第61話 訪れた日常と変化
翌朝…と言ってももう昼近いのだが、俺達は昨日の戦いで壊れてしまった所を直して回っていた。
「よっと!ここはこれでいいですか?」
「あ、ありがとうございますユウキ様!」
大袈裟なまでに喜ぶ家主に苦笑いしつつ、その場を後にする…
「昨日からやっぱみんなの態度が変なんだよなぁ…ルビーもそう思わない?」
俺は唯一一緒に行動していたルビーに共感を得ようとするが…
「ふわぁ〜、んにゅ〜?ルビーわからないよ〜?それよりも〜パパ遊ぼ〜?」
そんなのどうでもいいから私と遊びなさい!と言うルビーに「そしたら午後からお散歩行こうか?」と決め、それまでの間に壊れた場所を直してしまおうと仕事に取り組んだ
それから予定通りに事を終え、昼飯時になった為に勝手知ったるローズ家に戻ると、案の定お昼の支度がされていた。
「あなた!ルビー!お帰りなさい♪復旧は終わりそうかしら?」
「ユウキさん!ルビーちゃん!おかえりなさい!眠くないですか?大丈夫?」
「マスター!お腹空いたのです!早く手を洗ってくるのです!私はもう待ち切れないのです…」
ローズとリリアが左右の腕を取りおかえりと言ってくれる中、ミスティが腹減ったから早くしろ!と背中を押し洗面所まで無理やり連れてかれる。
「ちょっ!ミスティ危ないから!2人ともただいま!復旧は終わりそうですよ!後はペリドットの人に任せて必要な時だけ行く感じです!」
「みんなたでま〜♪ルビーもお腹空いたよ〜」
その後、昼食を終えた俺はルビーと森を散歩しているのだが、もう1人同行者がいる
「あなた?ちょっと話がしたいのだけど…」
「ん?どうしたんですか?ローズさん?」
「……敬語、やめるんじゃなかったかしら?」
「うっ…すみません癖で…いや、ごめんローズ」
「よろしい!それで聞いてくれるかしら?」
「もちろん!」
その後俺とルビーはローズの旦那…になるはずだった人の話を聞いた
「…そうだったんだね、その…ルビーに聞かせてよかったの?」
「えぇ…この子も強くなった。魔法の話ではなく心が…あなたと一緒にいて、色んなことをして…成長している今なら受け止めてくれると思ったのよ」
「ルビーのママはママじゃないの〜?」
「そんな事ないわよ?私はルビーのママよ?それは間違い無いわ!血が繋がって無くても私はルビーを愛してるもの…私がママじゃ嫌?」
「ん〜ん!ルビーはね?ママとずっと一緒にいるよ?ルビーもママが大好きなんだよ〜?」
2人が愛を確かめ合ってるが…
まさかローズとルビーに血の繋がりが無いとは思わなかった…髪の色とかも違うなーとは思ってたけど、行動が似てたし…やはり赤ちゃんの頃から一緒にいると似るのかな?
ローズの旦那になるはずだった人…ルビリオが前回の土竜の襲撃により亡くなったと言うことは聞いていた…だが、まさか本当のルビーの両親もそこで亡くなっていて、生まれたばかりだったルビーを引き取ったのがローズだったのだ。
瓦礫の中…我が子を守るようにして亡くなっていた2人を最初に発見したのがローズで、その時自分自身も大切な人達を失ったばかりだった…
それもあり、生まれたばかりの子にルビーと名前をつけ、我が子のように愛し、育て今に至る。
「その…なんと言ったらいいかわかんないけど、今幸せならそれでいいんじゃないかな?」
「あなた…?えぇ、私はとても幸せよ?こんなに可愛い娘もいて、こんなに素敵な旦那様がいるんだもの…私が不幸せなら神様に怒られてしまうわ?」
「…その、気になってたんだけど…俺とローズの関係って…」
「えっ?夫婦でしょう?違かったかしら…?」
「えっ?夫婦?……いきなり?」
「だってあなた婚約指輪くれたわよね?」
今度こそ俺は「へ?婚約指輪??」と間の抜けた声を出してしまう。
「……これの事なのだけど…違ったかしら…?」
「あっ、それは…」
そしてその時、この指輪を渡した時の会話を鮮明に思い出す。こういう時の為に瞬間記憶能力を授かったのかもしれない(違う)
『これはそういう意味よね…?』
『えぇ、そうですよ?』
なるほどこの時か!何がそうですよ?だよ俺!!全く違うじゃん!
