第50話 お馬鹿な王女
本日2話目になります!
誤字報告してくれた方ありがとうございました!
「あなた?みんな集まってくれたわよ」
「あっ、了解です!今行きますね!リリア達も来る?」
「私はやることあるので遠慮しておきます」
「私は行く『ミスティちゃんもこっちね?』…行けないのです…」
「ルビーは眠たいの〜」
ルビーを1人にするのは怖かったので、俺の胸ポケの中に防音結界を張り、その中に入っていてもらう。
「パパ〜ママ〜おやすみなの〜」
「おやすみルビー」「はい、おやすみ」
なんか夫婦っぽいな…と思っているとリリアが膨れっ面でミスティを引き連れて何処かへ行ってしまう。
またやらかしたか?と思ったが仕方ない、俺はルビーにおやすみと言っただけなのだから!と開き直ることにした。
「では、ローズさん行きましょうか」
「えぇ、そうね…」
そして俺達はペリドットの重鎮達と話をするためにローズ家を離れ、集会所に向かうのであった。
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〜〜sideリリア〜〜
もうっ!ユウキさんは酷いです!私も早く子供が欲しくなるじゃないですか!
とプンスカ怒ってるリリアに手を引かれ歩いてるミスティはげんなりしていた。
「リリア〜?どこへ行くのです…?せっかくお風呂入ったのに汚れたくないのですよ…」
「ユウキさんがこの国の人達と話をしてる間に、私たちで猫さんの居場所を下見に行きます!」
絶対ろくなことにならないなコレ…と思いながらも「…なるほど、いいかもしれないのです」とそれっぽく言って丸く収め、心の中で…
絶対後でマスターに怒られるのですぅぅぅ!!リリアのあほぉぉぉお!!と叫ぶのであった…
「私っていつもとばっちりばっかりなのです…私はレジェンダリーウェポンなのですよ…?こんな不遇な立場になるような存在じゃないのです!」
「??どうしました?ミスティちゃん?」
「いえ、なんでもないのですリリア…ちょっと私の立場を向上させねばと決意したところなのです」
「???よくわかりませんが、今から結果を残せばミスティちゃんの立場も私の立場も向上しますよきっと!」
「ははは…それはないのです…」
既に怒られる未来が確定してる為、立場が向上することなど無いのであった。
それを理解してるミスティと、理解していないリリアで温度差があるのは仕方のないことなのであろう。
「それよりもリリア?猫さんの居場所はこっちであってるのです?」
「はい!ここに来るまでちゃんとこの指輪で猫さんの場所を特定してますので、完璧です!」
何故か自信満々のリリアに一抹の不安を拭えぬまま、ミスティは言われるがままに、リリアに手を引かれ強制連行されるのであった。
そして猫のいるであろう場所まで辿り着いた2人は、その姿が見えぬことに、はて?猫さんは何処へ?などとボケーっと辺りを見回すがそこに姿は無い。
「リリア?本当にここであってるのです?」
「はい、間違い無いのですが…何故いないのでしょう…?」
「それは私の台詞なのです…早く帰りたい…」
とうとう本音が出てしまったミスティを笑顔で黙らせるリリア、王女様の笑顔は最近ヤンデレムーブをかましてるのでめちゃくちゃ怖いのだ…その笑顔の前では神でさえ怯むであろう。そして伝説の武器とはいえ、まだ目覚めて間もないミスティに逆らう術はなく、ミスティは渋々、本当に渋々捜索を続けるのであった。
そして…
それを見つけたのであった。
「ミスティちゃん!!これ!」
「おぉ!ビンゴなのですよリリア!これなら怒られなくて済むかもしれないのです!!」
「やりましたね!!…怒られる…?誰に怒られるのでしょう…?」
リリアの喜びとミスティの喜びのベクトルは180度逆であったが、それでも手がかりを見つけた事に変わりはない。
「リリア、早く戻るのですよ!」
「え?ここで念話してユウキさんに来てもらった方が早いのでは?」
「やっぱりリリアは馬鹿なのです…いいです?よく聞くのですよ!」
「えっ!?今馬鹿って言いました?私は馬鹿じゃないですよ?!」
「静かにするのです!私達がここにいる事が敵にバレた瞬間、私たちは詰むのですよ?ここで待ってる間に敵に遭遇したらどうするのです?」
「それはもちろん戦『やっぱりリリアは馬鹿なのです』酷くないですか!?」
食い気味に馬鹿と言うミスティに涙目になるリリア…王女として英才教育を受けてる筈だが、実戦や本番で力を発揮できないタイプなのであろう。やはり残念王女と呼ばれてしまうのには、理由があるのかもしれない。
閑話休題…
ミスティにより、リリア達と魔神族との意図せぬ遭遇銭がギリギリ回避され、帰路に立つ。
その後ろ姿を1匹の猫がじっと見つめているのであった。
