第52話 vsキメラ
本日2話目になります!
2020/9/22 18時頃に誤字修正しました。
「やぁ、待たせたな…って言っても伝わんないか?」
「クガッガギッ、ウゥウアア、ゴロジデ…オレヲゴロジデグレェェェァアア!!!」
「これは…元に戻すのは無理か…?」
完全に意識が一体化してるのであれば切り離すのは不可能か…?キメラは錬金術で造られるはずだし、俺のスキルがあればなんとかなると思ったが…
その瞬間、俺のスマホがピコンと通知を告げた
なんだ?誰だこんな時に…
その通知の音で驚いたのかこちらに、火、水、風、土…4属性の魔法を撃ち込んで来るキメラ…なるほど、キメラになる前の人たちが使えた魔法を全て使えるのか…
まぁ、俺も使えるんだけどな?
「はいよっ!と…今考え事してるからちょっとそいつと闘っててくれ」
魔法を相殺した後、錬金術で作り出したゴーレムにキメラの相手をさせて、スマホを取り出す。
このタイミングでLINO送ってきたのは誰かと思ったら、マリアさんか…まぁ、マリアさんと俺以外にスマホ使える人いないんだけどな?
えっと…どれどれ
マリア:ユウキさん大変な時にごめんなさいね…
マリア:こちらでもそっちの様子を見ているのですが、キメラの肉体を構成してる物は、素材として使われた4人の妖精族なのです…
ユウキ:大丈夫ですよ!それなら俺の錬金術で元へ戻せそうですかね?
マリア:確証は無いから絶対とは言い切れませんが、ユウキさんならできると信じてます
ユウキ:マリアさんに信じてると言われたらやるしかないじゃないですか!まぁ、任せてください!
マリア:私の子供たちをよろしくお願いします…
…やるしか無いか!
LINOが終わると同時にゴーレムが壊される。
「よっ、そんな怒るなって!今度こそ俺が相手してやるからさっ!先手必勝!ミスティ!モードガントレット!」
「はいなのです!」
俺の呼びかけに離れていたミスティが一瞬でガントレットへと変化し、俺の手に装着される。
「西音寺流徒手格闘術 初伝 雷拳ッ!!」
背後を取り一撃を撃ち込む
そのつもりだったが、なんと背後にも顔がついていたのだ…そして、その口から火炎放射してくる。って危な!?
これは体内から顔が出てきたのか…?最初見た時は正面に顔が4つついてたはず…
俺が目を話してる隙に背後へと顔を移動させてたってことか…?
き、きもちわるぅぅううう!!
俺そう言うの無理なんですよ!!なんかよく見たら足いっぱいあるし!手も8本生えてるし!無理だ!!
(マスター?やるしかないのです!あの人達を助けるんじゃないのです!?)
(いやいや、見てあれ…なんか指めっちゃ動かしてるんだけど…うねってるんだけど!!)
(いいから早く!リリアたちの方もヤバいのです!こんな所でもたもたしてる場合じゃないのですよ!?)
(はっ!そうだった!完全に忘れてたわ…またリリアに怒られそうだな…仕方ないやるか)
(やれやれなのです)
とりあえず斬れないからぶん殴って気絶させようと思ったけど、殴る場所に顔が出てきたら厄介だなぁ…
いや、なんだ簡単じゃん…あの技で全て解決できるな!
隙を見てその技を叩き込む為にキメラに向かい肉薄する。
「オラオラッ!!」
俺の拳に合わせてキメラも腕を動かしてくる…キモいがそんなこと言ってられないからな…
「ちっ!西音寺流徒手格闘術 中伝 明王拳ッ!オラァッ!!」
一瞬で四発の拳を叩き込むこの技を連続して使うことにより、キメラの腕を全て使わせる。
そして、ここで仕掛ける!!
「追加だ!!西音寺流徒手格闘術 奥伝 千拳乱舞!」
俺は手と足を使い千発の殴打を繰り出す。
そしてそれを防ぎきれなくなったキメラは「ググゥゥッ」と呻きながら徐々に身体にダメージを受けてしまう。
「オラオラオラオラオラオラッッ!!!」
ちっ、ここまでやってまだ完璧な隙は作れないか…しかも違和感があるな…
こいつ…殴る場所によって痛がる顔が変わってるのか?感覚が場所によってバラバラだとしたら、厄介すぎるだろ!!
(ミスティ!今からこの技の速度を上げて体全体を攻撃するから、すべての顔が同時に痛がるそぶりを見せたところを教えてくれないか!?)
(ま、まかせるのです!それくらいやってみせるのですよ!)
相変わらず頼りになるなミスティは…
(頼んだぞ!)
(はいなのですっ!)
