表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
駄女神に信託を受けた俺、世界最強の流派で異世界を無双する!  作者: 雪月花
いざダンジョンへ!〜運命の分岐点〜
182/244

第174話 崩壊の音

遅くなりました…


ここ最近のユウキの口の悪さの集大成的な話になりますので、殺伐とした雰囲気が苦手な方は、ここから2〜3話くらい読み飛ばしてもらえるといいかなと思います!



 


「んぉ、これ意外と美味しいな…俺も今度作ってみようかなぁ…」


「もぐもぐっ、んっく…ぷはーっ!ルビーはパパのご飯の方がうーんとっ!好きだよー?」


「あはは!そりゃ愛情をいっぱい込めて作ってるからな?」


「本当、あんたってルビーちゃんにぞっこんよねぇ…あっ、このケーキも中々…はむっ」


「ごしゅじんもぐもぐ、さまは…はむっ!あま…ごくごく…すぎるのですっ!!」


「おい、流石に行儀が悪いぞミスティ?」


 食べる手を一切止めずに無理やり喋ろうとするから食べカスがポロポロと机の上に溢れる。


 その様子をヒソヒソと遠巻きに眺めている貴族達の様子を見ても、俺たちを快く思っていないのは明らかだ。




「ふぅ…一通り挨拶回りが終わったよ…」


「おっ、エリンさんお疲れ様です」


「エリンお疲れ様なのです!これ美味しいのです!食べるといいのです!」


「はははっ、それじゃ頂こうかな。もぐ…うん、美味しいね。あっ、そうだ!ユウキ殿…陛下に挨拶した時にもう少ししたらメイドを寄越すって言ってたよ」


「…了解した。それで、守備はどんな感じだ?」


「…ここは一眼が多いからバルコニーへ行かないかい?」


 俺はその言葉に無言で頷き「ちょっと夜風に当たってくるよ」と仲間達に告げ、エリンと共にバルコニーへと移動する。


「一応念のため魔法で結界を張っといたから、普通に話して貰って大丈夫ですよ」


「…相変わらず君は凄い魔法を当たり前のように使うんだね…まぁ、それでこそ英雄というものか…」


「褒め言葉として受け取っておきますよ。それで、時間もない事だし本題を」


「了解だよ。ユウキ殿にお願いされていた魔導具は全て所定の位置に仕掛けておいた。でも、本当に何かよからぬことが起きるのかい?」


 …エリンの言葉に俺は一瞬考え込む。


 確証は無いが俺の予感はよく当たる。

 備えておいて損は無いだろう。それに杞憂で終わればそれに越したことは無い。


 だけど…知り合い…いや、友人達の忠告に従い色々と調べた結果…この国の政治は腐敗していた。


 俺たちが住むあの家、いやもう原型は無いから土地と言った方がいいか…


 あの土地に住んでいた貴族は既に一族郎党殺されてしまっていた。


 それだけじゃ無い、この国の貴族でアイツに逆らおうとする動きを見せた者は見せしめの如く締め上げられ、良くて追放。悪いと即処刑といった余りにも酷い恐怖政治で貴族達を縛り付けている。


 そしてあの国王は無類の女好き…気に入った女は必ず呼び出すと調べてわかった。そして、その後は…



 つまり、だ…


 あのクソ野郎は間違いなく俺たちを呼び出した理由は、俺の話を耳にしたからじゃ無い。


 俺の仲間達の噂を耳にしたから、俺たちをこのパーティーへと招待したのだ。


 ……許せねぇよなぁ?



