第229話 打開策は無し?
危ねぇ…投稿忘れてまた寝るとこだった…
「よっと!!おいしょっと!……んーーーっ!!弱すぎます!」
私は手当たり次第魔物を狩り、気付いたら周りが屍だけになっていました。
逃げられても困るので速攻倒してしまおうと思い、最初から全力だった為、1分も掛からず200体近い魔物を討伐してしまいました…
我ながら自分の成長が恐ろしいです…
「リリアお姉ちゃん?」
「おや?リンちゃん!そちらも終わったみたいですね!お疲れ様です!」
「ん、全部倒した。でもリリアお姉ちゃんよりは時間かかった、よ?」
「いやいや、ユウキさんに鍛えられた期間は私の方が長いですからね!まだ負ける訳には行きませんよ!それでもリンちゃんの成長速度は早すぎですけど!」
「ん、ありがと。2人は大丈夫かな?」
「どういたしまして!一華さんとひまりさんも強いですし大丈夫だと思いますよ?ほら!」
そう言い私はリンちゃんと共に戦闘音が続いている方へと顔を向ける。
「あれ?」
「ん、苦戦してる…?」
そこにはリンちゃんの言う通り、未だに傷一つ見られないカブトムシが角を振り回しながら2人を薙ぎ払おうとしているところだった。
「お二人ともー!何してるんですかー!」
「!?リリア!リン!2人とも良いところに来たわね!」
「2人とも見てないで手伝ってくださいよ!?コイツ硬すぎて刃が通らないっ!!んです!!」
おや?ユウキさんが作った双剣ですよねアレ…
切れ味は一級品の筈なのですが…
「ん、あのカブトムシなんて魔物?」
「幻迷角虫が魔物化した物をグレートビートル、群れのリーダーをセイントビートルと言いますね。真っ白な甲殻に覆われた美しいカブトムシなんですけど…アレは亜種っぽいですね」
「ん、禍々しい」
魔物の時点で美しいと言うのは変かもしれませんが、コレクターの中にはこのカブトムシを生捕にできたら白金化数千枚を迷わず差し出すくらいの価値があります。
因みにセイントビートルの亜種の名前はヘルズビートル。
由来は遭遇した人達が皆殺しにされた事からこの名前が付いたみたいです。
更に情報を付け足すと冒険者ギルドで定められてる等級はSSS、つまりこの1匹で国が滅びます。
「一華さん!ひまりさん!その魔物はSSS級ですよ!それよりも最初見た時その魔物白かったですよね!?何をしたら亜種に進化するんですか!?」
「いや、口の中に魔法ぶち込んだら怒ってこうなったのよね!!」
「そんなことよりもSSS級って先輩呼んだ方が良いのでは!?」
「ん、リリアお姉ちゃんどうする?お兄ちゃん呼ぶ?」
「そうですねぇ……」
ここで私は考える。
このままユウキさんに泣きつけば一瞬でこの魔物は倒せるだろう。
だが、それでは私達の最長には一ミリたりとも役に立たない。
ヘルズビートルは亜種ならではの特性が備わっている。
その特性が2人の攻撃を物ともしていない理由でしょうし……
「2人とも一回戻って来てくださーい!!」
「戻るって!今引きつけてるし油断したらやられそうなんですけど!?」
「あっ、私は一華先輩に押し付ければ戻れます!」
「ひまり!?あんたそんな事したら許さないわよ!?」
……ピンチなのか余裕なのかお二人を見てるとわからなくなりますね…
「とりあえず私が動き封じますので合図したら2人とも飛び退いてくださいね!」
「「了解!!」」
2人に指示を出した私は魔法の詠唱を開始する。
「風よ…我が想いに応えよ!!…お二人とも今です!」
私の声に反応して2人が私達の方へと飛び退き、それを追うように小山のような図体からは想像できない程のスピードで突進してくる。
ですが……
「押し潰せッ!!エアプレッシャー!!」
ズドンッ!!!
