第37話 予知夢
先日、普及と付与間違えてるで?と報告を受けました…ありがたいです!
結構間違えてる所ありそうなので、もし他にもここの言い回し変じゃね?って所あったら直しますので報告お願いします!
付与は時間ある時に一気に直します!
てことで、本日もお読みいただきありがとうございます!
ユウキ達が龍穴の祠に辿り着く少し前…ローズは国の中心メンバーを集め会合を行なっていた。
「朝早くからごめんなさいね…サーシャがまた予知夢を見たらしいの…その内容が余りにも酷かったのよ」
「気にしなくていいぞ?年下に族長押し付けてる側の私たちは言われた事はきちんとこなすさ」
「そう言ってもらえると助かりますアリンさん…」
「それで夢の内容を説明してもらえるんだろう?」
「えぇ…サーシャお願いね?」
「はい!私が今朝見た夢はこの森に襲いかかる竜と竜の背に乗る謎の女…そしてそれらが私たちの国を滅ぼしている…そんな光景でした…」
「…それが本当なら今すぐに対策をするべきだろう?あぁ、その為に私らが集められたわけか…」
「その通りです…皆さんご存知の通りサーシャのスキルは予知夢…今までにサーシャの夢が外れた事は一度も無いのです…よってこの夢は現実に起こると仮定して対策を練りましょう!」
「「「了解」」」
集まった者達の表情が引き締まり、近くの者達と今後の行動を話し合い始める様子を見て、ローズは龍穴の祠に行ってもらっている4人への伝達手段を考えていた。
まさかこんなに早く私の嫌な予感が現実のものになるなんてね…こうなると知っていればあの子達を向かわせなかったのに……くっ…私の采配ミスだわ…
「ローズさん…私が夢に見た竜は以前この国を襲って来た竜に似てました…ただちょっと色が違う気がしたんですよね…」
「ッッ!?…そう…あの竜ね…それで色が違うっていうのは成長して濃さが増したってことかしら?」
「いえ…竜はエルダークラスになると確かに全体的に色に深みが増すのは知ってますが、今回のは根本的に色が変化していました」
「確かあいつは土竜…黄土色をした竜だったわね…普通に考えると茶色に近づいたと思うのだけど…違うのかしら…?」
「はい、茶色ではなく黒かったと思います…夢なので曖昧ですが、焦げ茶色とかでもなく黒…いえ、漆黒と言っても良い程かと」
「そう…竜がそのような進化を遂げるなんて話聞いたことあるかしら?」
「いえ、申し訳ございませんが私は聞いたことないです」
「他のみんなはどうかしら?」
ローズ達の話に耳を傾けていた妖精達は皆一様に首を横に振る。この場に集まった妖精の中には数百年と生きてきた長老のような存在の妖精達もいたのだが、その者達でも知らない現象に匙を投げる。
「そう…わからないことをこの場で議論しても答えは見つからないわね…とりあえず長老達には若い子達と一緒に泉の方へ避難してもらえるかしら?あそこにユウキさんが貼った結界があるの…そこに居ればとりあえず安全は確保できるわ」
「ローズ…あの人間達はそんなに信用できるのか?もしかしたらこの襲撃もそのユウキとやらが起こそうとしてるんじゃないのか?と私は思うのだが…」
「確かに時期的に考えてユウキさん達が何か起こそうとしてると考えるのはわかるわ…でも、彼はそんな事は絶対にしない。私はそう言い切れるだけの確証があるのよ」
「ほぉ…それはなんだ?それを聞けばこの場にいる者達も納得すると思うが?」
「それは…」
一度ローズは躊躇った。
ユウキが自分の素性を余り人に知られたくないと言っていたのを覚えていたからである。
だけどその後にユウキが言った言葉が今のローズの背中を押してくれる。
「それは…彼は言っていたわ…私が嫌な予感がすると彼に告げた時、もし俺たちがこの国を出て予感が現実のものになった時、迷わず俺のことを話していいと…彼は分かっていたのよ…真っ先に疑われるのが自分たちであると、だから敢えて彼は自分のことを話すように私に託した。これからみんなに聞いて貰うのは彼がアメジスティアで体験した話よ…」
そしてローズはユウキの話を包み隠さず話した。脚色も無いありのままの話を…ある者は疑いの眼差しを向け…また、ある者は目を輝かしてローズの話にのめり込んでゆく。
「…そしてアメジスティアは救われたのよ…」
「…確かにあの夜は謎な現象が立て続けに起きていたが…俄かには信じ難いな…それを証明する事ができるのか?」
「できるわ!彼はどこか抜けている所があってね…またそこが可愛いのだけど…っと話が逸れたわね…初めて会ったときに彼は自分のステータスを隠蔽していなかったのよ…」
「…なるほど、確かローズのスキルは看破だったな…それで何を見たのだ?」
