第5話 冒険にいざ出陣!!できない!?
2020/9/8誤字修正しました!
「それでは、ベオトロさんお世話になりました。暫くは隣の宿屋に泊まっているので、用がありました、女将さんに言ってもらえれば、顔出しに来ますので!」
「おう!了解した!今日が初の討伐なんだろ?頑張って来いよ!たけど、無理だけはするなよ?武器が必要になったらまた来い!最高の物を打って待ってるからよ!」
「はい!では、また来ます!お世話になりました!」
そう言い俺はベオトロさんの鍛冶屋を後にした。結局剣はミスティが居るので、剥ぎ取り用のナイフと短刀、もしもの時の為の剣、それと服の内側から着れる、要するに肌着的な物を買った。この肌着の性能がまたすごく、防刃、魔法耐性UP小、環境適応中、保湿などの効果が付与されている。防刃と魔法耐性は読んで字のごとくなのだが、環境適応とは暑さや寒さ等に勝手に対応してくれるらしく、猛暑の日には涼しくなるように、逆に厳寒の時には暖かくなるように勝手に調整してくれるらしい、何とも便利な服である。保湿はまぁ、説明しなくともわかるだろう…
(マスターマスター)
(ん?どうしたミスティ?)
(ちょっとした事なのですが、マスターの能力があれば、このお洋服は要らなかったのではないです?)
(………)
(あ、あの?マスター?)
(はい、完全に忘れてました…そうだよ、よくよく考えたら今着てる服に自分で普及すればいいだけの話じゃん…何のためのスキルだよ…)
(ま、まぁ、お洋服などにも付与出来るといった事が分かったから、結果オーライじゃないです?元気出してくださいです!マスター!)
(ありがとミスティ…少し自分の無能さに嫌気がさしてきたところだったから、ミスティが居てくれてよかったよ…)
(私もマスターのお役に立てて良かったのです!さぁ!早く冒険に行くのです!マスター!)
(そうだな!気を取り直して冒険に行くぞ!ミスティ!!)
そう言い門まで走り出そうとした所でミスティからストップがかかる。
(ちょっと待ってです!マスター!宿に行ってないのです!)
(あっ、忘れてた…)
(マスターって以外とおっちょこちょいさんなのですね…私がしっかりしないと…)
(うぅ…面目次第も御座いません…)
さっき冒険者ギルドで言われた事をこの短時間でもう一度言われる事になってしまった…
そして俺はとぼとぼと宿に入っていくのだった…いつになったら冒険に行けるのだろうか…はぁ…
宿屋に入り、カウンターに居た女の子に声をかける、あんな小さな子が店番してていいのかな?異世界だからそこら辺は関係ないのかもしれないな…
「こんにちわー、部屋借りたいんですけど、空いてますか?」
「はい、こんにちわ!一部屋だけ空いてますよ!おかあさーん!お客様来たよー!」
女の子は元気な声で女将さんらしき人物を呼びに行ってしまった。暇なので周りを見ていると、暫くして調理場らしき所から、さっきの女の子がお母さんを引き連れて戻ってきた。
「すみませんねお待たせしてしまって」
「いえいえ!お気になさらず、5日間ほど部屋を借りたいのですが、宿代は先払いでしょうか?」
「ありがとうございます。はい、先払いになってますので、1日銅貨8枚で5日で銀貨4枚です。ご飯は朝は宿泊費に含まれますが、昼と夜は追加でお金を頂きますので、食事が必要の際は私かこの子に声をかけてくださいね。」
「わかりました。では、5日間お世話になります!」
そう言い俺は銀貨4枚を手渡し、部屋の鍵を受け取り、女の子に案内されつつ部屋に向かう。
「お兄さんは冒険者さんなの?」
「そうだよー、まぁ今日なったばかりの新人だけどね」
「すっごーい!私もいつか冒険者になるのが夢なの!今度お兄さんがしてきた冒険の話聞かせてー!いいでしょー?」
「もちろんいいよ!時間ある時に俺のところ来てくれれば話すよ」
「わーい!約束だからね?絶対なんだから!」
それだけ言って女の子は戻っていった。あっ、しまった!名前だけでも聞いとけばよかった。まぁ、夕方戻ってきた時に聞けばいいか。
ガチャッ
お?意外としっかりした部屋になってるんだな、冒険者のイメージ的にもう少し粗雑な作りになっていると思ってたけど、女将さんの人柄が溢れだしている。そんな心温まる部屋になっている。確かにこの部屋なら冒険から帰ってきた時に疲れが一気に取れる気がする。リーシャさんがオススメって言ってたのもわかる気がする。俺も誰かにいい宿ないか聞かれたらここをオススメすることにしよう。
さて、部屋の確認もしたし冒険に出かけるとしようか。そう思い俺は入口まで戻り、外に出ようとしたところで、立ち止まる…
「えっ?めっちゃ雨降ってるんですけど…」
そう、外は日本にいた時のゲリラ豪雨の如く雨が降っていた…ちょい待て、どれだけ俺は運が悪いんだ?出鼻くじかれすぎだろ!
