第200話 異世界って怖い…
本日2話目になります!
翌朝……
「では、ダンジョンの前まで私が案内します。ダミルは皆さんの警護をよろしく」
「おう!任された!ユウキ殿、武運を祈る」
昨晩の夕食時には肩を落としていたダミル殿も今はもう復活して、いい笑顔でサムズアップしていた。このおっさんは……
昨日の夜元気がなかったのは、ガノン殿に怒られたからだろう。誰も触れようとしないのでスルーしておいたが正解だったようだ。
「あぁ、ありがとう。それじゃローズ、後のことは任せたよ」
「了解よ。大丈夫だとは思うけど気をつけるのよ」
「パパー!無理しちゃ、めっ!だよー?」
「あはは、そうだな…やばそうだったら早めに帰還するようにするね。それじゃ、みんな行ってくる」
「先輩なら余裕ですよ〜頑張ってください!」
「「ご主人様!頑張って来てください!」」
「ユウキくんにフェイトさん…お姉ちゃんをお願いしますね…」
「ん、お兄ちゃん頑張れ」
「リルも応援してます!」
居残り組に見送られた俺達は、ガノン殿を加えた6人でダンジョンの付近まで移動していた。
因みに6人なのはミスティも連れて来てるからである。
そんな事よりも、ダンジョンまでの道が知らない土地という事もあり見るもの全てが真新しく感じるな。
「ご主人様、あそこに珍しい花が咲いております。種を採取しておきましょうか?」
「おっ!いいね!よろしく!」
「畏まりました。では、取ってまいります」
「ねぇユウキ?あの鳥はなんで鳥なのかしら?」
「ん?あー、あれは魔族領に生息してる鳥で、名前が確か殺人鳥だな」
「えっ!?なんですかその物騒な名前…」
「マスター?適当に言ってるのです?」
「適当じゃないぞ!?なんでも、今は綺麗な青色の鳥の姿だけど繁殖期になると漆黒に色が染まって肉食になるらしいよ?それで人を集団で襲って食い殺す事があるみたいだね」
「お、恐ろしいわね…異世界怖い…」
普段通りにみんなの質問に答えたり、珍しい物を採取しながら進んでいると、先頭を歩いているガノン殿から視線を感じる。
「…?ガノン殿どうかしましたか?」
「……いえ、これから歴戦の猛者ですら入りたくないようなダンジョンに潜る方々には見えなくて…」
うーん、確かに普段通りすぎたか…?
なんて答えようかな…と思案していた所、俺の代わりに一華が答えてくれた。
「そりゃそうよ。私達にはユウキが付いてるのよ?万が一にも死ぬような事なんてあり得ないわ」
「そうですね。ユウキさんが居るだけで心に余裕ができますし…どんな強敵が待ってるのかワクワクはしますけど不安は無いですね」
「マスターは最強なのです!私もついてるので安心するのですよ!」
「わ、わくわくですか…?え、英雄の仲間達もまた規格外って事でしょうかね…?」
……いや、リリアさん?昔のリリアならビクビクして後ろで隠れてだろう……?
それが今となっては瞳をぎらつかせながら強敵を欲する戦闘狂みたいになっちゃって……
それに一華も「よく言ったわリリア!」などと完全に同調してるし……
俺は弟子の成長を嬉しく思う反面、なんでこんなバトル大好きっ子に変化してしまったのか…と1人頭を悩ましていた。
「ガノン殿、俺からも質問いいですか?」
「えぇ、勿論良いですよ。何をお聞きしたいのですか?」
「ガノン殿はどんな魔法を使うんですか?ダミル殿は全身に炎を纏いながら闘ってましたけど…」
確か身体強化魔法・火炎という名前だったか?
「あぁ!ダミルの魔法を知ってるのですね…魔族の中でも彼の魔法は特別な部類ですね。炎を纏う事によって身体能力を向上させたり、空を飛ぶための推進力を発生させたりと便利ですね」
「……なるほど、最初に飛んで来たのはその魔法によるものだったのか…」
「ただ欠点があって、着地までは考慮できないらしく毎回頭から地面に突っ込むみたいですが…その様子だと実際目にしたのですね」
「見たわね…中々衝撃的な光景だったわ!」
「リンちゃんが夢に出て来て怖かったって言ってましたね………あっ、これユウキさんには内緒にしてって言われてたんでした」
「……ダミルコロス」
リンにトラウマ埋め付けやがって……帰ったらボコボコにしてやる。いや、埋める。
「……そ、それで私の魔法なのですが…後程でいいですかね?もう、ダンジョンのすぐ近くまで来てしまったので…」
「あれ、そうだったんですね…」
「どこかしら?わからないわね…」
見渡す限りにはそれらしき入口は見当たらない。
その為ガノン殿に視線を向けると…
「此方です。この2本の木の間…ここを通り抜けると……この様に空間が切り替わるのです」
「うおっ!凄いなこれは…俺の五感でも感知できなかったぞ」
「私も全然気づきませんでした…」
「変な感覚だったのです…」
ガノン殿に続き、空間の裂け目へと踏み込んだところで、外側からフェイトの声が聞こえた。
「ご主人様?どちらにいらっしゃるのでしょうか?」
あっ、フェイトに採取を頼んだからしばらく別行動だったんだ…
でも、どうして俺の場所がわかったんだ?
「ごめんごめん!ここだよ」
「おや?こんな所に空間の歪みがあったのですね」
とりあえず外側に居たフェイトの腕を掴み、こちら側に引き込む。
「ご主人様お手を煩わせてしまい申し訳ございません」
「いや、そんなの気にしないでいいからな?それに、俺が頼んでた事をやってくれてたんだし……っと、それよりもどうして俺の位置がわかったんだ?」
俺は不思議に思った事をフェイトに聞くと、何故かリリアと一華が目を逸らした。何故だ?
「それは勿論ご主人様の居場所がわかるように、皆さんと魔法を開発したからでございます。名付けてご主人様探知魔法です」
…………はい?
えっ、どういう事…?
「この魔法は……」
フェイトの話の内容に俺が戸惑っていると、それを察したのか、詳細を教えてくれた。
なんでも、俺がソラと共に以前行ったケモミミメイドカフェなどの女の子のお店に出入りしないように見張るのと、俺が新しい女の子を引っ掛けて来ないかどうか監視する為に作ったのだとか……
因みにこの魔法はルビーを筆頭にリンにリル、シロナとモモは覚えていないらしい。
だがしかし…俺のプライベートが筒抜けになってしまった。
まぁ、リリア達に内緒で他の女の子と会う事は無いけどさ…それでもやっぱ良くはないよな…
次の更新は明日の0時頃になります。
因みに、前話をよく見たら所々変な文章になってるところあったので、修正しておきます。




