第78話 弱点と双子
そのうち元の世界の面々とユウキの出会いの話を書きたい…
「ハァァァアッ!!西音寺流刺突術 中伝 疾風剣舞ッ!!」
「…風魔法…風神の旋風ッ!!」
「グルゥゥ!!アァァァァアッッ!!!」
「ッ!?危なっ!?」
「はぁ、はぁ…きっついわね…」
戦いが始まって既に1時間以上が経過している。ダークフェンリルの体には依然傷一つない…
「結構厳しそうだなぁ…」
「うー!ママ頑張ってー!」
「リリアもファイトなのです!…マスター?まだ手助けしないのですか?」
なんとか回避して怪我無く戦い続けている2人だが、体力が既に限界に近いらしく、動きが鈍っている。
さっきからダークフェンリルの攻撃が当たりそうになるシーンが多数あり、ルビーとミスティはその度に悲鳴を上げていた。
ちなみに解説ごっこは30分程で飽きたのでやめました。
「うーん、俺が割って入ったら一瞬で終わるぞ?それよりもヒントを上げた方がいいか…」
「…やっぱマスターは鬼なのです…まぁ、分かりやすいヒントなら…」
「おーい!リリア!ローズ!闘いながら念話するから聞いてくれよ〜!!」
(今からダークフェンリルの弱点の場所のヒントをあげるから、それを考えながらもう少し戦ってみてくれ)
(じゃ、弱点!?そんなのあったのですか!?それならもっと早く言ってくださいよ!)
(そしたらつまんないだろ?それに、弱点に気付くかどうかも試験みたいなもんだからな?この時点で2人の採点は50点だから)
(な、なかなか容赦のない点数ね…まぁいいわ…これを教訓に次はもっと頑張るもの)
(あぁ、それでいいよ。それに戦闘面では普通に90点近いからな…後は状況判断能力が備わってくれば完璧だよ)
(っと、危ない…ユウキさんが急に褒めるから攻撃くらいそうになったじゃないですか!?)
(えぇ…集中力が切れたリリアが悪いんだぞ?今のでリリアだけ減点な)
(そ、そんな!?)
(そんなことよりも弱点だが……といったところだな…)
(え?そんな簡単な弱点が…あっ…なるほど、あそこを狙えば…)
(言われてみれば確かにあのワンちゃんは、あの場所を庇いながら戦ってた気がするわね…)
(え?2人とももう分かったの?…やるじゃん…んじゃ、後はちゃんとやれな〜)
(任せてください!ローズさん!)
(えぇ、リリアちゃん…狙うは…)
((一部だけ白い体毛の中心!))
ふっ…なんだやればできるじゃないか
2人の念話を繋ぎっぱなしにしてリリア達の答えを盗み聞きしたが、どうやら俺のヒントは役に立ったみたいだな
「パパー?ルビーにもヒントちょーだいー?」
「ん?あぁ、あのワンちゃんの身体を見て気になるところはないか?」
「んーとね…あの真っ白い毛が可愛いよー?」
「おっ、良い着眼点だな…その白い毛の部分をルビーに覚えてもらったスキルで見てごらん?」
「ん!やってみるー!んーと、氷炎の魔眼…はつどうっ!」
「えっ、何そのスキル…カッコいいのです!私も欲しかったのです…」
「ん?あー、ミスティには無理だぞ?ミスティは属性魔法使えないからな…」
「そんな…なのです…ガクッ」
「まぁ、他の部分で何かいい感じのスキルあげるから我慢してくれ…それよりルビーわかったかい?」
「んーとね…なんだかあそこだけ紫色にうすく光ってるよー?」
「私も見たいのです…」
「はいはい、ほれエンチャントっと…これでミスティも見れるだろ?」
「おぉー!見えるのです!確かに光ってるのです!」
「実は彼処にダークフェンリルの再生能力を可能としてた魔核ぽいのが埋め込まれてるんだよ」
「なるほど!それであの狼は回復してたのですね!ずるいのです!」
「そうだな…でも考えてみて?あの狼の回復のリソースを務めてるのはきっと…」
「あぅ…殺された人達の生命力…なのです…?」
「あぁ、それと奴らは負の感情や瘴気といった世間のマイナス要素を力に変えている…殺される時に放った負のエネルギーすらも力に変え、また新たな人を襲う。人だけで無くこの森の動物や魔物が一切いないのも奴らの仕業だろう」
「うー、パパーあの狼さんは悪い子なのー?」
「昔はきっとこの森の守護獣だったんだと思うよ…ただ、あの男に魔改造されたんだろうな…」
「うぅ…可哀想なのです…早く解き放ってあげないとなのです…」
「そうだな。2人が倒したら俺の力で魂を浄化してやろう…」
きっとあのダークフェンリルもそれを望んでいる。
そんな気がするのだ。
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その頃、インカローズに置いてかれた紅葉達は荒れに荒れていた。
「ちょっと天空くん!!もっと早く剣を振りなさい!まだまだアウリム団長に遠く及ばないよ!」
「ひぃぃいい!!助けて雪先生!」
「助けないよ?神狼の森だったかな?そこに行くためには最低でも天空君の戦闘力を上げないといけないし…休んでないで訓練再開しなさい!」
「えぇ…?この前までと性格が変わりすぎてついてけないんだけど…」
ひぃひぃ言いながらもしっかりと訓練に励むソラ達の事を遠巻きに見つめる者達がいる。
そのうちの2人組がその様子を見ながら何事だ?と話していた。
「お、お姉ちゃん?あの3人どうしたのかな…」
「あー、なにか朝からずっとあの調子よ?街で喧嘩でも売られたのかしら?」
その様子を眺めていたのは、薔薇園姉妹であった。
妹の双葉は気弱な性格だ…だが、最近は何か目標があるのか凄く前向きになった。
姉である一華は嬉しいと思う反面…まさか好きな男が!?と妹を誑かす男がいるんじゃ…とクラスメイトや騎士団の方達をジロジロ見ていた。
最近そのせいか騎士団の男衆に怖がられているのは、本人も知らぬところだ。
「お、お姉ちゃんは特訓うまくいってるの?」
「私?そうね…双葉程じゃないけど頑張ってるわよ?足手纏いは嫌だし、尚且つ死にたくないし双葉を死なせたくないからね」
「お姉ちゃん…私もお姉ちゃんを死なせたくないからもっと頑張るっ」
「気持ちは嬉しいけど程々にね?天空みたいにならないでよ?ま、まさか双葉の好きな男は…あいつなのかな?」
「な、何いってるのお姉ちゃん!?そ、そんなわけ無いよ!私の好きな人は…って、好きな人なんていないもんっ」
「あはは♪ほんっと可愛いんだから〜よしよーし、怒らないのよー?」
「もうっ、お姉ちゃんなんて知らないから!私も特訓してくる」
「あっ…照れちゃって…我が妹ながら可愛すぎるわね。でも天空じゃ無いとして…一体誰なのかしら…」
まさか妹の好きな相手が校内で有名な、陰キャオタク野郎だとは全く思っていない一華は、このクラスにまともな奴いたっけ?と頭を悩ませるのであった。
次の更新は明日の正午になります!
最近、1日のPV数が増えてとても嬉しい…
ポイントとか気にしてないとは言え見てくれる人が増えると嬉しいものですね♪
この調子で頑張りますよー!