「いやぁー、濡れちゃった…あれ?お兄さん?こんな雨の中どこに行くの?」
「あっ、えっと…」
「あぁ!そういえば名前言ってなかった!私の名前はリーファって言うの!お兄さんは?」
「俺は、ユウキだよ。よろしくリーファちゃん」
「よっろしくー!ユウキお兄さん♪それで、お兄さんどっか行くの?」
「うん、ゴブリンの森に行こうと思ってたんだけど、この雨が降ってきちゃって…どれ位で止むかなー、それにしても凄い雨だね」
「こんなに雨が降るの久しぶりだよ?ここら辺は雨が降ったら1日振り続けるけど、お兄さんが住んでたところは違うの?」
「げっ、マジかー!じゃあ今日は部屋で大人しく魔法の練習でもしてるしかないのか…えっとね、俺が住んでたところも雨はだいたい1日降ってるものだけど、こんな強い雨は1日降り続く事なんて滅多にないんだよね」
「へー!そうなんだ!ここら辺も1日降り続くけど、ここまでの雨は本当に珍しいよ?もしかしてお兄さん雨男なんじゃない?あははっ」
「そ、そんなことはない!はず…だと思うんだけど…」
「あはは!冗談冗談!それじゃ私はまだ仕事あるからまたね!お兄さん!」
「お仕事頑張ってねリーファちゃん…」
くっそー、あんな小さい子にまでからかわれてしまった…仕方ない、確か期限は明日までだったはずだから、明日は朝早くからでて、色々と試しつつゴブリン狩って帰ってこよう。とりあえず今は自分のスキルの研究だな。
そう思い俺は部屋まで戻る
「とりあえずミスティの人化について調べるか」
(私のことからでいいのです?)
「そりゃ、早くミスティに会いたいし、こうやって剣と会話してると傍から見たら変な人じゃん?目立つから早めに人化してくれると助かるかなーと」
(なるほど、わかったのです。私もお手伝い出来ることはするです!)
「ありがとうすごく助かるよ、それじゃまず、ミスティの事鑑定してみるかな、ミスティ剣に戻ってくれ」
(わかったのです。はい、これでいいです?)
「うん、ありがとう。えっと、鑑定!おっ、出てきた」
ミスティに向かって鑑定をかけると、自分のステータスを見た時のように目の前に透明な紙見たいのが出てきた、さっき美容師さんに聞いたところ、これの事をステータスウィンドウと言うらしい。ゲームかよ…
ちなみにミスティの能力はこちら
武器名:幻想剣
等級:神話級
Lv1
スキル:破壊不可、変幻自在、魔力変換、斬れ味増大、念話、人化、持ち主依存
である。あれ?人化ってあるんだけど…とりあえずこれを詳しく見てみよう。えー、なになに?このスキルは持ち主が人化と言えば、人の姿になります…?あれ?と、とりあえず試してみよう…
「ミスティ」
(はい?なんですか?)
「人化」
(えっ…?これはっっ!)
俺がそう唱えた瞬間ミスティはなんと人の姿になった…えー!あんなに意気込んでてあっさりとミスティ人化問題が片付いてしまった…
「ま、マスターです?」
「うん、そうだよミスティ。始めまして」
「マスター!!」
「うおっ!びっくりしたー!」
感極まってしまったのか、ミスティは俺に抱きつき、嗚咽を漏らしながら俺の胸に顔を埋める。しばらくこのまま抱きしめてあげよう。俺達は今日出会ったばかりだが、これからパートナーとして一緒に過ごして行くんだから、優しく接してあげないとな。それに泣いてる女の子を放置しとくのはちょっと心苦しいというか、なんというか…
しばらくミスティを抱きとめながら頭を撫でて上げていると、嗚咽が止まってきた。そろそろ落ち着いたかな?
「ミスティ?落ち着いた?」
「はいです、すみませんマスター取り乱してしまったのです…」
ミスティが俺から少し離れ照れくさそうにしている。何この子めっちゃ可愛いんですけど!
「気にしなっ!!?ミスティ!!なんで服着てないの!??」
俺は気づいてしまった…ミスティが何も着ていないことに…なんで裸なの!?そーゆうお約束はいらないから!!
