第54話 ペリドットの戦い Ⅱ
本日2話目になります!
〜〜sideローズ〜〜
リリア達の方へ敵が接近してる頃…
ローズとルビー達が陣取っていた、前回土竜が出現した場所にも敵が迫っていた。
ただし此方は大群ではない
1匹の竜と1人の女であった。
「やぁやぁ!初めまして!僕の名前はラプラ!覚えなくていいからね!どうせみんなここで死ぬからさ〜!あはは!」
「あら、此方も最初から覚えるつもりは無いから安心して頂戴ね…これから死んでいく人の名前をいちいち覚えるのも面倒くさいもの…うふふ〜」
空気を読んで黙っているルビーを肩に乗せるローズと、土竜の上で仁王立ちをしているラピス…
両者一歩も引かない睨み合いが続き、国の反対側から聞こえた爆発音を聞き、再び時が動き出す。
「おや?向こうも始まったみたいだね!こっちもそろそろ始めよっか?始めるのは一方的な蹂躙劇だけどね?」
「あら?始まるのは蜥蜴と色黒女の解体ショーじゃ無いかしら?間違えてたらごめんなさいね〜」
「あぁ?なんだと羽虫」
「何かしら?色黒女」
「…ママ〜?お顔が怖いよ〜?」
ルビーがローズの様子に怯えているが、口上戦は引き分けといった感じに落ち着く。
リリアさん…サーシャ…みんな…必ずまた会いましょう…
そして、必ずこの子と共にユウキさんと再会するんだから!!
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「あなた?今ちょっといいかしら?」
「ん?どうしましたローズさん?作業しながらで良ければお話聞きますよ?」
ユウキが連れ去られた妖精族を救出に行く前、ユウキが戦いに備え魔導具を作っていると、そこへローズが面会に来たのだ
「その…ごめんなさいね…大変なことを押し付けてしまって…なんとお礼を言ったらいいのかわからなくて…」
「あはは…そんなの気にしないでください!これは俺が好きでやってることなので、ローズさんに恩を着せる為にやってるわけじゃ無いので」
「そうは言ってもお礼はさせてほしいのよ…何がいいかしら…?」
「お礼?それこそ入りません!俺はローズさんの家に無償で転がり込んですだけの紐にはなりたく無いので…此方のお礼をお礼で返されてしまっては本末転倒ですよ?」
「ひも…?何を言ってるのかよくわからないけど、お礼されるようなことでもないわよ?なんせ娘が連れてきたお客様なんだから、そんなの気にしないでお礼受け取って欲しいのよ」
ぐぬぬ…ローズさんも頑固だからな…
お互い一歩も引かず平行線のまま有耶無耶になり、結局俺が折れることになるんだろうな…
なら、しょうもない争いは辞めて早々にギブアップしてしまおう…
「はぁ…わかりました…お礼は受け取ります」
「あら!ならお礼はわた『ただし!』…何かしら…?」
え、なんか一瞬で機嫌悪くなったんだけど…何事ですか!?
それもそのはず、ローズはお礼に私を上げますと言わば逆プロポーズしようとしてたのをユウキに無理やり遮られたのだ。
不機嫌になるのも仕方が無いであろう。
「…そ、その!代わりにこれを受け取ってくれませんか!?」
「……何かしら?」
「こ、これです!」
そう言い俺が差し出したのは一つのシルバーのリング…
そこにはペリドットの宝石が埋め込まれ、キラキラと光に反射し輝いていた。
「…これを私にくれるの…?」
普段の大人っぽい話し方も忘れ、あどけなさの残る少女のように溢れんばかりの笑みを浮かべるローズは、年相応に見えた。
「はい、これが俺の気持ちです。受け取ってもらえますか?」
日頃の感謝の思いを込め、ローズに指輪を送る。
ユウキにとってはそういう理由であっても、受け取る側は違う意味として捉えてしまう。そのような言い回しを使ってしまうのは、やはりユウキが天然ジゴロだからなのか、将又女の子慣れしてないことが原因なのか…
とにかく、ローズは勘違いしてしまった。
「…これはそういう意味よね…?」
「?えぇ、そうですよ?」
この時のローズは舞い上がっていた為に普段の冷静な思考回路が吹き飛び、頭の中では既にユウキとの新たな生活が始まっていた…
つまりローズは、俺の気持ち=好きです付き合ってください。という言葉に脳内変換され、ユウキはこの時点で既に取り返しのつかない事態へと至っていたのである。
「本当はこちらから言おうと思ってたのに…またお礼を考え直さないといけなくなってしまったわね…どうしましょう?」
「??さぁ…俺は最初に考えていたお礼でいいのですが…」
「…まだ敬語を使うのね…?」
「え!?あっ!じゃあ、これから敬語をやめるというのが俺が欲しいお礼ではダメですか?」
「なるほど!いいわねそれ!それじゃあこれからは私の事をローズと呼び捨てで構わないわ」
「え、いきなりハードル高くないですか?」
「何言ってるのよ…これくらい普通でしょう?」
なるほど…これが普通なのか…?世の中の男女関係は難しいな…俺はクラスメイトにさえ敬語で話すのに、いきなり年上の女性を呼び捨てはキツいぞ!?教えてくれ!誰でもいい!俺に年上の女性をなんでもないように名前で呼べる精神力の鍛え方を!!