「そこにあったスキルは私の知らないものばかりだったし職業も訳の分からないものだったけど…称号の欄に載っていたのよ…アメジスティアを救いし者…英雄…この二つの称号が確かにあったわ」
「…ローズの目で見たのなら間違い無いのだろう…だが、その者が貼ったからといって結界が完璧とは限らないのでは無いか?」
「確かにアリンさんの言う通りよね…でも、彼が私の目の前で実践してくれたのよ?神話級の魔法を使っても破壊されない所をね…」
「神話級だと!?それは遥か昔の魔神との闘いの最中に生まれたと言われている極大魔法のことか!?」
「えぇ、私も驚いて今のは?と聞いたら呆気からんと極大魔法だけど?と言われた時は開いた口が塞がらないとはこの事だわ…と思ったわね」
「…それが事実ならまずいな…」
「?何か言ったかしらアリンさん?」
「いや、なんでもないよ。それならさっさとそこに避難させた方が良さそうだな!みんな行動するぞ!」
アリンがポツリと溢した言葉は小さすぎて誰にも聞き取れなかったが、その後のアリンの号令に人間の姿の妖精族達が元の姿に戻り、飛翔して行く。
その後、アリン達の姿を見送ったローズはこの場に残ったシャーナとともに予知夢で見たと言う現場に向かっていた。
「それでここが竜が現れた場所なのね?」
「間違いありません…ここで竜が現れました」
「そう…でもここには何もないわよ…?何も感じないのだけど…」
「おかしいですね…確かにこの場所なのですが…」
「何かないか詳しく探してみましょうッッ!?一体何がっ!?」
「ローズさん伏せてくださいっ!!きゃぁぁぁあああ!!!」
ローズ達がこの場に訪れた時に不確定であった未来は必ず訪れる確かな物に変化してしまった。
サーシャは言っていたのだ…
この場に竜が現れると。
竜がいきなり目の前に現れる。そのような状況を想定していなかった2人は竜が降って来た衝撃により、吹き飛ばされてしまったのだ。
「グォォォオオオオオオッッ!!!」
竜の咆哮…それだけで周りの木々が軒並み薙ぎ倒され、竜が落ちて来た衝撃によりヒビ割れていた地面が隆起し、森を破壊し尽くす。
「くっ…!?どこから現れたの奴は!!」
「わ、私には空から落ちて来たように感じました…それよりもローズさん!助かりました!」
2人は、ローズが受け取っていたユウキからのプレゼントであるアレキサンドライトで作られた指輪に付与されていた簡易版アイギスにより無傷であった。
「私じゃないわ…これはユウキさんから貰った指輪の力よ」
「その指輪が…ユウキさんとやらは本当に凄いお方なのですね!竜の一撃すら防げるなんて!」
「いえ、多分次は耐えられないわ…今すぐ国に戻って態勢を立て直すわよ!」
「了解です!」
2人は急いで国に引き返し、無事にアリン達との合流を果たした。
「2人とも無事だったか!!こっちの避難は完了している!国に残っていた男衆も戦闘に参加するそうだ!」
「な、なんとか生きて戻れたわ…ふぅ…みんなごめんなさいね…力を貸してもらって…」
「気にするなローズ様よ!俺たちはこの国で生活してる嫁の為に闘うんだ!それにここで逃げてちゃあんたの旦那に笑われちまうからな!」
そいつはちげぇねぇ!!と男連中が、ガハハ!と笑い合う中でローズは心の底から勇敢な戦士達に感謝していた。
そして、前の戦闘で亡くなった自分の夫となるはずだったルビリオにも祈りを捧げた。
どうかこの窮地を凌げますように…と
これだけの衝撃を巻き起こした竜の存在に気付かないユウキでは無いはず…
必ずユウキさんが助けに来てくれる!そう信じ…ローズはこの闘いに思考を全て捧げ、指揮を取る。
「皆んな!!よく聞きなさい!死ぬ事は許さないわ!私たちのやる事はただ一つ!ユウキさんがこの地に戻るまでの時間稼ぎよ!時間を稼ぐことだけ考えなさい!彼が間に合えば必ずこの国は救われる!彼を信じた私を信じなさい!!」
「「「おう!!!」」」「「「はい!!!」」」
ローズの元へ先にたどり着くのはユウキなのか…将又、土竜による絶望へと誘う凶刃なのか…
その未来はまだ不確かなものなのであった。
運命の分岐点まで…残り20分…
次回の更新は、明日の正午になります。
第二章も物語が進行して参りました…
多分一章と同じぐらいの文字数になると思われるので、今月中に終わるかな?と心配になって参りました(笑)
そして、機能更新した内容で補足!
ルビーがユウキの頭を洗うシーンは、途中でルビーが飽きた為、途中からユウキが自分で洗ってます!
ルビーは現状掌サイズですので…時間がかかるのです…
といったところで、次回の後書きでお会いしましょう!
次話もよろしくお願いします!
35話に文章を付け足しました!詳しくは35話の前書きに記載してあります!