プロポーズ紛いの事をしていて、実はそう言う意味ではありませんでしたよ?とは既に言えないところまで来てしまっている。
この真実は胸の内に秘めておくことにし、ルビーに聞かなくてはならないことがある。
「えっと…ルビーは俺がパパでいいの?」
「ん〜?パパはもうルビーのパパだよ〜?最初からパパだよ〜?パパはルビーが嫌い…?」
「そんな事ないよ?パパもルビーが大好きだ!それは間違い無い」
「ほんとっ!?ルビーもね〜?パパが大好きなんだよ〜♪だからね〜?いなくなっちゃ嫌なんだよ〜?」
「どこにも行かないさ!ルビーの側にずっといるよ…ローズ、その…旦那はちょっと早いから恋人にならないかな?」
「あなた…そうね、流石にその工程をすっ飛ばして結婚は早いわよね…わかったわ!しばらく恋人になりましょう」
「……結婚することは確定事項みたいだけど…まぁ、いいのか?」
ルビーのパパになると誓ったのだ、ローズと結婚する事は当然と言えた
「あれ?ルビーあなた…薄く光って…もしかして!?」
「えっ!?なになに!?どうしたルビー!大丈夫か!?」
「お〜?ルビー光ってる〜♪すご〜い♪」
ピカーッと光り輝くルビーに慌てていると、その光がカッ!!と一瞬激しくなり、普通の人なら直視出来ない程の輝きを放つ。
「え…?あ、いや、え?ルビー…なのか…?」
「おー?パパどうしたの?ルビーだよ?」
「いや、だって…随分大きくなったな?」
「あれー?そういえばパパがちっちゃく感じるー、変なのー」
ガーン!ちっちゃいって言われた…
「ルビー?あなた人の姿になってるのよ…おめでとう!やったわね!」
「おー?本当だー!やったー!パパー!ルビーやったよー!」
わーい!と抱きついてくるルビーを受け止め、目を白黒させてる俺に、ローズが説明してくれる。
「あの…ついてけて無いんだけど…どゆこと?」
「前に言ったわよね?」
「いや、前に聞いたのはいっしょうそいとげるとかそんな内容だった気が…」
「あなたとずっと一緒にいる。大好きという気持ちが成長を促したのよ?」
いやいや、それだと俺がルビーと結婚することになるのでは?
それはまずいでしょ…
「何か勘違いしてるようだけど、これは親子の間でも起きることよ?」
「え、そうなの?」
「えぇ、寧ろ大体の子が家族と過ごしていて変化するのよ?何故なら皆人の姿になってるから真似したがるのよね…でも、この子には今まで私しか居なかったから…」
「なるほど、無意識で小さいままで居ないとローズもいなくなってしまう…とか思ってたのかもしれないね…」
俺に抱きつき頬擦りしているルビーの頭を思い切り撫でてやる。
今までは小さくて人差し指で撫でるくらいだったけど…やっぱこっちの方がいいな…
「まぁ、とりあえずおめでとうルビー!今日はパパがご馳走を作ってやるぞ?」
「ほんと!?やたーっ♪早く帰ろー?」
その様子に微笑みあった俺とローズは、ルビーを中心にし手を繋ぎ帰宅するのであった。
こんにちは!無事更新です!
次の更新は明日の正午になります。
明日勇者組の話を投稿して2章の終わり、1日に幕間を投稿して3章スタートにしようと思います!




