第236話 フラグを立てる王女様
本日(?)2話目になります!
日付回ってしまった…
「魔族領一の観光名所だけあって、どこに行っても世界遺産並みの美しさだったな」
「世界遺産というのはわからないけど、確かに綺麗だったわね。ペリドットは泉くらしか張り合えるところがないわね…」
「いや、張り合わなくてもいいと思うけど…強いて言うならペリドット自体が幻想的で美しいからな?国自体が世界遺産だよ」
「ふふっ♪ありがとうね?でも、その世界遺産っていうのはなんなのかしら?」
「世界遺産というのはですね!」
俺の代わりに異世界組へ説明を始めてくれたひまりの言葉に耳を傾けつつ、俺は今日回った三箇所の名所を思い出す。
一箇所目は遠くから見ても綺麗だった七色の湖に行って来た。
湖に近付き、水を掬って見ると水自体は透明で、湖の底が透き通って見えるのだが予想通り微生物が日光と反応を起こして反射し、湖自体がカラフルな色をしてるように見えるのだろう。
そんな感じの湖が何個もあり、地上に出来たパレットのようで色彩豊かな光景に女性陣がうっとりしていた。
次の場所は教会だ。
どこの国に行ってもその場所特有の美しさがあったが、水の都の教会は今まで見て来た中で1番綺麗だと言っても過言では無い。
教会の地面がガラス張りになっており、その下を水が流れ、天井から差し込む光に反射し、キラキラと乱反射していた。
しかも光の反射角度が調整されているのか、教会の1番奥の壁面に埋め込まれているステンドグラスに集約し、色とりどりのガラスが光り輝いて見えた。
これにも女性陣はうっとりしていた。
最後に向かったのは、ポセイディア最大の滝…
この国の象徴とも言える水、それを何百年も枯らす事なく流れ続けている滝にかかる虹、奇跡と言っても差し支えないその景色を間近で見てきたのだ。
これには俺も思わず「おぉっ!」と声が出てしまった。
なんて修行のやり甲斐のある滝なのだろう!!と…
えっ?そこじゃないだろ!!だって?
いや、そんな事言われてもこの豪瀑を見て打たれたい!!と思うのは仕方のない事だろう?
……因みに仲間達にこの滝に打たれる修行をするぞ!って言ったら全力で拒否された。
ミュウラ曰く、
「この滝は近付くの禁止されとるで!もう少し離れたところは遊泳が許可されとるけども」
とのことなのでその場では諦めたふりをしておいた。
後で勝手に打たれに行ってこよっと。
閑話休題
そして今は観光名所を巡った帰り道だ。
「ルビーはね〜教会がすきだよ〜♪」
「私もなのです!綺麗だったのです!」
「ん、綺麗だった」
ルビー、ミスティ、リンの3人は教会がお気に入りらしく、3人で楽しそうに話をしている。
「私は湖ですね…あの美しさはアメジスティアには無い素晴らしいものでした」
「私も湖かなぁ…勿論教会も素敵だったけど…あんな綺麗な教会で結婚式挙げたいなぁ」
「私も湖の美しさには驚嘆しました。ご主人様、是非我が家の庭にも七色の湖を造ってください」
「……それはやめといた方がいいぞ?」
「え、なんでですか?私もいいなって思ったんですけど…」
俺が珍しく意見を否定した為、仲間達から視線が突き刺さる。何もしてないのに悪い事をしてるみたいだな…
「だってそうだろ?こうやって皆んなで一緒に旅をして見た光景だからこそ心に残るんだ。最初はいいかもしれないけど、毎日見ていたら飽きが来ると思うぞ?現に地元の人達はあまり観に来てなかっただろ?」
「……それもそうね。また皆んなで見に来ましょう!」
「一華に同意するのは癪ですがその通りですね。流石ご主人様です」
「いや、何が?」
「そして、なんで私に同意するのが癪なのよ!?」
一華が例の如くフェイトに絡んでいた。
2人は何かあるとすぐに戯れ合って仲良しだなぁ…と微笑ましく眺めていると…
因みに一華とフェイト以外の女性陣は、七色の湖を作らない理由を説明したら、何故だか俺を見ながらうんうん…と頷き合ってるのだが俺は1人首を傾げ、仲間外れになった気分を味わっていた。
解せぬ。
……因みにそれ以外の子達は滝が良かったようで、我が家の庭に作成中の日本庭園ゾーンに小さな滝を作る事を心に決めた。
うひゃあー!と叫びながら喜んでいるチミっ子達が可愛かったです。
「ところでフェイト達は屋敷に戻るか?それともこっちに泊まるかどっちにする?」
「そうですね…折角なので泊まって行こうと思うのですがよろしいですか?」
「いいに決まってるだろ?そしたらさっさとホテルに戻ろうか」
「賛成や!ユウキはんの作る晩御飯が楽しみやな!」
「……なんか自然な流れでミュウラもうちでご飯食べることになってるんだな」
「あかんかったか?」
「いいや?歓迎するぞ。ダミル殿はどうするんですか?」
「ん?俺もできれば食いたいぞ!」
「勿論オッケーだけど…夕飯もパスタだけど文句言わないでくれよ」
「「勿論!!」」
はぁ……
俺はため息を吐きながらも内心喜んでいた。
正式に仲間になったわけでは無いし、今後も魔王軍の四天王という事で正式に仲間になることは無いが、良き友人として2人と旅を出来る事はとても良いものだ。
当初、空から降ってきたダミル殿はやばい奴だと思ってたが、旅を始めて印象はガラリと変わったし、ミュウラに関しては最初からフレンドリーだった為、子供達も直ぐに仲良くなったしな…
この国を案内してもらったり、馬車に関しては御者までしてくれてる2人には感謝しかない。
その為度の間の食事に関して、全て俺が振る舞う事にしているのだ。
「何はともあれ、今日一日何もなく終わって良かったですね!」
「リリアさん?それフラグって言うんですよ?」
「いやいやひまりさん?流石にこんな事でフラグには…」
「キャーーッ!!!」
「「…………。」」
「2人とも…反省しとけよ…」
「「あい…」」
リリアとひまりが不穏な会話をした直後、女性の悲鳴が聞こえた。
「ちょっと見てくるからみんな此処から動かないようにな?もしヤバそうだった時の為に、四天王であるダミル殿は一緒に来てくれると助かる」
「了解よ。警戒しとくわ」
「そう言う事なら俺も共に行こう。俺の役目が無いと良いんだがな…」
1番年長者であるローズが代表して俺に返事を返し、ダミル殿も俺のお願いをすんなりと受け入れてくれる。
「んじゃ、ちょっくら見てくるな!」
「行ってらっしゃいなのです!」
「いや、ミスティは一緒に来い!」
「はっ!!そういえばそうなのです!」
何故かみんなと一緒になって俺を見送ろうとしていたミスティを脇に抱え、俺とダミル殿は悲鳴の聞こえた方へと走る。
それよりも気になるのは…
……やっぱ最近のミスティは自分が伝説の武器だと言う事を忘れてるな…
今度から俺の特訓の時はミスティも武器形態にして連れてくことにしよう。
そんな事を思いながら、俺は現場に向けて駆けるのであった。
次の更新は明後日、火曜日の0時頃になります!




