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駄女神に信託を受けた俺、世界最強の流派で異世界を無双する!  作者: 雪月花
蠢く小鬼と囚われの妖精
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第56話 氷の龍

こんにちは!今日はローズsideのお話になります!



〜〜sideローズ〜〜



「ッ!?ブレスが来るわ!障壁準備ッ!」


「「「はっ!!我らの戦神…ユウキ様の奇跡をここに!アイギス!!」」」


巌窟竜のブレスがユウキが渡していた魔導具から展開された障壁によって阻まれる。


「チッ…あの男めんどくさいもの作ってくれたな〜わざわざ分断させても邪魔してくるのかよ〜」


苛立った様子のラプラ…それに付随するようにグルゥゥゥ…と鳴く竜は忌々しげに展開された障壁を睨み付ける。


「あらあら?進化したと言っても所詮は蜥蜴ね…溜息程度でこの障壁を破れるわけないじゃない」


ビキっ!


ラプラの額に血管が浮かび上がる。

性格的に短気であるラプラにとって、ローズの煽りは憎たらしいほどに効果覿面なのであった…


だが、黙って聴いてるほどラプラは大人しくない。無言で魔法を展開していく。



「……ムカつくからおまけにこいつらとも闘わせてあげるよ〜!出でよ!地獄の番犬…ケルベロスッ!!」


魔法陣から現れた禍々しい扉…


ラプラの掛け声と共に開いた扉の向こう側から、三叉の首がローズ達を見下ろす。


「…地獄の番犬?これが…過去の大戦で人類に大きな被害をもたらしたという…あの…」


「おやおや!?流石妖精族の女王は物知りだね!その通り!この子はかつて世界を震撼させたケルベロスの子供だよ!!親を殺されたことによって、人への憎しみも併せ持った完璧な子なんだ〜」


巌窟竜にケルベロス…そして魔神族の少女ラプラ…


ここに来て拮抗していた戦力が相手へと傾いてしまった事に、煽りすぎたかしら?と冷や汗を流すローズはすぐに思考を切り替え、周りに指示を飛ばす。


「妖精騎士達!!私とルビーで竜とあの女を抑えるわ!なんとか犬の攻撃を凌げないかしら!?」


「「「お任せください!!我々にはユウキ様が付いてますので!!」」」


何故か信者と化しているペリドットに存在する唯一の騎士団…


リリア達の方に集まっているもの達は、騎士ではなく魔法が使え、ある程度戦闘ができるもの達で編成されたこの時限りの部隊だ…


だが、ローズと共に竜を迎え討っているメンバーはローズ直属の部隊だったはずなのだが…


いつの間にか忠誠の対象がユウキへと変わっていた…これには深い訳があるのだが…


そんな事を知らないローズはユウキへと必ず問い詰めないとダメね…と不適に笑うのであった



「ルビー?ごめんなさいね…まだ幼いのにママ達の闘いに巻き込んでしまって…」


「んーん!ルビーわね〜?もうよゆーで戦えるんだよ〜?ママとパパをいじめるやつは〜ルビーがせいばいするんだから〜!」


絶対にママを守るよ!


そう言いローズの肩から飛び上がり、隣に並ぶように飛ぶ小さな我が子に、涙を堪えるローズは、ユウキと出会った事により、ルビーがこれほどまで成長していたのだと、こんな時ながら娘の成長に感動していた。


だが、敵はそんなのを待ってくれるわけもない…



「僕たちの相手は女王様が相手してくれるんだ!!嬉しいな〜♪私の手でその綺麗な顔を捻り潰せると思うと…んんっ…ゾクゾクしちゃうよ!」


「娘の教育に悪いからもう喋らないでもらえるかしら?」


「そう思うなら黙らせてみなよ?できるものならね!」


ラプラ本人は実は攻撃自体は得意では無い…


だが、ラプラの得意魔法は幻惑魔法と錬金術…幻惑魔法に関してはユウキですら見破るのに神眼を発動するしか無かった…


この国に張られた結界が幻惑を無効化していなければ今頃ローズ達はこの世界に生きていなかったかもしれない…


ユウキがラプラ対策で貼った無効結界…


それを結界の内部へと入った時に感知したラプラは、イライラを通り越してもはや感心していた…


こんな用意周到に僕の対策をしてるなんて…殺し甲斐があるじゃないか!!


