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駄女神に信託を受けた俺、世界最強の流派で異世界を無双する!  作者: 雪月花
第5章 魔王との出会いは平穏な日々の終わり
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第205話 致命的なバグ

 



 食事をしつつガノンさんの話を聞いていた私は、食事をする手を止めてガノンさんに視線を向ける。



「つまり、魔王陛下に謁見する為には四天王から認められる必要があり、その為にユウキくん達がガノンさんの作成したダンジョンへと潜っている……と言う事なのかしら?」


 私の解釈が合っているのだろう、ガノンさんは一度頷き口を開く。



「えぇ、ローズ様のおっしゃる通り…そして、ダンジョン内の映像は各四天王と魔王様が見られるように常に映し出されております」


「あの!そしたらリル達もユウキ様の活躍を観れるという事でしょうか?」


 私達が聞きたい事をリルちゃんが代表して聴いてくれた。


 リルちゃんだけでなく、他の子達もウズウズとし始めてしまったわね…


「もちろん観れます」

「でしたら!」


「ただし!きちんと食事を取ってからです」

「…はい、失礼しました」



 観れる。この言葉に浮かれたリルちゃんが立ち上がり、直ぐにでも行動しようとするのをガノンさんに嗜められ、自分の席へと座り直す。



 ユウキくんならキチンと謝れて偉いね。なんて褒めそうな場面かしら?



 そんな事を考え、ユウキくんの代わりにリルちゃんを慰めようと口を開こうとすると、私より先にリルちゃんの隣に座っていた双葉ちゃんがよしよしと慰めてしまっていた。



 むむ…出番を取られてしまったわね…まぁ、別に良いのだけれど…



「ママー?早く食べてパパみたいよー?」


「あら、ごめんなさいねルビー」


 ルビーに食べさせていた手が止まっていた為に、ルビーから早く食べさせろ!と催促されてしまった。


 最近はユウキくんがずっとルビーの面倒を見てくれていた為、こうして食事中に娘と過ごすのは久しぶりだったりもする。



「ローズさん、今日の予定は先輩達の様子を見る感じでいいですかね?」


「えぇ、そうね。この子達もきっとユウキくんの側から離れなさそうだし…ガノンさん、それでも大丈夫かしら?」


「では、食事が終わったらご案内致しますね」



 ガノンさんのその言葉で、全員が食事に集中し始めた。


 斯く言う私も先程よりも手を動かすスピードが上がっているのは仕方のない事よね。





 そして…


 食事を恙無く頂き、私たちのあまりの落ち着きのなさに、苦笑い気味で案内してくれるガノンさんに申し訳なさを感じつつも早くユウキくんの状況を知りたい私はルビーを抱き抱えながら廊下を歩いている。



「こちらです」


「この部屋で見れるのですか…?」


 廊下の奥、一つの扉の前に立ち止まったガノンさんが部屋の鍵を開ける。


「どうぞ、お入りください」



 私は双葉ちゃんと目配せし、双葉ちゃんを最後にする形で通された部屋へと足を踏み入れる。


 もし罠であった場合に双葉ちゃんを最後にしておけば、なんとかなると思ったからだ。



「んあ?お前らも来たのか!早くこっちに座れ!そろそろ戦いが始まるぞ!」


「「「………はぁ」」」

「ん、ディアンだ」


 思わず溜息を吐く私と双葉ちゃん…それとガノンさんも心底呆れてそうね…


 そう、リンちゃんが言う通りそこにはお菓子を摘みながらユウキくんが使ってるようなモニター?と呼ばれるものがあり、そこにはユウキくん達が映し出されていた。



「ディアン…食事に顔出さないと思っていたら…」

「すまんなガノンよ。飯なんかよりもこっちが気になってな!まぁ、ここで食ったけどな!」



 ビキッ!!


 ガノンさんからそんな音が聞こえて来たような気がしたが、気のせいと思うことにし、私たちもそれぞれソファー腰掛ける。




「あっ!!ご主人様達の背後から魔物が!」

「これは……ゴブリンロード…なのかな?」


 双葉ちゃんが首を傾げながら魔物の名を言うが、何処か違うような気もする。もしかして……



「んー、これってゴブリンロードの亜種じゃないですか?」

「おや?よく分かりましたね。よく勉強してるようで、ユウキ様のメイドさんは魔物にも詳しいのですね」


「え、えへへ…前にご主人様が教えてくれたんです」

「ほぇ〜、私でも知らなかったのにモモちゃんは凄いですね!でも、先輩に教えてもらったってどこでですか?」


「少し前にご主人様とシロナと3人で森に出掛けて…そこで遭遇しました」

「いつの間に!?」

「私も知らなかったわね…」


 ユウキくんが2人を連れて何処かへ出掛けて行った事はあったが、まさかそんな事をしてるとは思わないわよ…何かあったらどうするつもりなのよ全く。



「あっ、ユウキくん達が戦闘を始めたね…でも、なんかおかしくないかな?」

「ん、魔物に全然気付いてなかった」


 確かにおかしい。

 普段なら数キロ先まで魔物の位置を把握してるユウキくんが目視できる距離まで気づかない事なんて今まで無かった。



「あぁ、それはこのダンジョン内ではスキルや魔法が使えないのです」

「えっ!?そしたらユウキ様はクリアするまで出られないのですか!?怪我をしても逃げられないなんて…」



 顔を青くしたリルちゃんがガノンさんへ非難の眼差しを向けているが、当の本人は苦笑いしながら口を開く。


「いえいえ、ここで四六時中監視し、危なくなったらダンジョンを消滅させますので大丈夫ですよ。そうすれば自然と外に排出される仕組みになっておりますので、安心してください」


「ほっ……それなら良かったです」

「ん、安心した」



 そして、ゴブリンロードの亜種を無事に倒したユウキくん達であったが、既に次の敵が側までやって来ていた。



「……あれ?おかしいですね…」

「どうかしましたか?」


 どこか焦ったようなガノンさんの呟きを聞き逃さなかった双葉ちゃんが直ぐに質問をする。


「いえ、その…この魔物は配置してないと言うか…そもそも、Sランクの魔物はボスとして設置してるだけで道中出てくる事なんて有り得ないのですが……」

「そうなのかしら?でも、どこからどう見ても次の相手はゴブリンキングよ?それも3体同時に」



 私の言葉に無言になる室内。



 ガノンさんの焦り方からこれは予定外の何かが起きてしまってるのでしょうね…



「どうかユウキくん…無事帰って来るのよ…」




次の更新は明日の0時頃になります!


今日は予定になかった用事ができてしまって昼間の更新ができませんでした。ごめんなさい…



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