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駄女神に信託を受けた俺、世界最強の流派で異世界を無双する!  作者: 雪月花
第5章 魔王との出会いは平穏な日々の終わり
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第220話 真夏のBBQ 下

 



「そうだ!ユウキくん!あの曲歌ってよ!」


「えっ、嫌だけど?」



 パーティーも終盤に差し掛かって来た頃…



 未成年が殆どのため酒は出していなかった筈だが、雰囲気に飲まれた紅葉が突如として余計なことを言い始めた。



 歌を歌うのは好きだけど、こうやって大勢の前で披露するとなると話は変わる。



 それに俺の意思はともかくとして、嫁軍団が黙ってるはずもなく……



「ユウキさん!!歌が得意なんですか!?そんなこと今まで言ってくれなかったじゃないですか!」


「いやいやリリアさん?得意とは一言も言ってないけどな?それに、一度歌ったら毎日せがまれそうだし……」


「うっ……否定できません……」



 よし、リリアは黙らせる事に成功したぞ!


「でも先輩はいつもカラオケ行くとノリノリで歌ってくれてましたよね?」


「後輩よ…それはカラオケで少人数だったから良いのであって、皆んなに披露する程歌も上手くないしな」


「……は?先輩が下手だったら世の中のアーティストは全員纏めてゴミ箱行きですけど?」


「おい、それはいくらなんでも言い過ぎだぞ!?プロに謝れ!?」


「それはごめんなさい。でもです!ユウキ先輩の歌声は世界一ですよ!これは間違いないと思います!」



 ひまりって俺にベタ惚れ過ぎて耳もおかしくなってるのか?


 ……自分で言ってて恥ずかしいな。




「こほんっ、とにかくだ!幾ら言われても俺は絶対にっ………ん?」



 俺が絶対!!と力強く宣言しようとした時、くいくいっと袖を引かれる。


 ………まずい、これは非常にまずいぞ。緊急事態宣言を発令しなければならない程のピンチだ。



 錆びついたロボットの様にギギギ…と首をしたに向け、袖をひいて来た犯人へと視線を合わせる。



「パパー?ルビーもパパのお歌聞きたいよー?」


「くっ……ルビーや聞いとくれ…パパにも曲げられない流儀があるのじゃよ……」



 苦しい、非常に心苦しいが心を鬼にして…


「ん、お兄ちゃん歌って?」


「よし、歌おうか」


「わーい!パパ一緒に歌おーっ♪」

「ん、楽しみ」



 チョロすぎるだろ俺ぇぇぇえええ!!!!



 でも言い訳を聞いて欲しい!!!


 ルビーの上目遣いで残りHPが1の状態でリンの小首を傾げながらの歌って、このコンボを耐えられる人は居るのか?いや、いないだろう。



「相変わらずルビーちゃんとリンに甘いわよねユウキ」


「う、うるさいぞ!じゃあ逆に一華なら耐えられるのか!?」


「そ、それは…無理だけれども…」


「だろ!?俺の気持ちがわかるなら何も言わずに見守っててくれ……頼む……」


「……健闘を祈るわ」



 こうなったら自棄だ!!全力で歌ってやるよっ!





「と、いうわけで何故か歌う事になったけど……何この空気…無理…」


「マスター、頑張るのですよ〜」



 あぁ、何故俺は今アコースティックギターを爪弾きながら、海をバックに椅子に座ってるのだろうか?



 目の前には仲間達はもちろん、クラスメイトやミュウラ本人を含めたミュウラ邸の人達を合わせた総勢100人程の観客を前にミニライブ?的なのをやる事になってしまった……



「はぁ……それじゃ歌いますわ」




 俺は覚悟を決め、地球に居た頃ハマっていたバンドの恋愛ソングを披露する。



 歌い出すとさっきまで嫌々だったのが嘘の様にノリノリで歌ってしまった……



 一曲が終わって誰からも拍手が貰えなかったんだけど下手すぎたかな……


 まぁ、そんなのは関係無い。


 俺はもう一曲夏の歌を歌うぞ!!例え下手だろうとなぁ!!!




