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駄女神に信託を受けた俺、世界最強の流派で異世界を無双する!  作者: 雪月花
闇に染まった王国と幻想郷の再建
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第27話 夜明けと共に…

本日1話目の更新になります。





結界に覆われている六箇所の避難場所を除き、更地となってしまったアメジスティア王国…



つい先程まで、とても美しく聳え立つ白亜の城を中心に円形に広がるアメジスティアは、整備された道、綺麗に手入れされた水路や花々が街を彩り、この国はまるで幻想郷だ…と旅の途中で立ち寄った人々は揃って口にする。



そんな美しいアメジスティアは先程の邪神の攻撃により消し飛ばされ、マグマのように溶けていた地面は、ユウキが瞬時に魔法により冷却した為、二次災害は防がれていたのだが、溶岩の様になった地面は、アウリム達が踏み込む脚力に負け、そこら中に蜘蛛の巣型の亀裂を生み出していた。




「ぬぉぉぉおおお!!!やらせぬぞぉぉお!!」



雄叫びを上げ、邪神もどきの攻撃を蹴散らすアウリムは、周りの部下達と連携することにより、危なくなる場面もなくなんとか凌ぎ続けていた。




邪神の再生能力が衰退し、魔力を補充するのに必要であった負の感情が周りの人間から回収でき無くなった為、ユウキとの戦闘中に見せていた程の火炎弾は作れなくなったのか、並の魔法使いでもなんとか対処できるようになっていた。




戦場を支えている主力は5人


騎士団長であり、職業が剣聖であるアウリム

宰相であり、職業が賢者であるエル

王女であり、職業が魔導姫であるリリア


そして、勇者である天空とそれを補助する聖女である紅葉



この5人を中心としてなんとか敵の動きを撹乱することに成功していたのだ。



「あーもう!いい加減この触手なんとかならないのか!?うぉおお!?今のはちょっとヤバかった…!」


「天空くん油断しないで!!私だって嫌なんだから!文句言わず闘いなさい!」



危ない場面も多々あったが、2人で協力する事で未だに怪我することもなく剣を振り続ける事ができていた。



天空が多くの触手を切り裂き、神咲が補助魔法で援護し、周りの騎士達が数の少なくなった残骸を始末する。


異世界に来て僅か数日でここまで動けるようになったのはこの2人だけであった。



(なぁ西音寺!俺は今ちゃんと闘えてるぞ!お前に扱かれた日々は無駄じゃなかったぜ!!)



そう…天空は元の世界でユウキが毎日トレーニングを行なってることを知り、途中から一緒に体を鍛えていたのだ。



毎日吐きそうになるくらい体を使いまくっていたおかげで、こうして今闘えていると思うと、あの頃の俺ナイス!と自画自賛するのであった。




そして紅葉は先程、ユウキが召喚した新たな剣を見た時に確信していた。



あぁ、あれユウキくんだったんだ。と…



何故それまで何も疑う事のなかった紅葉が一瞬で状態に気づいたのかというと、普通にさっきの剣を見せてもらった事があるのだ…





---------------------------





これは、元の世界…即ち地球でのユウキの一日で体験した出来事である。




高校に入学してしばらく経った頃。


俺はいつものように土日を使い祖父と過ごした田舎に戻り、鍛錬に励んでいた。



その日は祖父が死ぬ前に、「この技を極めればユウキ…お前は世界最強の男じゃ!」と言っていた、西音寺流の終局点に位置付けられていた技を完成させることができた、そんな一日だった。




