第47話 出陣
長くなりそうだったので、切りのいいところで切りました!
そして、サーシャの名前が最初はシャーナだった事に気づきました…サーシャだとアメジスティアの受付嬢と名前が似てる…けど、まあ今更だしシャーナの方を修正して、サーシャで統一しました!
翌朝…既に陽は上り、朝食を食べ終えた俺たちは消えた人たちの痕跡を探すために、森へと踏み入れる準備をしていた。
「ローズさん、龍穴の祠の方へ行かなくても大丈夫なんですかね?」
「そちらには私たちで向かうから大丈夫よ。ただ危険な方を任せてしまってごめんなさいね…」
「心配するな!なのです!私達にはマスターが付いてるのですよ?危険なところもピクニック気分で行けるのです!」
いや、危険地帯にピクニック気分で行けるのは君たちだけで、俺は内心ビビってるから…期待が重すぎる…
若干げんなりしている俺は、こちらに慌てた様子で走ってくるものの姿を見つけ、若干デジャブを感じつつ、その者がこちらに到着するのを待つ。
「はぁ、はぁ…間に合いました…ユウキさん、ローズさん…また予知夢を見ました!それを伝えたくて…」
「でかしたわサーシャ!それで内容は?なんだったのかしら!」
「そ、それが夢…というよりも妹が見ている光景…?って感じで…」
「妹が…?詳しく教えてくれるかしら?」
「はい…その場所は何処か洞窟みたいな場所で、この前見た夢に出て来た女と、その…アリンさんがその女と仲良さげに話してる姿でした…」
あー、やっぱ俺とマリアさんの予想は正しかったのか…あの時俺とマリアさんが睨んでいた通りの展開になって来たな…
---------------------------
「ユウキさんはどう思いますか?今回の事件」
「俺が怪しいと思う人物は3人ですね…まず1人目が、夢を見たと言いローズさんを土竜の出現場所へと導いたサーシャ」
「確かにサーシャちゃんは怪しいと言えば怪しいかもしれませんが…あの子は私が直接指示を出してるような物です…あの子が怪しいとなると私が黒幕になってしまうのですが…」
「えぇ、ここに来てマリアさんの話を聞くまでは限りなく黒に近いと思ってましたが…まぁ、サーシャは白ですね」
「えっ?候補から外してしまってよいのですか?」
「ん?もちろん!俺はマリアさんの事を疑うことはしませんからね…マリアさんの言葉を俺は信じてますから」
「ユウキさん…」
うるうるとした目でこちらを見てくる年上のお姉さん(数億歳差)にドキッとしたが、気持ちを切り替えるように2人目の候補を挙げる。
「そして、2人目が土竜との戦闘中にいきなり泉の方へと向かったアリンとかいう女…俺はこいつが犯人だと思ってます」
「おや?はっきりと言うのですね…候補は3人と言ってませんでしたか?」
「あー、3人目も黒ですよ?魔神族のあの女が間違いなく絡んでると思うので…そして、俺が思うにこの2人は繋がっているのではないでしょうか?」
「そういえば…ユウキさんが倒した筈の遺体が無くなっていたのでしたね確か…あっ、そうだ!あの時のスキル!余り多用してはいけませんよ?」
「えっ!?何故ですか!?」
「あのスキルはもう神と同レベルの力を持ってる証…邪神に目をつけられたら動きにくくなってしまいます…世界の理に干渉したユウキさんの事は神界でも話題になってましたし…向こうも感づいていると思いますので…これ以上下手に刺激するのは愚策かと」
うげっ!あの一回でそんな事になってたのか!あいつを黙らせるためとはいえ、時間を完全に止めたのはミスったか…やっぱイブの言う事は聞いとくべきだったか…不本意だけど
「えぇ…こればかりはイブが正しかったと言わざる終えないですね…ですが許します!私に鞍替えしませんか?」
「ちょっ!?何私の子を取ろうとしてるのさ!?いくら師匠でもそれはダメだからね?!」
「あっ、喜んで!」
「ユウキきゅぅぅぅううんんん!!??わだじをずでないでよぉぉぉお!!!」
「えぇい!うるさい!って、ちょっ!?鼻水付いてるんだけど!?汚いから離れろ!!」
「いやだぁぁぁぁあ!!ユウキきゅんが僕の元から去るなら、一生このまま取り憑いてやるぅぅぅうう!!!」
「質悪いなこの女神!?もはや悪霊だよ!神だからもっとたち悪いよ!!?わかったから!冗談だから!離れてくれ!」
「ほんとっ!?え、えへへ〜ユウキきゅんは私がいいって事ね…むふふ♡お礼にちゅーしてあげよっか!ほらユウキきゅんこっち向いて?んちゅーーっ!」
「寄るな化け物め!!!」
「ぐふぉあ!?ちょっとユウキきゅん!?ビンタはひどくない!?!?」
「話が進まないから黙ってなさい。黙らないと契約破棄するからな」
「はい。イブちゃんいい子なので大人しくしてます。だから捨てないでください…」
「……マリアさんすみません。こんなんでも一応俺の女神なので変えることはできません…」
「うふふ…仲良さそうで安心しました。鞍替えは本気9割冗談1割なので大丈夫ですよ?それよりも私からも加護を贈らせてもらいますね…えいっ!」
マリアさんの可愛らしい掛け声と共に、俺の周りを白いオーラが囲み、俺の中に何かが流れ込んでくる感じがする。
いや、本気9割ならそれはもう本気と書いてマジと読むんじゃ…ってここに来て新しい加護だと!?ありがとうございますマリアさん!