何故か喜ぶラプラはきっとMなのであろう。


この事実をユウキが知ることはなかった…



「さてと!巌窟竜!あの女を喰い殺せ!」


「エンチャント妖精の加護…ルビー!お願いね!」


「あいなの〜!パパじきでん〜!妖精の領域はつどう!」


ローズの付与魔法により、身体能力が倍増する親娘…そして、ユウキによって作られたルビー専用魔法が発動する。


ルビーを起点に、半径1キロ以内に居る敵の動きを阻害し、その分味方の身体能力を1.5倍にする…



なんともふざけた力を持つ魔法だが、ユウキがルビーの為に作った唯一無二の魔法…


娘を思う父親ってこんな感じなんだろうな〜と暴走したユウキは、白紙の状態であるルビーのスキル欄にどんどんチートスキルを継ぎ足していったのだ…


その結果、完全無敵な3歳児が誕生してしまったのだ!


犯行後犯人は言っていた。


俺は悪くない!!ルビーが可愛いのが悪いんだ!


父親としてどうかと思う発言だが、ルビーに害は無いのでまぁいいのか?と満場一致で許され、ほっと胸を撫で下ろしたユウキなのであった。



「風魔法…千刃の風!!」


ユウキの影響で魔法名がカタカナから漢字に変わってしまったローズは、千の風の刃を創り出し竜へ向け放つ…そこへルビーの魔法も追撃するように発動される。


「お〜?こおり魔法〜氷塊の天撃〜!」


突如として現れた竜の3倍もある氷の塊…それを空から叩き落とすルビーは、おー!凄い〜!と自分の使った魔法に感動していた。


「次から次になんなの!?巌窟竜!ケルベロス!あの塊を消し飛ばせ!」


ローズの魔法をラプラの錬成魔法により威力を上げたブレスで相殺し、ほっと息をつく間も無く巌窟竜とケルベロスによる土属性と闇属性のブレスが放たれ、なんとか氷塊を砕き直撃を免れる。


