」


「リ、リリアちゃん?クソ犬…?」


ローズが傷つけられた事に、ローズ本人よりも怒りを覚え、震えるリリアから怒気が放たれる。


「このっ!西音寺流刺突術 奥伝 一陣の千撃ッ!!!!ハァァァァアアッ!!!!」




私は風になった。


そう思う程に身体が軽く感じ、目の前の巨狼を屠る為だけに体を動かす…


ローズさんが吹き飛ばされる所を見たリリアは、これ以上の持久戦は不可能と判断し、特攻を仕掛ける。


一陣の千撃…ローズがやられる姿を見た瞬間、身体の奥底から力が溢れ出して来る。


大切な仲間が傷つけられ、リリアは知らず知らずのうちにリミッターを解除し、風神の陣脚の出力を最大まで引き出す。


「ガァァァアッッ!!!?」


流石の巨狼もこの一撃は防ぎ用がない…完全に風と一体化したリリアは隙という隙を突き…今一つの極地へと辿り着く。




〜〜sideユウキ〜〜




「おっ、ローズが吹っ飛ばされたな」


「おっ、じゃないのですマスター!!ローズが血を流してるのですよ!?呑気すぎなのです!」


「いや、大丈夫だって…ちゃんと衝撃を受け流してたし、傷も見た目よりは深くないだろう…ただ、暫く動けなさそうだな」


「ママ痛そうだよー、パパ?ルビーは戦っちゃダメなのー?」


「あぁ、よく見てみろリリアの顔を…あれは覚悟を決めた者の顔だ…リリアはこの戦いで化そうだな」


俺が2人にリリアを見るように促した瞬間…この場を濃密な殺気が支配する。


「なっ!?リ、リリアから尋常じゃない程の殺気を感じるのです!!どうしたのです!?」


「おー!リリアお姉ちゃん凄いのー!」


「ほらな?大丈夫そうだろ?」


リリアの怒気が一瞬で鎮まり…リリアのアレンジが入った西音寺流の技が繰り出された。


「おぉ…やるなリリア…風魔法を完璧に使いこなしてるな…」


まさか…このまま…?とリリアの可能性を感じ取った俺はリリア達の闘いをこれまで以上に集中して見入る。


「…凄いのです…リリアカッコいいのです…」


「早くて見えないよー、リリアお姉ちゃん早すぎるよー」


「2人ともよく見てろよ?リリアの勇姿を…アレが西音寺流の極地へと至る者の姿だ」


2人は俺を見上げ、しっかりと頷きリリアの姿を目に焼き付ける…一つの動きも見逃さぬように…




〜〜sideリリア〜〜




思ってみるとユウキさんは彼女である私に容赦がなかった。


普段は物凄く優しいのに修行になると人が変わったように厳しくなる。


不思議に思った私は、一度聞いてみたことがあった。


「何故、そんなに厳しく修行をやらせるのですか?」と…その時の私は辟易していた事もあり、言葉を選ぶ余裕など無かった。


だけどユウキさんは、私の失礼な物言いに対し怒らず、寧ろ困ったように笑いながら言った。


「リリアに死んで欲しくないからだよ」と私の頭を撫でながら言った。



あぁ…なんでこんな簡単な事もわからないのか…そう私は自分の事が嫌になった。


自分の事が嫌いになった一方で、ユウキさんの事はもっと好きになった。


そして誓った…絶対にこの人と並び立って戦えるようになる…誰の評価も知らない、私はユウキさんに褒められる為にこの剣を振る。


そして、また「よくやったなリリア」と頭を撫でてもらいたい。


それだけで無限の活力が湧き出してくる気さえした。


私ってこんな単純だったかしら?と思ったりもしたが、そんな些細なことを気にしてる余裕は無かった。


その日からもユウキによる特訓は苛烈を極めた為だ。


毎日ヘトヘトになり、ローズさんの家に帰ってご飯を食べ、温泉に浸かり疲れを癒し…そしてまた朝を迎える。



この前の戦いで私は魔神族をミスミス取り逃してしまった。この失態は拭えない。


何処かで奴らによって人が今まさに殺されてしまってるかもしれない。私があの時仕留められていれば…


そう思えば思うほど私は追い込まれた。


だけどそれは仲間たちと共にいると忘れられた。


忘れてはいけない。だけど、みんなの笑顔が私の心を癒してくれる。


なんでもない日常が私にとっては大切な日々だった。


「リリアちゃん?あまり1人で抱え込まないでね?私があのとき押さえ込めてれば、最低でも貴方とサーシャが相手をしていたアリンは倒せていた…だから私にもその重荷を少し分けて頂戴ね?」


ローズさんはそう言い私の事を抱きしめてくれた。


私は我慢できずに泣いてしまった。もう止めどなく溢れてくる涙を堪える事は出来ず、嗚咽を漏らす。


そんな私を強く抱きしめながら共に涙を流してくれたローズさんは、私の中でその時から仲間から姉のような存在に変化していた。


「私の家族を傷つけた報い…その身体に刻み込ませて貰いますっ!!」



なるほど、ユウキさんが言っていた意味がようやく分かった気がする。


人は、大切な人を守ろうと思った時…成長し飛躍する…だから、リリアもそう思えるようになれ。


最初はユウキさん達のことは大切に思ってますよ?と私は思ったが、きちんと理解できてなかったようだ


「私が私らしくあるために…ローズさんを傷つけた貴方を許しません!!」


全ての思いを一振りの剣に込め…


今、修行の成果をここに披露する…



「…西音寺流刺突術 秘奥義…風魔一閃ッ!!」


世界が止まった。そう感じる程の加速をこの身体に感じ、目の前の巨狼の弱点を目視する。



そして、次に見た光景はポカンと口を開けたローズさんと魔神族の男の顔、破顔し喜ぶユウキさん、そして歓声を上げるミスティちゃんとルビーちゃんであった。



私は血でドロドロになった手を見て、自分に何が起こったのか分からなくなり…ダークフェンリルを見上げる。



ユウキさんと目が合う時点で気付いていたのだが、改めて認知したその姿は…弱点目掛けた一撃、その刺突は巨大な狼の強靭な肉体を貫通していた。



ドサ…ではなくドスゥンと地鳴りをさせながら横たわる巨狼…いや、体の体積が半分ほど抉り取られたダークフェンリルがそこにはいた。



「あれ?私勝ちました?」



なんとも締まらない終わりだが、この闘いはリリアの手によって終わらされた。



「おめでとうリリア…西音寺流刺突術の免許皆伝だ…」



俺は祝福の言葉を独り言のように口にし、駆け寄ってくるリリアを迎え入れるのであった。





次の更新は明日の正午になります!

多分二話更新できそうです!


リリアの成長が著しいですね…このまま彼女が何処まで突き進めるか…楽しみですw

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