「あっ、しまったのです。お洋服の設定するの忘れてたのです。マスター何かお洋服持ってないです?」
「と、とりあえずこれ羽織って!今作るから!」
「ありがとなのですマスター」
と、とりあえずブレザーを羽織らせたけど、早く何とかしなければ、目のやり場に困る!!いくら見た目幼い少女だからといって、ミスティは想像以上の美人さんだったのだ、ロリコンじゃなくともミスティの可愛さには心うたれるものがっっっ!
「えっと、さっき買ったベオトロさんところの肌着と何かを錬金してみるかな?錬金の練習にもなるし、何か素材ないかなー?」
「それならマスターの魔法を使ってみたらどうです?妄想の具現化…イマジンリアリゼーションを使えば素材なども手に入るのでは無いでしょうか?」
「イマジンリアリゼーション?それって妄想の具現化の事?」
「そうなのです!マスターがあまり妄想の具現化の言い回しを気に入ってなさそうだったから、勝手に技名を付けたのです。嫌です?」
「いや!そんな事ないよ!イマジンリアリゼーション…うん!カッコイイ!ミスティありがと!」
やっぱり技名があった方がカッコイイよね…いや、厨二病ではないけども、いいものはいい!ここだけは譲れない!
「イマジンリアリゼーション発動…」
その言葉と共に一気に頭の中がクリアになる。身体中の全神経が研ぎ澄まされているのが、リアルに伝わってくる…これは凄いな、時間が何倍にも膨れ上がったように感じる。さて、まずは服の素材だが、この世界で手に入るものは何があるんだ?やばい、どんなもので服や鎧を作ってるのかわからないとダメじゃね?とりあえず異世界にありそうな物を想像してみるか…オリハルコン?ミスリル?んー、竜のひげとか?よくラノベとかで見かけた物を想像してみる。すると目の前にぼとぼとと何処からともなく鉱石やら、糸の束やらが現れた!!いや、チートすぎんだろこの能力!!実物も目にしたことなければ、この世界にあるかすらも分からないのに、ゲームなんかの知識で得た錬金素材を適当に想像しただけなのに!この能力さえあれば日本の物でさえも想像できるってことだろ?凄すぎる…
「マスター!?いきなり色んな物が降ってきたのです!どうしたのです?これ」
「イマジンリアリゼーションで適当に想像したら、なんか出てきちゃった…」
「適当にです?これ、殆どのものがこの世界では全く流通していない物のようですよ?こんな世界に少量しかないものが、山のように積み上がってるのですが…これで何作るです?」
そんなに凄いものなのかこれは…やっぱりチートすぎんだろこの能力…
「これでミスティの服と俺の防具を作ろうと思ったんだけど…ダメかな?」
「この素材で作ったら、勇者達を逆立ちで虐殺できるようになるですよ?マスターは勇者に何か恨みでもあるです?」
「え!?そんな事しないし恨みもないよ!?ただ、作るなら良いものを作りたいし…」
「まぁ、マスターの事だから何も考えてないのでしょうけど…一応作った物にも隠蔽魔法を掛けといた方がいいと思うです。じゃないと誰かに鑑定された時に大変なことになるです」
「わ、わかった。隠蔽魔法はしっかり掛けることにするよ…とりあえずミスティの服を作ろう!」
「はいなのです!どんなお洋服を作ってくれるです?」
「俺のイメージ的にミスティは可愛らしい服を着て欲しいんだよね。なので、元の世界の服とかをイメージして、竜のひげとオリハルコンを繊維状に加工して、世界に一つだけの服を作ろうと思う」
「た、ただのお洋服なのですよね?使う素材だけでもお城が10個は建てられそうなのです…それを加工して繊維状にするなんて…この世界の人には想像もしない使い方なのです…」
「そうなの?こっちの世界では割とみんな考えそうなものだけど…まぁ、オリハルコンや竜のひげなんて物は存在してなかったけどね」
「と、とりあえず楽しみなのです!私がそんな凄い服を着れるなんて夢のようなのです!」
戸惑いながらも嬉しさがにじみ出てしまっているミスティ…はぁ…可愛いすぎるだろ!この笑顔のためなら何でもできそうな気がする。某、俺はロリコンではない。はず…
と、とりあえず作業に取り掛かるとするか。
「よし!まずはオリハルコンの形状を変えないとな!」
錬金と心の中で唱えるとオリハルコンの形が徐々に変わって行く。なるほど、この状態の時に頭の中で思い描けばいいんだな?それなら…
「凄いのです!オリハルコンが糸のように細くなったのです!こんな事マスターにしかできないのです!きっと!」
「おおっ、これは綺麗だな…肌触りも悪くないし…でも服にするには少し重いな…まぁ、そこは付与魔法でどうにでもなると思うしまずは保留だな」
「でも、このままだと生地が硬すぎるのではないです?動きづらいのはいやなのです…」
「大丈夫!そこも考えてあるよ!えっと…おっ、あったこれだ!絹のベール、それとこれ!天の羽衣!この布と竜のひげ、それとオリハルコン糸を錬金っと」
よし!変化が始まって来たな!ここはミスできない…ミスティにふさわしいとてつもなく可愛い服を創らなくては!
