第29話 突然の出会い
これより第二章妖精の里編がスタートです!
燦燦と降り注ぐ太陽の光を浴びながらゴブリンの森へ向かう途中、なんやかんやあって王都を旅立つのが遅れてしまった俺たちは、森に入る前にご飯にしようと思い、お昼の準備をしていた。
もちろん王宮育ちのリリアが料理などできるはずもなく、料理担当は俺がやることになったのだが、この世界に来て初めて使う食材が多く悪戦苦闘していた。
「リリア〜ミスティ〜、できたからこれ運んでくれ〜」
俺が出来上がった料理を更に盛り付け、リリア達に配膳を頼む。
「えっ!?これをユウキさんが作ったんですか!?」
「マスター!凄く美味しそうなのです!!」
リリアは「ユウキさんにできないことはないのでしょうか…」とあまりの料理の出来栄えに女の子なのに料理ができない私って…と少し落ち込んでいた。
「リリア?落ち込んでないで早く食べないと冷めちゃうのです!」
「ミスティちゃん…そうですね!ユウキさんの手料理が食べれるならなんでもいいですね!」
いや、それでいいのかリリアさん…?
心の中でツッコミを入れながらも可愛い女の子に手料理を振る舞うのは悪い気はしないなと思う。
「みんな席に着いたね?それじゃ手を合わせて」
「「「「いただきまーす!」」」」
……??
「「「…?あれ?」」」
なんか1人分声が多かったような…?
俺たちは顔を見合わせて、聞こえたか?と視線を合わせる。
誰しも理由がわからなかったのだが、ここでまた声が聞こえたのだった。、
「おいし〜♡これパパが作ったの?」
「誰だ君は!?」「「パパ!?!?」」
俺とリリア達の反応が別れたがそんな事よりも食卓を囲む謎の人物?を見る。
そこにいたのはどう見ても人間ではなかった…
それは…
ユウキ掌に収まるお人形さんサイズの本当に小さな女の子であった。
特徴を上げると小さな羽が生えている。
もしかしてこの子は…
「ルビーはね〜ルビーって言うの〜」
「そっか〜ルビーちゃんって言うんだ〜」
「「「って、そうじゃなくて!」」」
「ふぇ?ルビー間違ってる…」
パタパタと羽を動かし俺の掌の上に乗っかってしょんぼりしているルビーちゃん?に何故か弱いもの虐めしているような感じになってしまったので、とりあえずご飯を食べながら話を聞くことにした。
「とりあえず食べながら話そう」
「そうですね…気になることもありますし…」
「早く食べないと冷めちゃうのです!」
食事が進みある程度食べたところで、小さな身体でお肉をはむはむしてるルビーちゃんに「ちょっといいかな?」と食事の手を止め疑問を晴らすことにする。
「はみゅ?にゃんでふか、ふぁふぁ?」
「…色々聞きたい事あるんだけど…まず最初にどうしてこんな所にいるの?ルビーちゃんは妖精族…だよね…?」
「うん〜ルビーは妖精族だよ〜?ここにいるのはね〜?いい匂いがしたから我慢できなくなっちゃったの〜」
のんびりとした独特な話し方をするルビーにこっちまでぽわぽわさせられる。
「そっか…それでなんで俺のことパパって呼んでるの?」
「パパはね〜パパだからだよ〜?」
だ、だめだ!!意味がわからん!!助けて女神様!!
こう言う時だけ神に縋る俺に、何処かでイブが苦笑いしてるような気がした。
「る、ルビーちゃんはユウキさんの娘さんなのですか!?」
リリアが突然トンチンカンな事を言い始めたが、ミスティも一緒になって、「どうなのですか!?」とお肉を口いっぱいに詰め込みながら追随している。
…口から食べカスがポロポロ落ちてますよミスティさん…レディーなのだから気にしなさいな…とこっそりため息を吐く。
「んっとね〜それはね〜」
ルビーの話をまとめるとこうだ
曰く、この森に住み着くゴブリンに追われ森を彷徨ってる時に、いい匂いが風と共に流れてきて、その方向にふらふら飛んでたら、俺たちの事を見つけた。
そして、俺の魂のオーラ?がルビーの好みだったらしく、妖精族の女性は気に入った人の事をパパと呼ぶのだそうだ…
俺としてはここまではまだ「そうなんだー」と軽く聞き流していたのだが、この次の言葉は流石に聞き流す事ができなかった。
「それでね〜パパをルビーのおうちに連れてって〜ママに紹介するの〜」
「そうなんだーって、紹介する…?お母さんに…?」
「そうだよ〜?ルビーのパパ決めたよ〜って報告するの〜」
ひしひしと嫌な予感を感じながらも聞かざるを得なかった。
「ほ、報告したらどうなるの…?」
「報告して〜契約の儀式を行うんだよ〜?」
「「「契約…?」」」
「契約だよ〜、そしたらね〜ルビーは精霊になって〜パパの守護精霊になるの〜」
いきなり謎ワードが飛び交いすぎてついてけない…リリアもよくわかってなさそうだし…妖精族はここ数百年姿を見たものはいないと言われてるから、知らなくても仕方ないけど…
「守護精霊になるとどうなるの?」
「守護精霊になるとね〜、パパとずっと一緒にいれるの〜」
ルビーの話を聞いても謎は深まるばかり…
俺は意を決して話を切り出す。
「それでルビーちゃんは俺たちをどこに連れてってくれるの?おうちはどこにあるの?」
「おうちはね〜妖精族の里にあるんだよ〜」
その言葉に俺たちの今後の予定が全て決まったのを感じ取り、エルフもケモ耳もお預けだな…とルビーのゆるふわなお話に耳を傾けるのであった。
次回の更新は明日の正午になります。
キリのいいところで1話を区切る為しばらく短めの話が続くと思います。