 そして、二曲目を歌ってる途中、サビの部分で俺は異世界ならではの演出を試みた。



 会場で発生させた魔法を上空に打ち上げ、花火の様に夜空を彩らせる。



 我ながら自分の演出に酔いしれたが、最後まで歌は歌いきったので文句は言われないはずだ。




 筈なのだが……



「…………あのぉ、無反応は辛いのですが…まぁ、下手なのはわかってるけど流石に無視は泣けてくるっていうか……帰っていいですか?」


「あっ!?い、いやいやユウキくん!?歌上手すぎるよ!!」


「ご、ご主人様は歌唱力まで世界一なのですね…流石私のご主人様です」


「ゆうちゃんの歌は初めて聴いたけど……素敵過ぎて今日は眠れないかもしれない…」


「せ、先生?……と、ともかく!ユウキの歌はすごく良かったわよ?」



 双葉をきっかけに観客達からも称賛の嵐が巻き起こる。


 お、おぉ…?これは気を使われてるわけでも無さそうだな?



「くぅ〜!相変わらず良い声してるな西音寺は……羨ましく無いと言ったら嘘になるな!」


「ソラ……なんかお前に言われると本当の事なんだろうなって思えるわ」


「なんでだ!?」



 それは俺にもわからん。

 多分、ソラが嘘を付くのが得意なタイプじゃ無いからだろうか?




 閑話休題




 この日を境に案の定、毎日寝る前に一曲披露する事になりました。


 因みにルビーやリン、それにシロとモモには子守唄を聞かせたりしてるから普通の曲を歌う俺は珍しかったのか、ポカーンと俺を眺めていた。



 何故か締めが俺のライブになってしまったが、とりあえず今日の所はこれくらいで休もうと思う。







 その日の深夜……




 みんなが寝静まり、虫の声と波の音だけが延々と聞こえる浜辺にビーチチェアを用意し、1人寝転んでいた。


 なんだろう…最近こうして1人になる時間ってのがめっきり減っていたさいか、とても心地良い。



 そして、見上げる空は満点の星空が広がっているのも1人の時間を堪能するにはうってつけだろう。



 だが、一つ悲しいとすれば俺の知っている星座が無いということだろうか…



 もちろんこの世界に来てから半年が経ち、この世界の書物を何冊も読んだお陰である程度の知識が備わってはいるが星座に関する書物とは巡り合わなかった為、この星空をただ見上げるだけどなってしまっている。