という地響きと共に圧縮された空気弾がヘルズビートルの背中を押し、地面へとめり込ませる。
「捕縛魔法を使える方は私に続いてください!!風魔法 風縫い縛り!!」
「了解よ!紅蓮魔法 絡みつく炎蛇!!」
「ん、光魔法 聖天の光針」
「私はまだそこまでの魔力制御ができないのでパスします…ごめんなさい〜!」
「気にする事ないわひまり!」
「ん、適材適所」
「そうですよ!魔法を使い始めて1ヶ月程で攻撃魔法を使えるようになってるんですから!自信を持ってください!」
私たちはそれぞれの捕縛魔法を使いなんとかヘルズビートルの動きを封じることに成功した。
私の風の糸、一華さんの炎の蛇、リンちゃんの光の針がそれぞれヘルズビートルを地面へと縫い付ける事で時間ができた。
「では、私の見解を言いますと…このまま逃げ帰るのだけは避けたいですね!」
「……それには賛成だけど具体的な打開策はあるのよね?」
「うぐっ……それは…」
一華さんは本当にいつも痛いところついてきますね!あまり私をいじめないでください…
「ん、この虫の特性は魔法攻撃99%カットと斬撃攻撃全カット」
「リンちゃんの言う通り剣や魔法での攻撃は無意味かと!」
「そうなんですね…でも、それなら尚更どうしましょう?私は役に立てそうもありませんので、敵の引き付け役ぐらいでしたら引き受けますよ」
「ひまりさんありがとうございます。でも、アレを倒すのに弱点がありまして…お二人にもそれをお教えしておこうと思いまして!」
「それはわかったから早く教えなさい!」
私が勿体ぶった話し方をしていると、一華さんが痺れを切らしてしまいました。
「す、すみません…あの魔物は関節部分もカチカチで隙がないんですよ」
「確かにそうでしたね…どこか斬り込める所は無いかと思って足の節目とか狙いましたけど、全く斬れませんでした…先輩に貰った剣なのに…」
「斬れないし魔法も効かないし本当に厄介ね…私の紅蓮魔法が直撃して焦げ目一つ付いてないのよ?やってられないわよ!全く…」
「お二人の言う通りあの魔物は殆ど無敵に近い存在です。ですが一つだけ効く攻撃があるんですよ?」
「「それは?」」
一華さんとひまりさんの様子に良い気分になった私は、2人の相槌に合わせるように腰に手を当てて答えを告げる。
「ヘルズビートルはその耐久力故に打撃に弱いんです!なので過去に現れた奴を討伐した人は大剣や格闘家が多かったみたいですよ!ふふんっ!」
「「「無理じゃん」」」
「ふぇ?!」
な、何が無理なんですか!?
い、一華さんとひまりさんはともかく、リンちゃんにまで白い目で見られると悲しくなってしまいます…
「だって私達の中に大剣もナックルも棍棒も殴って闘う系の武器を所持してる人なんて居るのかしら?」
「ん、私はお兄ちゃんから貰ってない」
「んー、私もこの双剣ぐらいしか武器はもらってませんね」
「そうよね?私も鞭と小回りを効かせるための短刀くらいしか無いわ!リリアはどうなのよ?」
「………私もこの細剣しかありません。折れる事は絶対に無いので予備の武器も持ち合わせてません…うぅ……弱点を知ってても使える人がいなきゃ意味ないじゃ無いですかァァ!」
私は思わずその場で頭を抱えてしまった。
うぅ……私達ではヘルズビートルを倒す事はできないのでしょうか…?
冷や汗が頬を伝い足元へと垂れる。
ヘルズビートルが今も尚暴れている為、捕縛魔法が打ち破られるまで時間も無いだろう。
そんな中リリアは冷静に思考を巡らせ、打開策を思い付く事ができるのだろうか?
10秒に満たない時間が永遠に感じる程の思惟を巡らせた私は等々一つの可能性を導き出す。
「………そうだ!こうしましょう!!3人ともよく聞いてくださいね!」
次の更新は明後日木曜日の0時頃になります!
次でリリア視点は終了の予定!