イブから貰った加護は状態異常や呪いの無効化と不老不死だったからな〜それ以外だと嬉しいな
「もちろん同じでは無いですよ?私から贈ったのは慈愛神の加護…大切だと思う人をユウキさんが受けた加護と同じ効果を与えられるようになる…そのような効果があります」
「えっ?それはリリアも不老不死になったと?そう言う事ですか?」
「そうですね…リリアちゃんとは恋人になったのでしたら大切な人の枠に入ってると思うので、加護の効果が発動してると思いますよ?ステータスを確認してみては?」
「あっ、表示されるんですね?確認します!ステータスオープン」
そういえば自分のステータスを見るのも久しぶりだな?と思い、ちょっと何か変化が起きていないかワクワクしながらステータス画面を覗く。
すると…
職業:魔闘神
Lv.1 (経験値増量適用中)
適正魔法属性:火、水、風、土、光、闇、聖
スキル:経験値増量、魔力消費激減、剣術の極意、槍術の極意、弓術の極意、錬金術の極意、魔術の極意、命中補正、千里眼、気配察知、夜目、隠蔽、鑑定、神速、神盾、ハーレム王の素質、妄想の具現化、イブの加護、言語理解
これが以前のステータスで、今確認したらこうなっていた。
職業:半神
Lv.9210 (経験値増量適用中)
適正魔法属性:全属性(派生属性含む)
スキル:経験値増量III、魔力消費激減III、剣神、槍術の極意、弓神、錬金王、魔導神、命中補正III、千里眼III、全てを悟る者、神の目、隠蔽III、鑑定III、神速III、神盾Ⅳ、ハーレム神、妄想の具現化Ⅴ、多言語マスター、アメジスティアの英雄、救世主、真の勇者、神の域に到達せし者、邪神族の天敵、竜を退けし者、創造神の加護、慈愛神の加護、慈愛神の寵愛、慈愛神と愛し合う者
慈愛神の加護発動者
幻想剣ミスティルテイン
アメジスティア・ユナ・リリア
アレキサンドラ・フォン・ルビー
アレキサンドラ・ フォン・ローズ
…………???色々とスキルが成長してるのもレベルが一気に上がってるのも、まぁ分かる。
だがしかし、どうしても放置できない称号が…ヤバイ手が震えて来た…
「マ、マリアさん……?こ、この慈愛神シリーズは一体…?」
「あら?気付きました?ちょっとユウキさんこっちにいらっしゃい?」
「は、はぁ…?わ、わかりました」
「いい子ね?えいっ!」
えいっ!と言う可愛らしい掛け声と共に今度はスキルではなく、マリアさんの唇が俺の唇に触れていた。
それはどこからどう見てもキスをしてるとしか言えない…そんな状態であった。
い、一体何を!?と思った俺だったが体が動かせない!?これは神通力か!?こんな事で神の力を使わないでください!!