(ユウキよ…案ずる事はない…心の従うままに行動しなさい…さすれば光明は見えてくる。さぁ一緒に言おう。りぴーとあふたーみー、ろーずまま。ほれ、言ってみろ)
「ろーずまま」
「え!?どうしたのあなた!?」
(はっ!?なんだ!?何かに取り憑かれてたような…あの懐かしい声は…)
(ワシじゃ!)
(じいちゃん!?何故俺の心の中にじいちゃんが!?)
(ユウキよ…恐るな…何事も経験じゃ、ワシもユウキぐらいの歳の頃には良くそう言った店に通ったもんじゃ…)
(俺の歳くらいにそんな店行ってたのかじいちゃん!?聞きたくなかった!!ってか、これはなんだ?)
(これか?ワシもよくわからんのじゃが、お主のスキルが作った幻の存在と言ったところかの…まぁ、また何か困った事があったら呼ぶとええ…ワシはユウキの側におるからのぉ…)
それだけ言い残し、じいちゃんは消えていった…
じゃ、ないだろ!?なんだ今の!?俺のスキルが暴走したのか!?てゆーか!
ろーずまま〜じゃねーよ!!
じいちゃん女の尻ばっか追いかけてたのは、やっぱ根っからのエロオヤジだったからじゃないか!!なーにが
ユウキよ…お主にもそのうち分かる時が来る…いずれ真実にたどり着いた時…西音寺流の真の伝承者と至るだろう…
だよ!!そんなのこっちから願い下げだわ!!
俺、西音寺流使うのやめようかな…とちょっと本気で悩みの種になりそうな現象に頭を抱えたくなるが、これよりも今は目先の問題を解決せねば!
「ローズさん、いや、ローズ…気にしないでくれ…ちょっと自分の中のエロ祖父に負けそうになってただけだから…」
「そ、そうなのね…でも普通に敬語無くなってくれて嬉しいわね…今まで少しだけど距離感感じてたから…」
「あっ、そうだったんだ…それは気づかなかった…ごめんね?」
「ううん…気にしないでちょうだい…あなたにそのつもりがないのは分かってたし、それにもっと親密な関係にもなれたし…」
2人の会話は何処までも噛み合う事なく、結果としてローズは勘違いしたままその時を迎えた…
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この戦いが終わったら…旦那様に目一杯甘えるんだから!
恋人通り越して旦那になってるユウキさん…
ローズの脳内では既に新婚生活が開始され、ハネムーンに獣人の国辺りに行こうかしら?などと考えている…
目の前に敵がいるのにも関わらず余裕のローズさん
理由は二つ
一つはユウキと恋人関係になった(と思い込んでいる)ので、幸せ絶頂…妖精族は幸せを感じた時に、より強い力を発揮する種族…
幸運の妖精との異名を持つ程、巷では妖精族と出会えればいいことが起こるとされている。
それ程の力を秘めた種族なのだ
そして二つ目
ユウキから貰った指輪…これに付与されているスキルがチートなのだ
リリアと同じスキルに加え、他にも様々な恩恵が宿されていた。
このペリドットという宝石は、付与魔法と相性が良いらしく、リリアに贈られているアメジストの指輪よりも2倍以上ものスキルが付与できたのだ。
ラプラがこちらに来ていることがわかっていたのも、リリアと同じく空間把握スキルを使い、ローズの目にはユウキがデザインしたエンブレムが浮かび上がっている。
だからこそ負けるつもりも、まして死ぬつもりなど毛頭無いのだ。
「では、そろそろおしゃべりもやめてこちらも始めましょうか?その蜥蜴ちゃんの相手はあなたたちに任せるわね?私はあの色黒女を抑えるから、任せたわよ?」
ローズの命令に、はっ!と返事を返し先日してやられた土竜…いや、サーシャの言っていた黒い鱗へと変化した竜へと妖精騎士達が対峙する。
「思惑に乗るのは嫌だけど…僕もお前から殺したいからその案に乗ってあげるよ!土竜改め巌窟竜!羽虫共を地に落とし蹂躙しろ」
「みんな気をつけて!!」
巌窟竜へと進化した土竜の戦力は、軽く国を滅ぼせる…それだけのスペックを秘めていた。
だが、ユウキの魔導具により強化された妖精騎士達も一人一人が一騎当千の戦士へと変貌ー遂げている。
そしてローズとラプラ…この2人の戦いも過熱を極めるだろう事は変えようの無い未来であった。
リリアとサーシャ
ローズとルビー
同時に2ヶ所で戦闘が始まってしまった。
どちらかが負ければペリドットそのまま滅びる事になる。
絶対に負けられない戦いの火蓋が幕を開けたのだった。
こんばんわ!頭痛薬って偉大ですよね!
ツッコミどころ満載だと思いますが、書いてる自分が一番謎です…
ここで出てきたユウキの心の住人はコロコロ変わる予定です。悩む内容によって相手が変わる…といった設定にしようかな…と検討中であります
次の投稿は明日…と言いたいのですが、明後日の正午になります…
体調が本調子で無いため今日はここで筆を置いて、眠りに着こうと思ってますので、申し訳ないです!
今週で終わるのは無理そうなので、今月で二章が終わるのを目標に書いていきますので、どうか今後もお読みいただけると幸いです!
では、明後日またお会いしましょう♪