この日いつも通りだったのは、道場を出る…その時までであった。



タオルを手に取り、敷地内にある湧水を被ろうと表に出たその時…何故か俺は草原に立っていた。



何事!?と思い周りの気配を感じようとした俺だったが、そこには俺以外の生物の気配は何一つ感じられなかった。



幻術か?と思い幻術破りの技を行なったり、なんとか元に戻らないかと試行錯誤したが、1時間経っても何も状況は変わらなかった。



仕方ない…進むか…と手に持っていた木刀の倒れた方向に進む事に決め、そちらに向け歩き始めた俺は、しばらくして小高くなってる丘を見つける。


あそこから遠くを見れば、街が見えるかもしれない!と思い1番高くなってる所まで駆け上がると、そこには台座に突き刺さる、一振りの剣があった。



それこそ、先程ユウキが召喚した聖剣…エクスカリバーなのであった。



何故こんなとこに剣が?と思った俺だったが、木刀よりはマシか?と思い台座から引き抜くことにした。


その剣を引き抜こうと掴んだその時…



歴代の剣の所持者の記憶が、一気にユウキに流れ込んだ。



「ガ、ガァァァァァアア!!?」



一気に流れ込んで来る膨大な量の記憶に頭が破裂するかと思う程の痛みが俺を襲う。



しかし、その間は意地でも手を離すものか…と強く握りしめ、痛みに耐えていた。



数時間…いや、本当はもっと短かったかも知れないが、時の流れがとても緩やかに感じる程の痛みを耐え抜き、「はぁ、はぁ…」と荒い息を吐きながらもよろよろと立ち上がる。



読み取った情報によると、この剣の所有者は既に何千年と現れていなかったようだ。



この剣は幾つもある世界の中で、一つしか存在していない。この剣に相応しい使い手が現れた場所に、自ら現れるのである。



と流れ込んで来た知識の中にはあった。



「この世界は平和だからお前を使うことはないかも知れないが…でも次の所有者が見つかるまでは、俺が使っといてあげるか…」



それだけ言うと徐に剣を台座から引き抜く。何の抵抗も無くスルリと抜けた剣は一瞬、よろしくと言うようにキラリと光ったのであった。



はっ!!と気がつくといつも通りの田舎の光景が目の前に広がっていたので、白昼夢でも見たか?と思ったユウキだったが…


しかし、その手には一振りの真っ白な剣がしっかりと握られていたのであった。




その後…


寝る前に壁に飾っておいた筈の剣が、朝起きたら布団の中にあったり、学校から帰ると、何故か玄関に転がっていたりと勝手に動くので、ヤバイ剣を持って帰ってきてしまった…と物凄く後悔したのであった…





---------------------------





その話をユウキの家に遊びに行った時に、剣を見せられながら語られていた紅葉は、「ユウキくんって何処か抜けてるよね…」と残念そうに口にするが、「まぁ、そんな所も良いんだけどね…」と惚気るのであった。



そうして、ユウキが守ってくれている。そう思うだけで無限の力が湧いてくるのは、恋する乙女の特権であろう。



「こんな奴に負けてたまるかぁぁ!!」

と、魔法による一撃を触手に与え、その魔法が電波するように、周りの触手も爆砕していく。



紅葉の職業は聖女である。

もちろん攻撃魔法と呼べる物は少なく、今使った魔法も本来であれば攻撃魔法では無かった。



今の魔法を人間に使えば失った腕でさえ再生させてしまう程の回復魔法…エクストラヒールである。



聖女の魔法は聖属性魔法に分類されている。

その為、邪なる物である邪神もどきには全てが会心の一撃となってダメージを与える。


人間にとっては癒しでも、邪神にとっては毒物である聖女による回復魔法はとてつもない威力を叩き出していた。




(ユウキくん…私も頑張るから!だからどうか…この国を助けてあげて…)



紅葉の儚い思いが通じたのか…





その時、莫大な魔力を溜め込み、眩い光を放ちながら静かに夜空に浮かんでいるユウキが姿を現した。




そのユウキの姿に危険を察知したのか、それまでバラバラに散っていた触手の攻撃が、一瞬でユウキの元に伸び始める。




「「「させるかぁぁぁあああ!!!」」」




邪神の猛攻を、国を代表する戦士や魔導師が最後の力を振り絞って迎撃する。




「今です!!ラピスさん!!」



そう叫ぶリリアの声に反応するように、ユウキは右手に持つ真っ白な剣の鋒を突きつけ詠唱を開始する。



「我は願う、我等を見守る星々よ…我は汝等の輝きを欲する。全てを照らし導く光を欲する。故に我は願う…この地に六芒星を描き、汝等の顕現する依代とする!ここに顕現せよ!!」




