第32話 ローズとの語らい
前回の話の最後を少し変えました!
リリアとミスティがローズに揶揄われている時、ユウキは念話でルビーに色々と聞くことにした。
(ルビー?聞こえる?)
(んー?パパ聞こえるよー?)
俺の頭の上に座って足をパタパタさせているルビーは念話に驚く事なく普通に対応する。
(ルビーのママって人間と結婚したの?)
(そうだよー?でもルビーはパパのこと知らないんだ〜)
おや?何か訳ありかな…?
(それは聞いてもいいの?)
(パパにはパパのこと話してもいいよ〜?あのね〜……って事があったってママが言ってたんだ〜だからルビーはパパのこと見た事ないから、ルビーのパパはパパだけだよ〜?)
パパパパややこしいな…
ルビーの話をまとめるとこうだ…
元々妖精族は気に入った男性を見つけると、この国まで連れてきて契約を交わし、その後この地で過ごしたり元の場所へ妖精を連れて帰ったりしているらしい。
ルビーの父親は、ルビーが母親のお腹の中にいる時に、妖精族の天敵である地竜の襲撃に遭い、なんとか撃退したものの、犠牲になってしまったらしい。
(ルビーは寂しく無いの…?)
(ぜんぜん寂しくないよ〜?ママがいるし〜、今はパパもいるから〜♪)
そういい頭にギュッと抱きついて来るルビーは小さく愛らしい姿も相まって、保護欲が擽られる。
「うふふ〜、リリアちゃんもミスティちゃんも揶揄いがいがあるわね〜」
ローズに何かを吹き込まれたのか、顔を真っ赤にして俺の顔と下半身を交互にチラチラ見て来る。
あー、なるほど…と吹き込まれた内容を悟った俺はローズママに何してくれてんねんっ!という想いを込めて視線を送る。
すると、やりすぎちゃった!ごめんね(てへぺろっ)と返ってきたので、若干イブの面影と重なりイラッとした俺は、話を変えることにした。
「そ、それでローズママはどうして人間の姿になれるんです?ルビーは妖精の姿のままですけど…ルビーもなれるの?」
「いいえ?ルビーはまだなれないわね〜…でも直ぐに人の姿に変われるようになると思うわよ?」
「お〜!ルビーも早くパパ達みたいになりたいの〜♪」
「うふふ、でもその為にはやる事があるからそれまでお預けね〜」
「ぶ〜、ママのいじわる〜早く教えてよ〜」
「ユウキさん…2人だけでお話しがしたいのだけど…構わないかしら?」
「えぇ…大丈夫ですよ?リリアとミスティはルビーと一緒にこの国を見て回ってきてくれない?」
「わかりました!では、ミスティちゃん行きましょう?ルビーちゃんご案内よろしくお願いしますね!」
「冒険に行くのですっ!」
「は〜い♪ルビーにお任せ〜♪」
3人が元気よく外に飛び出してくのを見送り、俺とローズママは家の中に戻る。
「それで、お話しとはなんでしょうか?」
「それなんだけど、あの子から何処まで聞いてるのかしら…?」
「どこまでというと…?」
「私とあの子の父親の話よ」
「あぁ、それなら少しだけですが…」
俺は先程ルビーから聞いた内容を説明すると、その最中少し寂しそうにするローズママの姿がとても儚いものに感じた。
「というのが俺がルビーから聞いた内容です…」
「そう…あの子はそんなことを言ってたのね…」
「あの…ルビーって何歳なんですか?失礼ですけど、妖精族の見た目はとても幼く見えるので…」
「確かにそうね…妖精族はその性質もあってみんなから愛されやすい見た目をするように進化してきたのだと思うわ…」
「では、ルビーも幼く見えますが実際は俺やリリアと変わらない歳って事ですかね?」
なるほどな〜と思い、ならルビーは実際は俺らくらいの年齢なのだろうと思い気軽に聞いたのだが、ローズママから帰ってきた返答は俺の予想していない答えであった。
「?いいえ?あの子はまだ3歳よ?」
「へー、3歳か〜…って、3歳!?!?13歳とかではなく!?」
「紛れもなく3年前に産まれてきたし、別に妖精族の成長が人より早いって事もないわね」