 まぁ、まだ確定した未来では無いからな…俺の想像している流れとは違う可能性も普通にある。



「はぁ…この国も今日で終わるのかぁ…」


「?何言ってるんだ?」


「いやいや、だってそうだろう?君の家族に手を出そうとするアイツをユウキ殿は許さない。即ち、アイツがこの国の王で居られるのは、メイドがユウキ殿の事を呼びに来るその時までじゃ無いか」


「いやいや!それこそわからない事です。もしかしたら昨日話した内容が全て杞憂で終わる可能性も」


「いや、それは無いと思うよ?安心してって言うのも変だけど…十中八九君のシナリオ通りの展開になると私は思っている」


「えぇ…結構最悪な展開を話したつもりだったんだけど…」


「その最悪な事をやるのがこの自由国家エメラルの国王なのさ…でも、奴を糾弾した後の後釜はどうするんだい?」


 後釜かぁ…俺は絶対に嫌だから統括であるゴラムスか他の国に統合させるか…あるいは…


「まぁ、それは考えてありますとも…っと、どうやら仲間達にメイドが接触したみたいですね…俺を呼びに来たみたいです」


「…来たか。僕は君が有利になるように動くよ。妻と…そしてこの国の未来のためにね」


 俺たちは頷きあい、普通に談笑をしているように見せかけながら、俺は結界を解く。


 すると間髪入れずメイドが俺の名を呼んだ。



「ユウキ様。陛下がお呼びですので御同行お願い致します」


「…わかりました。では、エリン殿。失礼しますよ」


「えぇ…また後ほど」



 俺は手を振りバルコニーを後にし、メイドの後に続き王が鎮座している場所へと仲間達を引き連れてやって来た。


「……来たか。皆の者!耳を傾けて欲しい!ここにいる者たちが此度、我が国を破滅から救ってくれた冒険者達だ!」


 クソ野郎は俺の顔を一瞥…するフリをしてリリア達の顔を見渡し、一瞬。誰にも悟られる事なく下卑た笑みを浮かべ、何事もなかったかのようにパーティー参加者へと注目するように促す。



「……ユウキさん?何かこの人嫌な感じするんですけど…」

「しっ!黙ってろ…みんなもこれから何が起こっても黙ってろよ」


「わ、わかりました…」

「…これ、西音寺キレてるよね…?」

「ん、やばそう」


「…黙ってろ」

「「「ごめんなさい…」」」


 おっと…仲間達を威圧してどうする俺…落ち着け。ステイクールだぞ俺…



「今宵!この者達へ褒美を与えると共に、この国を更に繁栄させる事ができる!…おい、貴様名をなんと申す?」


 あ?コイツそんな事も知らねぇのか…?


