第44話 妖精の謎
こんにちは!予定通り更新になります!
「勝手に終わらせないでくれるかな!?」
「「ちっ、くたばってなかったかっ」」
「酷いよ2人とも!!てか、師匠ももう少し優しくしてくれてもいいんじゃないかな!?」
「え、マリア様はこいつの師匠なんですか…?」
「残念ながらそうなのですよね…あ、それよりも私のことはマリアとお呼びくださいね?様は必要ないですよ?」
「ええっと…では、マリアさんで…」
「ちょっと私放置しないでよ〜、うりうり〜ユウキきゅん?私の事もイブちゃん♡って呼んでいいんだよ〜?」
「触るなクソ女神!臭いがうつるだろうが!」
「辛辣!?」
まぁ、冗談はさておきマリアさんは何しに現れたのだろうか?早くみんなのところに戻らないと…
「あっ、そうですね〜イブが臭うのは置いておいて本題に入りますね?」
「ぐすんっ、私女神なのに…臭く無いのに…ないよね…?」
なんか、イブとリリアが被って見えてきた…
いや、それは無いな!こいつは引きニート女神でリリアは恋人…この時点で塵芥とマイエンジェルの差は歴然!叶う事なら早くイブを浄化して、この世界を平和に導きたいのだが…
「まさかの私邪神扱い!?この世界の創造神なんだけど!?…なるほど……。これは巷で有名なツンデレという物では…?むふふ〜やっぱユウキきゅんは私の事大好きなのね〜♪そりゃそうよね!こーんな美少女は世界に私だけなんだから!」
いや、それは無い。寧ろお前は俺の中で疫病レベルの災害だよ…まぁ、言わぬが花ってやつか…
「あちゃ〜!バレちゃいましたかー!それよりも話が進まないので、イブは風呂でも入ってきたら?」
「私が心読めるの知ってるよね!?私疫病扱いなの!?しかもさり気無く呼び捨てだし!?もういいもん!お風呂入ってくるもん!ふん!!」
やっとイブを追い払う事ができた…本当しつこい奴だった…
「さて、邪魔者もいなくなりましたしお茶でも飲みながらお話ししましょうか〜」
「お茶?ここはゲームしか無さそうですが…」
「えいっ!」
マリアさんの可愛らしい掛け声と共にそこには如何にも高級ですが何か?といった外観の机と二脚の椅子、そして可愛らしいティーセットが姿を現した。
「ささっ、おかけになってください。茶菓子は私が最近ハマってるモンブランケーキでいいかしら?」
「へー、女神様もモンブラン食べるんですね?僕もモンブラン好きなので嬉しいです」
「あら?そうでしたのね!丁度よかった!お茶はお紅茶でよろしかったかしら?」
「はい、なんでも飲めますよ。それにマリアさんの入れた紅茶すごく良い香りがしますね…なんて茶葉なのでしょうか?」
「うふふ♪これは私が育ててるのよ?色々掛け合わせちゃってるから名前は無いわね」
「では、勝手にミリアムと呼ぶ事にしますね?」
「ミリアム…ですか?それはどのような意味が…?」
「俺の世界で、マリアの贈り物という意味合いがあります…まぁ、他にも色々と意味があるみたいですが…」
「なるほど…では今日からこの茶葉の名はミリアムとしましょうか…うふふ♪」
どこか幸せそうに紅茶を注いでくれるマリアさんに、ついつい見惚れてしまう俺だったが、どんどん話が脱線してしまう事を恐れ、無理やり話を元に戻すのであった。
「ところで、僕をここへ呼んだのはマリアさんなのですよね?」
「えぇ、そうですね…まぁ、このタイミングで呼ぶつもりはなかったのですが…都合よく死にかけていましたので……。お節介かもしれませんが、幾ら恋人が作ってくれた初めての料理でも、無理やり食べてはめっ!ですよ?」
「やっぱ俺死にかけてたんだ…」
リリアの料理?を思い出し、遠くを見つめる俺。
俺には一応不本意ではあるが、イブから貰った加護がある。あれは毒や魅了などを一切無効化する筈だ…しかし、リリアの料理?はそれすらも上回る劇薬……だったのだろう…恐ろしい…
「ユウキさん?心配しなくてもここから戻れば直ぐに目覚めますので…しばらく胃が痛むとは思いますが…」
「いえ、命を救っていただいただけでもありがたい事ですので…まさか、こんな所で死にかけるなんて想定してなかったけど……」
「こほんっ、それでは私がここにユウキさんをお呼びした理由をこれから説明していきますね?」
「あっ、はい。お願いします」
ようやく本題に入るのか…イブのせいで随分長く感じたな…
「まず前提として、ペリドットは私が管轄してる地域になります。そして、頭の良いユウキさんなら私の言いたい事が全て分かったのでは無いでしょうか?」
頭良いって…よせやい照れるだろーが!
……冗談はさておき、確かに言いたいことは8割程は理解できたが、だからといってここに呼ぶほどの事なのか?