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〜〜sideユウキ〜〜
「お待たせしました、お呼び立てして申し訳ございません…少し気になる事がありまして、皆さんにお話を伺いたく思い、集まって頂きました次第でございます」
「いやいや、そんなかしこまんないでくれるかな?こっちは助けてもらってる立場な訳で、そんな遜られるとかえってやりにくいよ?」
「…皆さんも同意見でしょうか?」
そう言い周りを見渡すと皆一様に頷き、畏るなとその目が訴えかけてきていた。
「それじゃあお言葉に甘えて…今回みんなに集まってもらったのは、この国にいた猫の話を聞きたくてですね」
「猫!?この国に猫がいたのですか!?」
「それは問題よ…それでその猫は何処にいたのかしら?」
この様子だと本当にこの国に猫は居ないみたいだな…猫派の俺としては物凄く悲しいが、この国のルールがある以上それに逆らうのは愚行というものだろう。
「えぇっと…さっき俺と一緒に行動してるリリアという子に、俺の能力が付与されている指輪を媒介にして、猫を調べたところ今はこの国の結界の内部には居ませんのでご安心ください」
俺がそう伝えると、あからさまに皆ほっとするのがわかる…どんだけ嫌いなんやねん…
「それでですね…その猫が実は使い魔だった可能性がありまして…」
「ほぉ…?ではユウキさんはこの中に猫を使い魔にしてる悪趣味な妖精族がいると…」
「いえ、それは無いですね。でも、思い出してください…今この場にいないもので猫を使い魔にしてそうな人に心当たりがあるんじゃないですか?」
俺の言葉に、はっ!となる面々…まぁ、それもそのはず、いつもならここに集められていたであろう人物が今日はいないのだから
「なるほど…確かにアリンさんなら…」
「あぁ、それなら納得がいくな…あいつも妖精族だった筈なのにな…」
何処か悲しそうな雰囲気を醸し出してる人たちには申し訳ないが、話を続けさせてもらう。
「そして、その猫のせいで俺の索敵スキルが機能しなくなった可能性があります…なので猫を見かけたら迷わず殺してもらえませんか?」
「それはこの国としても子供達が猫に襲われてしまってはひとたまりもないから大丈夫だが…」
「まぁ、今はその子供達も居ないんだけどね〜」
場違いな事を言ってしまった妖精族の名前も知らぬ人がみんなから睨まれて縮こまっているのを助けるわけでは無いが、話題を変える。
「それで、その猫を追いかければ敵の居場所がわかると思い、急遽ペリドットに帰還したんですけど、俺たちが不在の間に猫を見かけた方は…さっきの様子じゃいないですよね…?」
誰か見たか?と確認してみたが案の定誰も見てない様子…あれからこの国には入ってきてないのか…
「あの…そういえば私見ましたよ?土竜に襲われる寸前に森の中でこちらを見ていた黒猫を…その時は予知夢もあったし急いでたこともあって、忘れてましたが…」
「では本当にこの辺りに猫がいたのね…」
「それでユウキさんはその猫に呪いをかけられ、索敵スキルが使えなくなってるのかしら?」
「そうなんですよローズさん…最後に遭遇した時に右手を引っ掻かれて、多分それが原因かと…」
俺の状態異常無効にできるイブの加護を無視して、呪いをかけてきた猫はもしかして最強なのでは?と思ったが、その加護がイブのものである事を思い出し、あいつなら適当にスキルをでっち上げてる可能性もあるのか…?とイブの事を疑う俺は、「そんなことしてないからね!?」と神界で慌てるイブの姿が脳裏に浮かぶのであった。
そして、今後の動きをみんなと詰めているとそこに乱入者が現れる。
バァーーーンッ!!
扉が勢いよく開かれる音にみんな一斉にそちらを見るが、開けた本人が一番音にびっくりしていて、「び、びっくりしました…」と胸に手を当てている。
そう、言わずと知れた天然残念おてんば王女のリリアである。
「…何か変な注釈をされた気が…」
おおっと!スーパー可愛い俺の彼女のリリアさんでした!
リリアは無駄に鋭いんだよな…もっと違う事にその能力を発揮してくれるとマジで助かるんだが…
「ユウキさん!あっ、皆さんこんばんわ!…ではなく、私見つけました!」
「お、落ち着けリリア…みんなも騒がしくしてすみません…それでリリア?何を見つけたって?」
「えっ、もちろん敵の居場所らしき場所ですよ!どうです?私偉いでしょう?」
何故かえっへん!と胸を張り、偉いでしょ?と宣うリリアにはちょっとお灸を据える必要がありそうだ…
こんばんわ!明日も2話更新しますよ〜!
ようやく終わりが見えてきました…月1で一章ずつ終わる予定でいるので中々キツいですね…
次の更新は、明日の正午になります!
明日も2話更新になりますので、お見逃しないよう気を付けて下さいね♪