「……ユウキです」


「ふむ…名前負けだな。いいか!皆の者!ここにいる冒険者ユウキを我が国の貴族として迎え入れ、それを褒美とする!皆にはその立会人になって欲しいのだ!」



 コイツの言葉に同調するように貴族達からよかったじゃないか!とか、なんと素晴らしい提案!とか…クズ野郎に胡麻をすることしか脳が無い連中に俺は密かに溜息を吐く。



「喜べ!貴様のような劣等な血筋に我が国の貴族の末席をくれてやるのだ!即刻跪きこうべを垂れよ!!」


 ギリッ…仲間達が歯を食いしばる音が聞こえて来る。


 俺に黙ってろと言われてる手前、何も言わずに耐えてくれているようだ。ありがとう…俺に任せてくれ。



「どうした?聞こえなかったか?」


「いいや、聞こえていたさ…無視をしてるだけですよ」


「なっ!?貴様!!この俺が誰だかわかって居ないのかっ!?」


「いや、知ってるさ。無知で傲慢で自分本意な愚王だろ?お前が知らなくとも俺はよく知ってるぞ」


「…貴様。俺を侮辱するか…」


 俺の言葉に怒りを露わにしたクズ野郎は、今にも俺に切りかかって来そうな勢いで睨みつけて来る。


 野次馬達も俺の尊大な態度に何様だッ!!等とほざいているが、俺は無視を決め込む。


「侮辱はしてないさ。ただ俺は質問に答えただけだ」


「……余程死にたいらしいな」


「さぁ?どうだろうな?」


 俺はここ最近のストレスを全て発散するようにクズ野郎を煽りまくる。


「いいのか?お前がどれだけ強かろうが俺には敵わないぞ?それに、後ろのお仲間達を庇いながら戦うには…些かフリな状況だとは思わんのか?」


 クズ野郎の言葉に、一度俺は周りを見渡す。


 そして、一瞬考えるフリをして元々用意していた言葉を投げつける。



「ふむ…まぁ、一理あるな。確かにこの場所は敵が多いみたいだ…だけど一つだけいい事を教えといてやるよ」


「……言ってみろ」


「俺がお前より弱いって事も無ければ、この国の全戦力を仕向けて来たとしても……1分も待たずに全員仲良くあの世行きだ」


「…ふっ、はっはっは!!馬鹿か貴様は!!そのような口車には乗せられんぞ?そうやって言えば俺が怯むとでも思ったか!!?ここまで吠えると笑えて来るな!俺を笑わせてくれた礼に、今なら対価を支払えば許してやるぞ?」


 おっと…この流れは不味いぞ。


 チラッとギャラリーを見ると、エリン殿が仲の良い貴族達を呼び寄せて、こっちを見て焦りの表情を浮かべていた。


「んで、その対価とやらを一応聞いといてやるが…変な事を口走ったら…わかってんだろうな?」


「ふんっ…まだそんな態度を取れるのか?清々しいほどの厚顔無恥!だが俺は今機嫌がいいのだ…そうだろう?なんて言ったって…この国でお目にかかれない絶世の美女達がこうして俺の元へとやって来たんだからな」


「……へぇ、因みに何処にいるんだ?俺にはお前の言う美女は見えないが?」


「白々しい!お前の後ろに居るだろうが!!俺への貢物が!!そこの女達を全て俺に寄越せ。そうすればお前のその尊大な態度も無罪放免にしてやるぞ?」



「なっ!?貴方何言ってッ!?」


 喧嘩っ早い一華が俺の言いつけを我慢できずに反論しようとするのを、手を翳すことで制し…俺は感情を押し殺し思い口を開く。




「……お前、よくそんな事言えたな?」


「なんだ…?よく聞こえんかったぞ!」


「俺はさっき言ったよな?変なこと口走ったらって…」


「くっくっく…それがどうした!!俺はこの国の王であり絶対的な強者だ!貴様みたいなゴミとの約束など知ったことでは無い!!」



 ダメだ俺には我慢できそうに無い。



「…あぁ、そうかよ。それならお望み通りの物をくれてやる」


「ふんっ…ようやく理解したか。これだから底辺の冒険者は知能が足りなくて困る。ほら、さっさとよこッッ!?!?」


 全てを言わせる前に、俺は怒りのままに気を当て無理やり黙らせる。


 すまんエリン殿…



「……黙ってよく聞けッ!!お前にくれてやるのはなッ……地獄行きの片道切符だよッッ!!!クズ野郎がッッ!!」


 スゥ……



 この場にいた者は、確実に聞こえていた。


 自分に迫る死の音を…

 そんな音など存在しないのにも関わらず…


 皆一様にこの音を聞いたのだ。




 そう…俺から放たれた濃密な殺気が華やかだったパーティー会場を一瞬にして、恐怖の蔓延する空間へと塗り替えた。


 空気が変わる音を耳にしたのだ。



 自由国家エメラル……この国の根底を大きく変える出来事…いや、悪夢が始まった。





次の更新は明日の0時頃になります!


次回でユウキの思いが爆発します。

誰かユウキの暴走を止めてくれ…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] まぁ国が腐りまくってるし… 自分の大切な嫁達を貢物とか言われたらそりゃ堪忍袋の尾が切れるよねぇ… ルビーとリンのロリ枠にある程度粛正したあとの引き戻し役を期待するしかないね 殿下の宝刀「パパ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