「そこが本題になります。まず、予知夢という形でサーシャちゃんに神託を行なっているのですが…今回の件はあの子達では対処できませんでした…」
「なるほど、とてつもないスキルだと思ってましたが、マリアさんが与えたスキルなら納得ですね…それで、何故対処できないと言い切れるのですか?」
「それはユウキさんもご存知の通り、妖精族は強大な魔力と固有魔法を所持しています。固有魔法は私が直接与えてる…言わばギフトみたいな物です」
「確かに聞いてる限りの固有魔法は素晴らしい性能でした…」
「ありがとうございます♪ですが、妖精族にはある欠点があります」
「攻撃魔法が苦手な事…ですか?」
俺の答えはどうやら当たっていたらしく、マリアさんは静かにその答えを肯定する様に頷き、言葉を続ける。
「その通りです。妖精族の成り立ちは共存…本当はあのように隠れ住む種族ではなく、遥か昔…神話大戦より前は、人々と寄り添って暮らしていたのです…」
「それは知りませんでした。何故あの森に移り住んだのでしょうか?」
「それは……妖精族が人の姿を取る事ができるようになる条件に関係してるのです…妖精族が人の姿になる為に必要な事…ユウキさんはご存知ですよね?」
確かにローズさんから聞いた…だが、どうしてそれが隠れる理由になったのか検討が付かない。
「僕が聞いたのは、人を愛する事。そうとだけ伝えられました…ですが、それが成す答えを俺は知りません…」
「それは仕方ないですよ。私が昔に人に事実を伝えるのをやめさせたのです……。神話大戦時…妖精族は人々と共に魔神族に立ち向かっていました。ですがある時、1人の妖精族が魔神族の男に恋をしたのです」
「え?敵だった相手にですか?」
「えぇ、愛に国境はありませんからね…敵同士が結ばれる…一種の恋愛ドラマのようで憧れます♪」
「えぇ…それで納得していいんですか…?」
「絵巻物語や劇であれば全く問題は無いですよ?……ですが、当時は戦争中。しかも世界が滅びるかどうかという中でそのような情事を見過ごせるわけもなく…その妖精族は幽閉され、魔神族の彼と会う事ができなくなってしまいました」
「本当にありがちな展開ですね…その後は魔神族の男が妖精族の女性を助けに来る所まで読めますね…」
「えぇ、その通りの展開になりました。ですが彼女が幽閉されていたのは当時、世界最大の防衛拠点であり、人類の最後の砦と呼ばれていた都市でしたのでそう上手く行きませんでした。そして、彼は後一歩のところで及ばず力尽きたのです」
「え?助けられなかったんですか?」
マジか…そこまで行って助けられないなんて俺なら絶対に後悔するし、寧ろ邪魔した奴らを憎むかもしれない……
「……その魔神族の男も死ぬときに言った言葉は、『絶対に人間を許さない…必ず蘇って地獄へ引きずり込んでやる…必ずだっ!』そう言って彼女の目の前で死んでいったのです…」
「…あまりの恨みの深さにゾンビとして蘇ったとか、そういう話では無いですよね?」
「もちろん普通であればリッチやゾンビなどになる事もありますが、彼が愛した女性は妖精族でした…そしてその子の力…それが世界最大の防衛都市を壊滅させた元凶とされています」
「されています…?なぜそのような言い回しなのですか?まるで…」
「まるで知っていた者が全て居なくなり、噂話の類みたいである。そう言いたいのはわかります。そしてそれも事実なのです」
「では本当に…」
「はい、その地にいた者は2人の魔神族に滅ぼされたのです」
2人…?まさか!?そんな事が起きるのか!?
「2人ってもしかして妖精里が魔神族になったとでも言うのですか!?」
「信じたく無い気持ちもわかりますが、それがこの話の本題です。その子の所持していたスキルの名は、死者転生…自分の命を立つ事により、死んでしまった相手を生き返らせ、自分も相手と同じ種族に転生するというスキルでした…」
「…それが魔神族になったきっかけなのはわかりましたが何故たった2人の魔神族に世界最高の防衛都市と呼ばれている程の戦力が敵わなかったのですか?」
「それは彼女が妖精族の神威を持ったまま魔神族に転生してしまったからなのです…」
神威…だと!?それじゃまるで……
俺が辿り着いた答えに打ちひしがれていると、その場に似つかわしく無い、ハイテンションな声が聞こえて来る。
「イブちゃんお風呂から帰還したのであります!!いやー!さっぱりしたね〜!どお?ユウキきゅん!湯上りの美少女だよ!?興奮した?してるよね!?顔真っ赤だもんね!!」
シリアスブレイカーここに極まれり…
突如戻ってきたイブによる、気の抜ける発言にイラッとした俺は、無言でマリアさんと視線を合わせ頷きあうと、イブに一言。
「お前ってなんでそんな残念なの?その性格だから友達が少ないんじゃないのか?あっ、ごめん間違えたは…1人もいないんだったな…ごめんな?間違えてたわ…1と0じゃ大きな違いだもんな…友達できるといいな…?」
「う、うわぁぁぁぁんん!!なんでいきなりそんな事言われなきゃいけないのぉぉお!!事実だから否定できないんだよぉぉぉおおお!!」
俺の言葉がクリーンヒットしたのか、頭を抱えながら床を転がるイブはら女神とは思えない程顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにし、「私、女神なのにぼっち…ス○ブラでイキッてるニート女神でごめんなさい…」と隅っこの方で膝を抱えながら丸くなり大人しくなったのであった。
次の更新は、明日の正午になります!
一応次の話で女神達の話は終わりになる…予定です…




