第167話 呪い…?
「つまりこの方達は先輩の女ってことですね?」
「いや、言い方悪過ぎね?それに色々と説明した中で何故それを聞く?」
「1番重要だからに決まっとろーが!!」
「えっ?なんかすまん」
急にプンスカ怒り始めた後輩は「先輩がモテるのは仕方ないにしても多過ぎます!」とぷんぷんしていた。何が多いんだ?
「それにそれに!紅葉先輩と雪先生も彼女って…私だけ仲間外れですかそうですか」
「仲間外れって…恋人になるのに仲間外れもクソもないだろ?」
「ありますよ!!だって私だってユウキ先輩の事大好きだったんですよ??なのに、置いてけぼりにされるは異世界で彼女作りまくってるわ…私なんてキモい男達に追い回されてたんですよ!?あんまりです!」
何コイツどさくさに紛れて告ってんの?やだもうどうすればいいんですか!?
助けを求めるべくリリア達の方をバッ!と見ると…ババっと視線を逸らされる。
なぬっ!貴様ら…
(そもそも告白されたのは自分なんだからユウキくん自身で返事しないとダメなんじゃない?)
(正論を言うな駄女神の分際で…)
(本当に私に対してだけ酷すぎるよっ!泣いちゃうよ!?)
(大いに結構!と言いたいところだが泣かれるのは困るな…てか、こう言うやり取りができるのはイブくらいだからな…その、諦めてくれ)
(ユウキくん……それってつまりストレス発散に付き合わされてるって事?)
(……まぁ、そうとも言うな)
仲間達は当てにならず駄女神にすら正論を言われる始末。さて、今目の前で咄嗟に口を衝いて出てしまった!と顔を赤らめチラチラ此方の様子を伺っている後輩をどうしようか?
もちろん後輩の事は気に入ってるが…好きってこんな感じだっけ?
最近周りが女の子ばっかで感覚が麻痺してるわこれ…てか、男のメンバー増やしたいなぁ…募集してみるか?
…おっと、また思考が脱線してしまった。
「後輩…いや、ひまり?よく聞け」
「きゅ、急に名前で呼ばないでくださいっ!な、なんですか…?」
「それはすまん…それでお前は俺の事が男として好きって事か?それとも友人として?」
「……そんなの男の子としてに決まってるじゃないですか…なんて事聞くんですか!本当に先輩は唐変木なんですから…でも、そんな所も含めて先輩のことが初めてあった時から好きなんです。一目惚れなんですよ?知らなかったでしょ?」
「初めて会った時って…ナンパされてた時か?俺の最初の印象は顔は可愛いけど、行動がヤバい残念なやつだったけどな」
「なっ!?か、揶揄わないでくださいよ!」
「まぁ、でも…俺はそんなやばい所もお前のいい所だと思うよ。俺さ…この世界に来て妙にモテるんだよね…もしかしたらこれから先も大切な人が増えるかもしれない。日本にいた頃は絶対にあり得ない選択肢だけど、それでも俺は今この場にいるみんなを守り抜くと誓ったんだ。だから、こんなダメダメな俺でも良ければひまり。お前の事も俺に守らせてくれ」
「先輩……本当にダメダメですね?女の子から告白されて、他にも女がいるけどいいよね?それにもっと増えるかもしれないけど?ってクズ発言ですよ??でも、それでもいいです。私の事を一生守ってください…もし私が死んだらユウキ先輩も一緒に死んでくれないとダメですよ?天国に行っても守ってもらうって約束は無くならないんですから!」
「おいおい、それはちょっと重過ぎやしないか?」
後輩の重すぎる台詞に俺は苦笑いを浮かべる。
「堂々と浮気発言をしたんです!これくらい言わせてください!」
はぁ…まぁしょうがないか…それに死なせるつもりなんて毛頭ないからな…
「さて、それじゃ晴れて後輩は俺たちの家族だ…これからよろしくな…」
「はい!よろしくお願いします!」
さてと…後輩の歓迎会の準備と参りますか!
……それに後輩のこの呪い…これは早いとこ消し去らないと大変だな。
不幸の化身:その身に訪れる不幸な出来事を他人へと押し付ける。
なんでこんな呪い持ってんのコイツ…確かにこいつはよくキモい男に付き纏われたり、ペットショップの前を通りかかって、可愛い!と言った動物が次に通った時には何故か消えてたり…
悲しい出来事が多かったもんなぁ…
ひまりと出会ってからの不幸エピソードしか知らない俺は、生まれた時から不幸な目に合ってる事は知らない為、自分が居たことによって緩和されてた事に気づいていなかった。
「フェイト、歓迎会やるから準備お願いしていい?俺は一応紅葉と雪姉、それとソラに後輩の話をしたいからさ」
「確かその御三方は同郷の方でしたか…かしこまりました。此方はお任せください♪」
「ありがとう。ちょっと自室に戻るからみんな後輩の事頼んだぞ〜」
「はーい!なのです!マスターとひまりの面白エピソードを聞いて待ってるのです!」
「それはいいですね!ひまりさん、是非お聞かせください!」
「は、はい?そんな話で良ければ…」
……後ろ髪引かれる内容だけど気にしたら負けだ。それに日本にいた頃の俺は総じて変だったと自負してる。だから今更どうのこうの騒いでも後の祭りなのだ。
リリア達にもみくちゃにされてる後輩を置き去りにし、俺は自室に戻る。
まず最初に避難させたメイドさん一覧を亜空間へと戻し、ソラを呼び出す。
(おーい、ソラ!聞こえるか?)
(ッ!?ってなんだ…西音寺か!どうかしたのか?)
(今って周りに紅葉と雪姉いるか?居たら3人で何処か人目のつかない場所に移動して欲しいんだが)
(了解だぜ!丁度神咲と一緒に雪先生の所へ向かってる所だ)
(そうだったのか…念話繋いでおくから3人での移動が終わったら声かけてくれ)
(あいよ!)
さてさて…今のうちに後輩の呪いを解いちゃうかなぁ……ってあれ?もう呪い解けてんじゃん…どゆこと?
後輩が寝たふりをしてる時に暇だったから盗み見したのだが…今見ても消えてるんだけど…
最近は仲間達のスキルを造ったりするためにいつでも閲覧できるようにしてるから、どこに居ても仲間達の状態を監視できるのだが…後輩のステータスに先程の不幸の化身という呪い…?呪いっていうのか?が綺麗さっぱり消え、代わりに俺やイブ、そしてマリアさんの加護が付いていた。
あっ、そうか…イブの加護は状態異常無効になるんだっけ?呪いも状態異常枠なのか!なるほど…もしこの先呪術を得意とする魔神族とか出てきても対応できそうだな…
思わぬ解決法に手持ち無沙汰になった俺は、後輩の装備品を創り上げ、どんなスキル構成が合うかどうかを1人模索してると…
(おーい!西音寺!移動終わったぜ!)
(おっ、了解だ。そしたら紅葉に渡してある宝玉に魔力を込めて見てくれないか?)
(おっけ……これでいいのか?)
(見えた…んじゃ、転移させるな)
「は?」
「へ?」
「何!?」
「よっ!3人ともそれなりに久しぶりだな?」
俺は目の前で驚いてる3人に手をあげて挨拶する。
どうせなら後輩の歓迎会に3人にも参加して欲しいからな…後輩が驚く姿が目に浮かぶなぁ…
次の更新は明日の0時頃です!
登場人物…というよりもユウキの周りに男が居なさすぎる…ので、どっかのタイミングで良い感じの男降ってこないかな…