「速度上げてくぞっ!雷光発動ッ!!ハァァァッッ!!!!」
「!!??イ、イダイッヤメロォォ、アァイヤダイヤダイヤダ」
「すまんなっ!!今楽にしてやるからっ、我慢してくれっ!!」
敵も必死にガードを試みるが一発防げてもその分周りに十発の拳を叩き込む。
魔法で俺を引き離そうとしても、俺は魔法でそれすらも相殺してしまう。
完全に一方的な戦闘…そして遂に決着の時がやってくる。
(見えたのです!顔が正面に出てきた時の丁度ど真ん中!!そこを殴った時にすべての顔が歪んでたのです!)
(ナイスミスティ!)
「…お疲れさん!ちょっと痛いが我慢してくれ」
「グァァァ…ァァ?」
猛攻を一瞬でやめ、俺はミスティが見破ったキメラの弱点に拳を当てる。
一瞬の静寂…そして意識を取り戻した人達が見守る中、キメラとの闘いの幕が降りる。
「西音寺流徒手格闘術 奥伝 共鳴拳 破砕…」
俺が奥義を使った瞬間、打ち出した拳がキメラの体内を破壊する。
悲鳴すら上げることなく、その場に倒れ伏すキメラを見届け、まず無事だった人達の容態を確認することにする。
「よし、終わり〜みんな怪我とかないか?」
「あ、あの、あたしたちは貰ったポーションのおかげで全然大丈夫です…そ、その…彼女達は死んだのですか…?」
「それは良かった!…いや、殺してないよ?暴れないように気絶させただけ、本当なら死んでるんだけど威力調整したから死んではないはず…」
まぁ、死ぬほど痛いだろうけどね…
敢えて言うこともないので心の中に留めておいて、みんな大丈夫そうだし、さっさとキメラを元に戻してリリア達を助けに行かないと!!
「んじゃ、さっさと元に戻すからその後のことは任せてもいいかな?今ペリドットに戻れないから、ここに結界張るね?この中にいれば安全だから迎えに来るまで待っててもらえるかい?」
「それは構いません!そ、それよりも彼女達は元に戻るのですか!?」
「戻る、いや戻してみせるよ…それに彼女達が殺されてからだったら無理だったけど、生きながらキメラにされたと言っていたからね…それならなんとかできる」
「本当ですか!?よ、よかった…私の身代わりになってくれたんです…本当によかった…」
俺の言葉に、身体を抱き合い喜びを分かち合う妖精族の人達をその場に残し、俺はキメラ…いや、彼女達の元へ戻る。
「ミスティ、一旦装備解除するね」
「おっと!マスターお疲れなのです!本当に戻せるのです?」
「まぁ、見てて?錬成っ!!」
その瞬間、キメラを構築していた数式が頭の中へと流れ込んでくる。
なるほど、ここをこうして、こうすれば元に戻せるのか…戻した時に肉体と魂が別物になったら困るから、慎重に扱わないと…
1秒たりとも気を抜けない作業に、一気に汗が吹き出し滴り落ちる。
そして、無事肉体の分離が成功し4人の女性が床に並んで寝そべっている。
そして、問題が一つ。
「マ、マスター!?見ちゃダメなのです!!」
「な、何するんだミスティ!?これは俺へのご褒美じゃないのか!?」
「違うに決まってるでしょう!?むっつり!変態!」
そう、服など戦ってる時から無かったのだから、元の姿に戻した時に、全裸になってしまうのは仕方ないのである。
そして、それを予想していながらも忘れてるフリをして錬成を始めた俺は確信犯…一瞬だけだったがご馳走様でした!って感じだな…
その後、亜空間から取り出した適当な服で、全裸の女の子達をラーニャ達に着替えさせ、ポーションを口に流し込み、結界を貼ってペリドットへと帰還することにする。
「ラーニャちゃん達、この人達が目覚めた時の説明とかは任せるね!俺はローズさん達を助けに行ってくるから」
「ま、待ってください!その、お姉ちゃんは死んでないのですか…?」
「は?当たり前だ!俺が間に合ったんだから誰も死なせるわけないだろう!この前の戦いで戦死者は出てない!だから安心してここで待っててくれ…」
最初は強めに誰も死んでないことを告げ、そして安心させるように優しい口調で言い聞かせる。
「よかった…本当によかった…!」
泣き出した人達を尻目に俺はその地を後にする。
「さて、ミスティ!今度は大将戦だ!油断なくぶちのめすぞ!!」
「合点承知!なのです!!」
今宵の戦いはまだ終わらない…
次なる死闘を目指し、俺はペリドットへと転移するのであった。
こんばんわ!次の更新は明日の正午になります!
次の戦いに向けさくっと前哨戦は終わらせてしまいました!
この物語は基本ユウキの救える範囲で人が死ぬ事はありません…
明日も二話更新になりますので、お楽しみに♪




