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駄女神に信託を受けた俺、世界最強の流派で異世界を無双する!  作者: 雪月花
闇に染まった王国と幻想郷の再建
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第19話 終わりの始まり








ーー…ユウキくんの事が好きなんですっ!





俺は今何を聞いているのだろうか。


神咲が俺の事を好き…?しかも雪姉も…

まさか夢でも見てるわけじゃないよな…?



そう思った俺は、自分の頬を抓ったが普通に痛い…





夢じゃないのか…まじか…




全く予想外の状況に軽くテンパるユウキは、自身の一番近くにいる者から発せられる負の感情に気付かなかった。



(マスターは嘘つきなのですっ!!2人のお名前は聞いてたけど!2人ともマスターの事が好きなんて、マスターは言ってなかったのですっ!!マスターは女たらしなのです!)



(ミスティさん!?女たらしって何!?)



ご機嫌斜めのミスティを宥めるユウキを他所にリリアもまたユウキに腹を立てていた。



(ユウキさん!?ちょっと話が違いますよ!?2人ともバリバリユウキさんに恋しちゃってるじゃないですか!!何が、「2人は俺にとってただの友人と近所のお姉さんだ。向こうもそう思ってるよ。キリッ」ですか!!この、唐変木!鈍感系主人公!!)




と、心の中でユウキの事を罵倒するが最終的には、「まぁ、ユウキさんは素敵な殿方ですからね。みんな好きになって当然ですね」と2人とも、うんうんと納得するのであった。



でも、それにしても…とリリアは思案する。



(このお二人も相当ユウキさんに依存してそうですね…ユウキさんも罪作りな方です。こんなに素敵な女性2人をほっといて、自分は私という新しい女を捕まえてるんですから!えぇ、ユウキさんの中で今は私が1番可愛いですからね…)



どこか抜けてる残念王女は、ユウキが居るであろう城下町を眺め、2人励まし合ってる雪と紅葉の姿を見て、可哀想に思いながらも、どこか優越感を感じるのであった。



「「リリアさん…?」」



そんなリリアの内心を直感で感じ取った2人は、リリアの方を見る。



するとそこには、優越感を我慢しきれずに、ちょっとニヤケ気味の王女様がいたのだった。



その様子に2人はなんとなく怪しい気配を感じるが、気のせいだと思う事にし、話を続ける事にする。



「すみません…少し感情的になってしまいました…」



「いえいえ、お気になさらないでくださいモミジさん…ユウキさんを思うモミジさんの気持ちが凄く…本当に凄く伝わりました…」



「は、恥ずかしいっ…こんなのユウキくんに聞かれてたら、私死んじゃうかもしれません…」



かぁーっと、顔が熱くなるのを手で仰ぎながらここに居るはずのない者の名前を出す紅葉だったが、その想い人が普通にこの話を聞いてるなんて思いもしなかった。



「紅葉ちゃん?恥ずかしがる事ないわよ?私なんて紅葉ちゃんに言われるまでこの気持ちの正体がわからなかったんだよ?その方がよっぽど恥ずかしい事よ?」



「いや、1番恥ずかしいのは俺だぞ?唐突に2人の告白を聞かされてるんだからな?もし俺が紅葉か先生のことを好きだったら、間接的に振られた事になるんだからな?もう少し落ち着いて欲しかったよ…」



確かに、言われてみれば1番恥ずかしい…もとい、可哀想な立場なのは天空であった。



天空自体、2人がユウキの事を好きということは、なんとなく感じ取っていた為、2人は良き友人、良き先生としか認識していなかったのが、救いであった。



「でも、もし今の話をユウキが聞いてたら面白かったんだけどな〜」



「「何も面白くないわよ!!」」



本当デリカシーが無いわこいつ…とゴミを見るように蔑まれた天空の目には、少しだけ光るものが溜まっているのであった。



と、そこで4人の話を遮るものが現れる。



「皆様、ご歓談中のところ申し訳ありませんが、陛下から皆様にお話があるそうですので、一度会場の方にお戻り下さい」



そこに現れたのは、リリア付きのメイドであるラルであった。



「あら、ラルではありませんか。お父様のお話ですか?そんなの予定にありました?」



はて?と首を傾げるリリアに、他の3人も釣られて首を傾げる。



その様子に、くすっと笑うラルであったが、すぐに表情を取り繕い、説明を始める。



「その事ですが、(わたくし)どもも何も伺っておりません。なんでも、取り急ぎ話さなくてはならない事ができた。とのことなのです」



「わかりました。すぐに戻ります」



何か嫌な予感を感じながらも、無視するわけにも行かないので、すぐに移動を始める4人を見送り、ラルもそれに続く。



バルコニーに入るための扉を閉めようと立ち止まり、扉に手を添えたその時、一瞬だが不規則な風の流れを感じたラルは、あら?と思いながらも、不思議な風でしたね。と然程気にすることなく扉を閉め、リリアたちに追いつこうと少し早歩きで追いかけるのであった。



(よし、一瞬バレたかと思ったが、なんとかここまでは無事に入ってこれたぞ!)