 しばらく1人で黄昏ていると、浜辺を歩く足音が聞こえてくる。



 もちろんマップを確認していた俺はその足音の正体が誰かわかっている為、警戒する事はしない。



「ユ、ウ、キ、くーん?何1人で黄昏ちゃってるのかな?」


「やぁ、紅葉…久しぶりに天体観測でもしようと思ってね。そういう紅葉こそどうしたんだ?」


「ちょっと寝付けなくて…体は疲れてる筈なんだけど、久しぶりにユウキ君と一緒に過ごせると思ったら目が覚めちゃって…あはは…」



 あはは、と笑いながら近づいて来た紅葉の為にもう一つ椅子を用意したのだが…


「ユウキ君?少し広めの椅子に2人で寝転がりたいんだけど…?」


「あいよ。これでいいか?」


「オッケーオッケー!それじゃ失礼してっと…」



 俺が先に寝転がり、その横へと寝転がった紅葉からすごい良い香りが漂ってくる。



 その香りに少しドキドキしながらも再び空を見上げる俺に紅葉がゆっくりと話し始める。


 この一瞬一瞬を大切にする様に……



「ユウキ君……今ユウキ君達は魔王城に向かってるんだよね?」


「そうだな。それがどうしたんだ?」


「えっとね…一月半後に魔族領で魔法使い向けの大会があるのは知ってるよね?」



 それはもちろん知っている。

 魔王に会うのが魔族領を旅する俺たちの終着地とは言え、俺たちの目的はもう一つ別にある。


 それが紅葉の言う魔導大会への参加だ。



「もちろん知ってるさ…俺たちもその大会に出場するつもりだしな。それに紅葉がその大会に向けて頑張ってるって話もよく聞くからな…自ずと耳には入って来てるぞ?」


「あっ、やっぱ参加するんだね……やっぱそう簡単には優勝できそうに無いかぁ〜」


「そりゃそうだ。俺は今回はさんかするつもりはないけどか、俺の仲間達が代わりに出るからな」


「ん?ユウキ君は出ないんだ?どうして?」



 俺がこのての大会に参加しないのが余程珍しいのか、体を起き上がらせ目を丸くして俺を見てくる紅葉に苦笑いしつつ俺の考えを語ってやる。



「この大会はさ…紅葉の覚悟を間近で観る事のできる良い機会だろ?紅葉が俺の言葉を信じて己の力を限界まで高めて挑む大会に、俺自身が参加して紅葉と闘いたいって思いも確かにあったんだけど、俺は紅葉を応援する事に決めたんだ」


「えぇっ?!それは嬉しいんだけどリリアさん達を応援しなくてもいいの…?」


「そりゃもちろん応援はしてるぞ?でも、紅葉が仲間達の誰かと闘う時は迷わずに君を応援するさ」



 そう、この大会に賭ける想いが1番強いのはきっと紅葉だ。



 俺が最初に提示した、自分の身は自分で守れるようになれ。


 その言葉を守り、日々鍛錬に取り組んだ紅葉は見違える程強くなった。



「リリアなんかはなんでですかー!なんて言って怒るかもしれないけどな?それでも、紅葉が俺との約束を大切に思ってくれている事がとても嬉しいんだ。だから、誰よりも君を応援する。だからどんな逆境にぶち当たっても諦めんなよ?」


「ユウキ君………私、頑張って来てよかった……」


「おい、泣くのは優勝してからにしろ!()()()()()泣き虫だな?紅葉は………あれ?」


「え、えへへ…ユウキ君と2人だと気が抜けちゃって……って、どうしたの…頭痛い?」


「い、いや大丈夫だよ。今何か大切な事を思い出せそうだった気がしたんだけど、もう駄目そうだ」


「何それ?とりあえずもう休んだ方がいいんじゃないかな…?」


「そうするか…」



 何かが引っかかり一瞬頭痛に襲われたが、一瞬で痛みは消えて何を思い出そうとしたのか忘れてしまった。



「それじゃ戻ろっか!あっ!ユウキ君!流れ星!」


「おぉ!ラッキーだな!」


「ユウキ君は何をお願いした?」


「俺か?俺は特に何も願ってないかな」


「えー、つまんないなぁ〜!私は優勝できますようにって願っておいたよ!」


「おや?神頼みは良くないぞ?それに願うなら星じゃなくて俺に願った方が叶うかもしれないぞ?」


「た、確かに……」



 俺がふざけて言った言葉を間に受けたのか、真剣に俺に拝もうか悩み出した紅葉の頭をチョップし、別荘へと戻る為に歩き始める。





 神に頼まなくても紅葉なら自らの手で勝利を掴み取れるさ……






次の更新は金曜日の0時頃になります!


モンハンの発売日〜

まぁ、やった事無いんですけどね……

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― 新着の感想 ―
[一言] 紅葉頑張ってね。
[一言] あー定番の忘れてるのをふと思い出しかけて頭痛起きてそして何を思い出そうとしてたか忘れるってパターンw 何が起きて記憶なくしてるのかはまだ明かされてないから色々予想しとこ… 大会とやらが終われ…
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