第230話 娘には抗えぬ
……投稿できてない事に今気づきました。
申し訳ない…orz
今日の分は予定通り0時頃投稿致します…
〜〜sideユウキ〜〜
「パパ〜!遊ぼ〜!」
「もちろんいいぞ?何して遊ぼっか?」
「やたーっ!じゃあじゃあ!新しい魔法作って遊ぼ〜♪」
「……い、いいけど、もっと健全な遊びをたまにはした方が良いとパパは思う、ぞ…?」
最近のルビーは魔法の特訓=遊びになってしまったらしく、事あるごとに魔法開発に着手する事になる。
この間、等々ローズから叱られた手前ルビーに遊びの変更を要求したのだが…
「パパはルビーと遊ぶのいや…?」
「んなわけないでしょ!!幾らでも魔法作ってやりますよ!!」
「わーい!」
「……あなた?」
ふっふっふ…ルビーよパパの本気を見せる時が来たようだな……
だがしかし、俺は今冷や汗を流している。
何故なら…
ルビーが飛び跳ねながら喜ぶ隣で、腕を組み…ゴゴゴゴッ!!と地響きを鳴らしそうな勢いで仁王立ちしているローズさんがいらっしゃる訳でして…
俺は恐る恐るローズの様子を伺う
チラッ
ギロリ
ヒェッ←イマココ
「ろ、ローズさん?こ、これは村の防衛を兼ねてるんですよ。そ、そんなに怒らないで欲しいな〜なんて思っちゃったりして」
「…後でOHANASIしましょう?」
「い、イエスマム……」
む、娘の幸せのために自らが犠牲になれたならそれでいいや……
ところで……
「ローズ、双葉とリルは何してるの?」
「あら、聞いてないの?リルちゃんに双葉ちゃんが護身術を教えてあげるみたいよ」
「そうなのか…」
結局みんな特訓か…
「という事で私は2人の様子を見てるわね。ルビーの事頼んだわよ?」
「了解了解、ルビーお待たせ!村の外に出よっか」
「あーい!」
夕方……
「ユウキくーん!ルビーちゃーん!まだやってるの?」
「おや?3人ともこっちに来ちゃったのか〜」
「ママ〜!双葉お姉ちゃん〜!リルお姉ちゃん〜!こっちだよ〜♪」
魔法の練習をしていた手を止め、集めていた魔力を拡散させながら3人が来るのを待つ。
「3人ともお疲れ様〜訓練は終わったのか?」
3人が近づいて来たタイミングで話しかけると、3人とも周りをキョロキョロしながら首を傾げている。
「あなた?なんでこんなに人が集まってるのかしら?」
「リルも気になります!私の特訓は誰も観に来てなかったのに…」
「リルちゃんとの特訓は派手じゃなかったからね…魔法を使うユウキくん達の方に人が流れてたんじゃ無いかな?違う?」
んー、双葉の見解も正しいっちゃ正しいんだけど…
「ちょっと違うけど、まぁ大体そんな感じだな!」
「……怪しいわね」
「怪しいです」
「うん、ユウキくん何をやらかしたのかな?」
「俺がやらかした前提で話すの辞めません?」
「じゃあ違うのかしら?まさかルビーが何かしたって事は無いわよね?」
うぐっ…ルビーを引き合いに出すのはズルいだろ…
「ルビーはいい子だよー?」
「そうだな。ルビーは、いい子だったな」
俺の言葉で全てを察したのだろう。
リルは俺との付き合いが短い為首を傾げているが、ローズと双葉には完璧に伝わったらしい。
その証拠に凄くいい笑顔で笑ってらっしゃる。
まぁ、目は笑ってないけどな!アハハッ……またこのパターン?
「ユウキくん?何があったか聞かせてもらえるわよね?」
「はい…その実は…」
俺は包み隠さず全てを話した。
別に悪さを働いた訳では無いので、勘違いしないで欲しい。
というよりも少し派手にやりすぎただけで誰にも被害は及んで無いし?
多少地面が凸凹になっても後から直せるし?