「ちゅっ♡ちゅっ♡もう…ユウキさんが私の好みなのが悪いんですよ?あと一回したら解放しますから…」
一度離れた唇がもう一度重なろうとした時、思わぬ所から助けが入る。
「何してるの師匠!?離れなさいー!!」
「イ、イブ!助かった!」
「もう!いい所で邪魔をするなんてお仕置きが必要かしら?」
「理不尽すぎる!これは流石に見過ごせないよ師匠!!私のユウキきゅんに何するの!?」
「いや、俺はお前のでも無いけどな?でも今回ばかりは本当に助かった…あのままだと俺は食われてたかもしれない…」
「うふふ…ユウキさんの初体験を奪うのには失敗してしまいましたが、私の気持ちは伝わったでしょう?」
「……まぁ、嫌と言うほどに…あっ、別に嫌では無かったですよ?いきなりだっただけで、マリアさんみたいに美人な女神様にキスされるのは寧ろご褒美ですから!」
「……ユウキきゅん?なら私もしてもいいってことかな?」
「いや、お前は無理。受け付けてないからもしキスを迫って来たら、神界を破壊する勢いで暴れるから」
「やっぱ私に冷たくないかい!?私だって誰もが羨む美少女なのに!」
「美少女ってのは認めるけど、性格が無理なんだよなぁ…」
「そんなことよりも私の唇どうでした…?」
「ちょ!?私の事をそんな事で済まさないでよ!」
ギャーギャー騒いでるイブと頬を朱色に染めながらこちらに感想を求めてくるマリアに、俺は降参するように両手を上げ、虚空を見つめるのであった。
---------------------------
回想終了……マリアさんの唇はすごく柔らかくてモンブランの味がしました。
(うふふ…またしましょうね?)
どこからともなく聞こえて来たマリアの声に、身を震わせた俺に、何処か訝しげな眼差しで此方を見るリリアやローズの視線から逃れるように、俺は答え合わせをするように、その場に集まっていた人達に辿りついた答えを披露する。
俺の説明に息を呑む人々は、最初こそアリンが裏切るものか!と思っていたようだが、話が進むにつれその考えが徐々に変わっているようだ。
「まぁ、以上を踏まえて俺はアリンが裏切ってると断言するが…この意見に反対の人はいますか?」
俺の問いに手を挙げるものはいなかった。
それはそうだろう。俺は昨日の晩思いついた事を試し、それを今ここでもう一度見せたのだから。
リバイバルメモリア…過去の出来事を映し出すこの魔法によって…
そこにはバッチリとアリンが戦えない者たちを引き連れ、森の奥地へと消えて行く姿が映し出されていた。アリンの使った魔法とともに…
「……信じてたのに…まさか妖精族から邪神に与する者が現れるなんて…」
「ひどい…です…妹に…ラーニャに!私が死んだ姿を幻影魔法で見せるなんてっ!」
そう…アリンは周りの大人達を説得するために、ローズさんやサーシャさんの遺体を作り出し、自分の姿をボロボロで、いかにも敗走して来たように見せかけ、森へ逃げるように促していたのだ。
「これが真実で、俺たちの明確な指針だ!いいか!この女が魔神族と繋がって共謀し、この国を窮地に陥れ、挙げ句の果てに大切な人の死を偽装し、子供達に死の恐怖、大切なものを失う恐怖を植え付けた!その結果…ここに残されたもの達もまた大切な人達を失うかもしれないという恐怖に晒されている…」
そこら中から連れ去られてしまった大切な人達の名を声に出し、必ず取り返す!と決意の秘めた目をこちらに向けてくる人達の姿がそこにはあった。
「…必ず俺が取り返してみせる!みんなは帰って来た大切な人を暖かく迎え入れる準備をしておいてくれ!そして、もしもの時に備え戦いの準備は怠わぬように!リリア、ミスティー、ルビー行くぞ!」
「はい!」「はいなのです!」「お〜!」
3人の掛け声を後押しに、集まった人々からも声援が飛んでくる。それを背に受けながらローズに念話で後を託し、サーシャの言っていた場所を目指し深淵の森へと走り出す。
「必ず救ってみせる!間に合ってくれ!」
またしても時間との勝負…
ユウキ達が洞窟を見つけ出し、妖精族を救出するのが先か…
魔神族の女に殺されるのが先か…
この国の命運はユウキへと託されたのであった。
こんにちは!本日もお読みいただきありがとうございます!
突然の回想シーン…あの時遠い空の上ではこんな事が起きてたんですね!描いてる作者もびっくりの展開でした!w
悪ノリって怖いですね…w
てなわけで、ユウキにチートが追加されました…やっぱヒロイン死なせるのは嫌なので…いいよね…?
次回の更新は明日の正午になります!
多分今日よりは文字数増えると思います…一日1万字書きたいけど睡魔が…