その瞬間、六箇所の結界が光を放ち光の道を作り出す。


その道は結界同士をつなぎ合わせ、一つの紋様を真っ黒な夜空に浮かび上がらせる。



それは巨大な星であった。

その中心に佇むユウキの振り上げた剣に光り輝く星から、幾つもの光線が届く。



巨大な星の紋様が徐々にユウキの元に収束していくのと同時に、空から降り注ぐ光の線は徐々に消えていった。




「完全掌握…」



その瞬間、溜め込んだ光が今度は聖剣から放たれる。



聖なる光を一身に浴びた邪神の子は苦しんでいた。


グウォォオオオオッッと悲鳴を上げ最後の力を振り絞り魔法陣を展開する邪神もどきは、知能はなくとも本能でこの一撃で目の前の敵を殺さなければ、こっちがやられる。と理解していた。





そして俺は最後の仕上げにミスティと再び一つになる。


「ミスティ、魂の結合(ソウルエンゲージ)ッッ!」





神威を解放したミスティと繋がったことにより、先程よりも大人の姿になったユウキは、女体化してることもあり、光り輝くその姿はまるで天女のように人々は見えていたのであった。






そして、邪神もどきの攻撃を防ぎきれなくなったアウリムや天空たちが戦線から離脱し、遮るものがなくなった両者は睨み合い、全力の一撃をぶつけ合う。





ゴァァァァァァアアアッッッッ!!!


邪神の子が咆哮と共に発動した魔法…

それは赤い焔ではなく、漆黒の焔であった。



神話大戦時、この黒焔により何万人もの人々が焼き消されていた。そんな過去を象徴する魔法にユウキは聖剣を両手で構え、何を考えたかその焔に向かい飛び込んでいく。




「ハァァァァアアッッ!!!」




黒焔を切り裂き突き進む。




そして魔法陣を切り裂き、無防備になった邪神もどきの前に躍り出た俺は最後にアールに声をかける。



「じゃあな、生まれ変わったらまた闘おう…」



ユウキの言葉に一瞬だけ意識を奪い返したアールは、「ありがとう…」ただそれだけを言い、再び邪神に意識を奪われぬよう必死に自分が召されるまで繋ぎ止める。




「ーー…西音寺流剣術 秘奥義 星屑の瞬き…さようなら…」




振り抜かれた剣は邪神の子を両断し、高められた聖なる光によって、斬られた場所から徐々に消えていく。




その光景を全ての人々が静かに、涙を流しながら見守っている。




それから一刻程の時が流れ、天に登って行く光の粒子が最後を迎えようとした時…一瞬だけ人の姿になり、一箇所に集まっていたエギルやアウリム達、騎士団の面々の方に微笑みながら手を振り消えてゆく…




その光景に、うわぁぁぁあああん!!と泣き叫ぶ騎士達…目元を隠し「馬鹿野郎が…っ」と静かに涙を流すアウリム…


そして、今まで大儀であったと、忠臣を労うように手に胸を当て心の中でありがとうと感謝を伝えるエギル…





こうして、アメジスティア王国で起こった滅亡の危機はユウキの活躍により、夜明けと共に幕を閉じたのであった。









本日もお読み頂きありがとうございます!


これにて、第1章はエピローグを残して終了となります!

エピローグ、登場人物紹介を本日中に上げて、来週から新章スタートと行きたいと思います!



また、数話目の更新から長い間更新が止まっていたなかで、更新再開する前から読んで頂いていた方、本当にすみませんでしたっ!


この物語は一応完結までやり切る所存ですので、新規の方も最後まで僕の作品を読んで下さると幸せです!



今後もよろしくお願い致します。


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