奇妙な現象の正体は、ご存知の通りユウキの仕業である。



扉が閉められそうになり、咄嗟にラルの頭上を飛び越えた時に、ユウキの移動とともに風が不規則に変化してしまったのであった。



 流石に今の俺じゃ風の動きまでは操作できないからね…バレなくてよかった…


と、ほっと胸を撫で下ろすのも束の間、エギルの話を聞く為に会場中がエギルの方を注目しているのを見て、好機!と思いこの城を去るときに鑑定していた敵が動き出した時に、すぐに対応できる立ち位置に陣取る。



(ミスティ、ここからは絶対にミスれない。この世界の命運は俺たちに賭けられてる…必ず護り切るぞ!)



(はいなのです!私とマスターは最強だから絶対護り切れるのです!)



ユウキは基本的に絶対という言葉は使わないし、信用しないのだが、ミスティが言うと何故か大丈夫な気がしてくるから不思議だ。



ユウキが、敵と認識している男…




その男…アメジスティア王国騎士団、副騎士団長のアールもまたこの好機を逃さまいと目をリリアとその周りに居る天空達に固定し、一撃で終わらせようと極大魔法の詠唱を始める。




この世界には、魔法によって強さの基準がある。


上から第十級、第九級と数字が小さくなる毎に魔法の強さや難易度が上がるのだが、アールが使おうとしてる極大魔法は、第一級の更に上…



遥か昔、今から1000年前に邪神とその使徒との争いの中で生まれ、そして今は失伝してしまった禁呪なのであった。今では使える者など居ないとされ、そもそも眉唾物として、御伽噺に出てくるような物であった。





だがしかし、それを使える者がこの場に1人、いや2人いるのであった。




アールは詠唱を進めながらこの国で過ごした事を思い返してゆく…



 魔神族であるアールは、最終的に全員が敵になると分かった上で、この国の中枢を担う存在まで登り詰めたのだ。


存外、この国は魔神族である自分にとっても暮らしやすかった。



 騎士団の仲間たちと稽古する日々は掛け替えのないものだったし、国王であるエギルや宰相であるエルもいい人だった。



 そして、何より団長であるアウリムと王女であるリリアはアールの中でも特に思い入れが深い2人であった。



 団長とともにこの国を危機に晒した魔獣を2人で協力しあって討伐した日々は、今でも鮮明に思い出せる…



 そして、この世に生まれ落ち、その場で母親を失ったリリアを幼き頃から見てきたアールは、できることならこのままリリアの行末を、見守り続けたかった。



だがそれも最早叶わぬ夢となってしまった




 (おのれ)の崇拝する邪神が復活し、この国で行われてしまった勇者召喚の儀式を察知した邪神から勇者やそれに関わる者を抹殺しろとの命令が魔神族に下されたのだった。



自分の大切な人達が誰かに殺されるところを見るくらいならと考えたアールは、自らの手でリリア達の命を詰む決意を固めたのである。




そうして…魔法の詠唱が終わり、その場を濃密で膨大な魔力が吹き荒れる。





何事か!?とその場にいる者全てが魔力の中心地を見やり、そして目を丸くする。




そこに居たのは、涙を流しながら、この国を無に帰すことの出来る魔法を発動しているアールの姿であった。



振り上げられた武器は振り下ろされるその時を今か今かと待ち望む。



その光景を目にした者は皆一様に瞳の奥に絶望の2文字を刻み込まれ、戦意を失った。


 



ここでその場に居たものの行動は二つに分かれる。




一つは絶望し、その場に崩れ落ちる者…



そしてもう一つは、絶望しながらも、なんとかしなくてはと咄嗟に身体が動き、果敢にもアールに飛びかかり魔法の発動を止めようとする者…




それぞれの行動は全くの別物だったが、皆思うことは一つであった。




…何故、お前が…と





果敢にも飛びかかった者達は、アールの膨大な魔力の膨らみにより吹き飛ばされ、さらには窓ガラスは砕け散り外界にガラスの雨を降らせる。




 城下町で暮らす人々は、突如としてアメジスティア城を突き破り現れた魔力の柱に、自分のしていた事も忘れて見入る。



あぁ…これが世界の終わりなのだろう。



それぐらいの絶望を抱かせるには充分すぎる光景であった。



薄く貼っていた雲は吹き飛び、月明かりのない夜空には無数の星が姿を表す。



魔力を中心として砂埃がトグロも巻きながら天に登って行き、国全体に砂の雨を降らせる。






そして、その時は訪れる…




誰もがなす術なくアールの事を見ている事しかできない。その様子にこれ以上の抵抗はない事を悟ったアールは、魔法を発動するための最後の一言を呟く。




「…申し訳ございませんが、私が崇拝する神の為にここで死んで頂きます。今までお世話になりました」



そう言葉にし、最後に魔法名を唱える…



「では、皆さま冥府への良き旅路を…"終焉の焔(しゅうえんのほむら)"…」




アールの言葉と共に形を成した魔法が、今まさに発動しようとしたその時、リリアが待ち望んだ声が聞こえる。





「いや、やらせるわけないだろ?」





"消えろ"とユウキが言い放つとその場を支配していた魔力は見る影もなく消えて無くなるのであった。








ようやく物語に動きが…無理やり感ありますが…とりあえず本日1話目更新でございます。


次話は、本日の午後15時に投稿予定になります。

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