早速できた服をミスティに着せてみる、するとどうだろう…なんか女神が目の前に居るんだが…やばい、可愛すぎるだろこれ…
「ど、どうです?似合うですか?マスター?」
「すごく可愛いよ!自分で言うのはなんだけど、いい仕事したと思う。うん。」
「ありがとなのです!マスターもよくお似合いです!かっこいいのです!」
「あ、ありがと…ちょっと派手すぎる気がするけど大丈夫かな?」
「そんなことないのです!少しぐらい派手でも、マスターが着たらどんな服でも見劣りしちゃうのです」
ちなみに俺達の服装はと言うと、ミスティは白を基調とし、所々に青いラインが入ったゴシック風の服に仕上げた。完全に俺の趣味だが美少女は何を着ても似合うがこれは別格だな…所々青を用いたのにも訳があるのだが、ミスティの髪や瞳の色がとても美しい空色をしている、青い髪という事で某メイドさんを思い出したが、ミスティは踵近くまで髪が伸びていることもあって、色々な髪型も出来るし、これから色々な服を作ってあげたい。その都度髪型を変えてもらうのもいいかもしれない。
そして俺だが、黒を基調としたレザーコートに所々にミスティと同じく青いラインやら刺繍を入れている。ミスティは絶賛してくれたが、ちょっとやりすぎた感があるのだが、これくらいならこの世界では普通に着られてるのかもしれないと割り切ることにした。この服の素材にもミスティと同じ物を使用してるので、肌触りも最高!着心地が良すぎて本当に着てるのかわからなくなる時がありそうだ…とりあえず暫くはこの格好でいようと思うが、暇な時を見つけて色々と服を作るのも面白そうだな。同じデザインの刺繍を入れたのにも統一感を出すためで、パートナーになるのだから、これを俺達のシンボルにするって事でいいだろう
「さて、ミスティ?聞きたいことがあるんだけど」
「はい?なんです?何でも聞いちゃって下さいです!」
「ミスティはこの世界の事についてどこまで知ってるの?」
「知らないです」
「ん?知らない?」
「はいです。私はマスターの波動を感じるまで長い間眠りについていたのだと思うのです。だからこの時代がいつで、私がどうしてあそこにいたのかも、全てわからないのです…お役に立てなくて申し訳ないのです」
申し訳なさそうに目をウルウルさせるミスティを見て、頭を撫でる
「そっか…気にしなくていいよ!それなら一緒にこの世界の事調べよう!やっぱり冒険は始めてがいっぱいの方が楽しいしわくわくするからね!これから一緒に頑張っていこう」
「マスター…はい、ずっと一緒なのです!」
そうして俺達は、俺が異世界召喚されたけど、王城を飛び出してきた時の事とか、元の世界で俺が何をしてたのかとか、イマジンリアリゼーションで色々な技を作りながら、明日のゴブリン討伐まで、他愛ない話をしつつお互いの絆を深め合った。
そして次の日…
「よし!快晴だな!!いっちょやったりますか!!」
「あっ、おはよう!ユウキお兄さん!」
「おはよー!リーファちゃん!もう宿のお手伝いしてるの?」
「そうだよー!昨日は雨がひどくてお姉ちゃんが帰ってこなかったから、やること山積みなの…お兄さんはゴブリンの森に行くんだよね?頑張ってね!」
「ありゃりゃ、それは大変だね…俺の方はこれからゴブリンの森に出かけようと思ってたとこ!…てかお姉さんが居たんだ?」
「あれ?言ってなかったっけ?その話はまた後でね!無事に帰って来れるように女神様にお祈りしとくね!」
それじゃーねー!と、元気に駆け出していったリーファちゃんは街に向かったみたいだ。そういえばさっき女将さんに弁当を頼んだ時に最後の調味料を使ったとか言ってたし、それの買出しかな?
「よし、俺も行くか!」
そうして俺はやっとゴブリンの森に向けて出発したのであった…