「…その子女王様の子供とか言ってたよね…?人の姿になれてないって事はまだガキンチョだよね…?おかしいでしょ…」


子供であるはずのルビーから放たれた、自分の命を脅かす魔法にじんわりと嫌な汗が背中を濡らし、動揺を隠せないラプラ…


その様子を見て、今がチャンス!と思ったローズはラプラへ攻撃すると見せかけて、ケルベロスへと魔法を放つ



「……風魔法、風妖精の破刃ッ!!」


その一撃は、妖精騎士団によって押さえ込まれていたケルベロスの首の一つをなんの抵抗もなく斬り落とす。


そして風の刃がケルベロスの首を落とした時…役目を終えた風が爆風を起こし、ケルベロスの巨体を無月の夜空へと舞い上げる…


「なっ!?しまった!!」


ラプラが自分の失態を嘆くがもう遅い…


ルビーが既に魔法を完成させ、空中を舞う二俣の首になった犬目掛け…魔法名を唱える…



「お〜!パパじきでん〜!氷龍の顎(ひょうりゅうのあぎと)〜♪」


突如として気温が下がる…


そしてルビーの魔法により現れた空をトグロを巻くように飛んでいる1匹の龍…



ローズでさえポカーンと口を開き、その光景を戦闘中である事も忘れ見入ってしまう。


「ほ、本当になんなの…」


我慢できなかったラプラの呟きが、静まりかえった空間に鮮明に聞こえる。


そして…


「いっけ〜♪」


ルビーの可愛らしい掛け声と共にケルベロスの腹を食い破る氷龍…ケルベロスは断末魔の悲鳴を上げる事もできず、一瞬で氷漬けにされ、その長い生に幕を閉じたのであった。



そして、役目を終えたルビーの魔法が弾け、キラキラと氷の結晶が空から降り注ぐ…



ユウキ達の世界で言うところの初夏ぐらいの季節であるペリドットに、季節外れの雪が降り積もるのであった。



「ママ〜?寒いよ〜!」


自分で発動した魔法により身体を震わせている娘に呆れ半分…私たちの娘強くなりすぎちゃいましたけど!?とユウキへと報告したいローズは、とりあえずルビーに防寒魔法により寒さを和らげてあげ、周りの騎士達にも同じ魔法をかけてあげるのであった。



「へーっくちっ!!な、なんなんだよもー!あの男の子といい、その子といい!!強すぎるって!!」


流石にコレはまずい…と逃げる方向に思考をシフトさせたラプラ…


まさか逃げ出すとは思っていないローズ達はラプラの様子に気づく事なく、敵の次の攻撃に備えるのであった。



私とルビーだけでこいつらは始末できそうね…そうなると気がかりなのは向こう側かしら…


リリアとサーシャが居るとはいえ、向こうは言ってしまえば寄せ合わせ集団…強者が複数いた時の事を考えると部が悪い…


そう思ったローズはさっさと片付けて向こうの応援に向かおうと思い、極大魔法の詠唱を始める。



「!?何あんな極大魔法ぶっ放そうとしてるの!?チッ!!巌窟竜!こっちもやるよ!!出でよ雑魚ども!アイツらの気を引いておいて!!」



魔法陣から召喚したラプラの子分…いや、本当はアリンから受け取った魔物達だったのだが、ラプラの錬成魔法の実験に使われ、どいつもこいつも見た目がグロテスクに仕上がっていた。



妖精騎士団は当たり前なのだが全員女性…


ラプラの召喚した魔物に生理的嫌悪を覚え、顔を青くし後退り始める。



だがしかしそこである言葉を思い出す…



それは以前ユウキが妖精騎士団の練習風景を見学し、感想を述べた時の事…


『敵前逃亡は万死に値する!!とは言わない…だが、勝てる相手から逃げ出す事はしない事、何故なら自分がそいつを見逃したことにより、他の誰かが犠牲になるかもしれないからな!』



私達が逃げ出せばローズやルビーに被害が及ぶ…


ユウキの言葉を思い出した騎士達は退いた足を一歩前へと踏み出し、腰に携えていたロングソードを抜き放つ。



「ローズさんを守る為に!力を貸してくださいユウキ様!!みんな突撃ッ!!」


やぁぁぁぁあああ!!!と覚悟を決め剣を振るう騎士達の姿を横目に詠唱を続けるローズは、ユウキと妖精騎士団の間に本当に何があったの!?と今すぐユウキの元へと行きたい衝動を必死に押さえ込むのであった。



そして遂に詠唱が完成する。



「私は妖精族の女王…民に刃を向ける者に鉄槌を下さん!!極大魔法!!妖精王の翅扇撃(しせんげき)ッ!」


「巌窟竜!!極大魔法…嵓山波状砲(がんざんはじょうほう)ッ!!」



二つの極大魔法が激突する…


そしてとてつもない爆発が起こり、耐えられなかった者から爆風に吹き飛ばされ、ユウキから受け取っていたプレートの危機回避スキルにより、怪我しないように自分の周りに結界が張られ、事なきを得た…



徐々に煙が晴れていく…


爆発をユウキのスキルにより無傷でやり過ごし、その場に佇むローズは、煙が薄れていく様子を静かに見守っていたのであった。





次の更新は明日の正午になります!


なんか娘強くし過ぎたか…?と思いましたがこれくらい普通だよね?と開き直ることにしました!


次話はリリアの戦いです!お楽しみに♪

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