「なるほど、魔法による遊び(模擬戦)をしていたら、ヒートアップしてやりすぎたと」
「模擬戦でこんな世界の終わりの様な風景を生み出せるものなんですかね?」
「それは…ほら、村人には被害が出てないだろ?それぐらいの威力で魔法バトルしてただけだぞ!」
「「「説得力無いわ〜」」」
「何故に!?」
た、確かにこの惨状から目を逸らして、村人の無事をアピールしたかもしれないけども!!
それに……
3人が来る直前に魔力を溜めてたのは魔法で元の姿に戻そうと思ってたからなんだよねぇ……
隠蔽に失敗してしまった。
「パパ〜?早く元に戻そ〜?」
「そうだな…」
ルビーに話を変えてもらった俺は、ここぞとばかりに魔力を溜めはじめる。
「時魔法…"戻り行く世界"」
おお!!!
徐々に戻り行く風景に俺の魔法を見守っていた村人達から響めきが起こる。
"流石は我等が救世主様!!"
"凄すぎて何が起きてるのか理解できん"
ふっふっふ…本邦初公開の魔法だからな!ローズ達も驚いてるぜ!!
ブォォォォッ
ん?なんだ?
村人達から羨望の眼差しで見つめられて調子に乗っているとリリア達に村人の探索をお願いしていた森の方から変な音が聞こえた。
「ユウキくん!敵襲なの?!」
「おー!やっつけるよ〜♪」
「あらあら、リルちゃんこっちに来なさい」
「あうぅ…ローズ様ぁ〜」
チッ、せっかく修復が終わったタイミングで来るなんて…ついてないなぁ…
ん?あれ?何か忘れているような…
「おーい!ユウキはん!何の音や!?」
「ユウキ殿!敵襲か!?俺も闘うぞ!」
「マスター!はむはむ…」
なんか忘れてると思ったらミスティだわ…
こいつ今までどこ行ってたんだよ…
俺達が各々構えていると村からミスティ達が駆けてきた。
ミュウラとダミル殿はともかく、ミスティさん?あなたまた餌付けされてたんですか?
両手いっぱいに抱えられたオヤツを溢さないように走ってくるミスティに仲間達からも白けた視線が突き刺さる。
「マスター!私を使うのです!」
「いや、ミスティ使ったらスピード落ちたりしないか?」
「なんでなのです!?」
だって……
いや、言うのはやめておこう…
後で絶望するといいさ…
「それよりも今向かって来てるのリリア達だな…敵襲では無さそうだぞ?」
「よかった!おーい!お姉ちゃーん!」
「リリアー!リンー!なのですー!」
「ひまりお姉ちゃ〜ん!」
3人がおーい!と音のする方へと呼びかけていると……
「ユウキさーーーーんんんん!!!止めてくださいいいいいいぃぃぃ!!!!!」
森を突き破って出て来たのは巨大な漆黒のカブトムシ…
リリアはそのツノの部分にしがみ付き、後方からリンと一華、ひまりが気を失ってる村人達を魔法で創り上げた動物の背に乗せて運搬してるのが見える。
「えぇ…何してんの…?」
「たすけてくださいぃぃぃいい!!!」
新幹線の様なスピードで突っ込んで来ためっちゃカッコいいカブトムシ…
「……とりあえず止めるか」
俺は最大級の威圧をカブトムシ目掛けて放つ。
「ギュッ!?」
その瞬間、急ブレーキを掛けたカブトムシは地面を物凄い勢いで抉りながら俺の目の前で止まる。
「た、助かりましたぁ〜」
「……とりあえず、説明してもらおうか?」
ほっと安堵しているリリアに追い討ちをかけるように説明を促すと
「ゆ、ユウキさん?何か怒ってます…?」
カブトムシの背中から降りて来たリリアはビクビクしながら俺の顔色を伺っている。
「怒ってないぞ?でも、せっかく修復が終わった地面をボッコボコにされた説明はして欲しいかなって思っただけだ」
「や、やっぱり怒ってるじゃないですかーっ!」
その場にリリアの情け無い声が響き渡り、カブトムシが我関せずと微動だにしないシュールな光景が生み出されていたのだった。
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