マジか…確かに所々で言動が幼いとは思っていたけど…マジモンの幼女だったのね…
「え…てことはローズママって凄く若く見えますけど…失礼ですがおいくつなんですか…?」
「私?私はまだ19よ?貴方達とあまり変わらないでしょ?」
「19!?!?若すぎませんか!?」
「そうかしら?この国では確かに若い方だけど…」
「いやいや、その歳でこの国の女王をやってるなんて…なんというか…凄いですね…」
「うふふ、ありがとう?褒め言葉として受け取っておくわね?」
ローズママと話しているうちに次第に打ち解けあってきた俺は、ローズママの事をローズさん呼ぶようになっていったのであった…
ローズさんとの会話に花を咲かすせしばらく経った頃、あれ?と思っていた事を思い出し聞いてみることにした。
「あれ、結局妖精族が人の姿になれるようになるにはどのような経緯が必要なんですか?」
「…ユウキさんなら大丈夫かしらね…いいわ、教えてあげる」
ローズさんの気配に若干緊張しつつ話を聞く俺のゴクリッと生唾を呑む音がローズさんにも聞こえたのか、くすっと笑いながら「そんな緊張しなくて大丈夫よ?」と笑われてしまった。
少し顔を赤くした俺は「早く教えてください!」と照れを隠す為に話の続きを促した。
「うふふ、妖精族が人の姿になれるようになる条件はただ一つ、人間を好きになり、添い遂げる覚悟を決める事…ただそれだけよ?」
「添い遂げる…結婚するって事ですか…?」
「んー、それだけだと想いの強さが弱いかもしれないわね…絶対この人と一緒にいたい!死んでも離すもんか!…これくらい想わないとダメね…」
えぇ…と少し引き気味の俺に「あら?好きな人ができたらずっと一緒にいたいと思うのは普通でしょう?」となんで引いてるの?と存外な俺の様子に首を傾げるローズさん…
若干引いたのは事実であるが、確かにそうかもしれないな…と共感する自分もいる。
「死んでもって所は共感できないですけど、俺も大切な人達は絶対に護り抜くと決めてるので想いの強さっていうのはわかる気がします」
「想いの強さって力になるじゃない?想いが強いほど私たち妖精族は力が強くなっていくのよ…それが私たち妖精族に備わる特殊スキル…フェアリーディザイアよ…」
固有スキルか…凄いな…フェアリーディザイア…妖精の願望…か…
「固有スキル…羨ましいですね…」
「何を言ってるのよ…貴方は固有スキルの塊じゃないの…」
「!?!?」
ローズさんの言葉になんで知ってるんだ!?と固まる俺に「ユウキさんってどこか抜けてるのね…」とローズさんはちょっと嬉しそうな顔をした。
「私は鑑定が使えるのよ?しかも看破持ちのね…だからユウキさんの情報は筒抜けなのよ?」
「ちょっ!?勝手に覗かないでくださいよ!」
「それはごめんなさいね?ここは私の国でユウキさん達は娘が連れてきたとは言え部外者…何をするかわからないから、ちょっと見させてもらったのよ…」
徐に立ち上がったローズさんは、俺の側まで近づき、「大丈夫、誰にも言わないわ」と鼻の前で人差し指を立て2人だけの秘密ね?とドキッとする仕草でウインクする。
と、そこで玄関からガタンと音がし、リリア達が駆け込んでくる。
「あーーーっ!やっぱり!嫌な予感がして戻ってきて正解でした!!」
「ローズママ!!マスターと離れるです!近すぎるのです!」
「お〜、ママ〜?パパはルビーのパパだよ〜?取っちゃだめだよ〜?」
そんな3人の様子に「あらあら、ユウキさんはモテモテね?」と揶揄ってくるローズさんに、勘弁してくれ…と思いながらリリア達の喧しい声をBGMに窓の外の幻想的な景色を眺めるのであった。
皆さま本日もお読みいただきありがとうございます!
次回の更新は明日の正午です!
ローズとルビー親子の年齢がわかりましたね!
次回はユウキ達の強化されたステータスとリリア、ルビーの2人のステータスが解禁されます!
是非お楽しみに!




