第164話 取り間違え注意
「それでユウキさんから聞いた話を纏めると、私たちは既に後輩さん?をこちらの世界に呼ぶための条件は揃ってるのですよね?」
「そうなんだよね。マリアさんからはそう言われたんだけど全く身に覚えがなくて…」
召喚魔法を使う奴らは居たけど、仲間内で召喚魔法を使うのは誰1人としていないもんなぁ…ローズやリリアは精霊と契約はしてるが、召喚とは違うし、一華の魔法も動物をモチーフにしてるだけで召喚はしてない。
唯一召喚と言えるのは武装を瞬間的に展開するフェイトの武装召喚魔法だけど…
「私の魔法で異世界から人を呼び出すのは無理でございますよ?それにこの武器は創造神様が創られ、ダンジョンに放置していた物を私の物にしただけでございます。ですので、何かを生み出したりする力は私にはありません」
との事だ…
因みに俺はイマジンリアリゼーションを使えば一発で後輩を召喚できるらしいが…
「使うのはいいですけど、神界協定に背く行為なので1000年封印されてしまいますよ?」
と、にこにこ笑顔で脅されました。
まぁ、ぶっちゃけ最悪の場合は無理矢理召喚して、天界をぶち壊して神々を僕にすればいいだけだけど…流石に申し訳ないから他の方法を考えてるわけだ。
(いや、思考回路バグってないかな!?それに神を纏めて相手できるみたいな言い草だけど、流石に無理だと思うよ!?)
(……それは…どうだろうな?)
俺は絡んで来た駄女神に意味深な雰囲気で短く返答し、バグっていると言われた思考を巡らせる。
「あっ、そうよ…あれを見てみない?」
俺が何かヒントになるような事はないか?と唸っていると、一華が何か思い付いたのか手をグーにしてポンっと手のひらに打ち付けていた。
いや、今日日そんな仕草する人見ないぞ?
「…あれって何を見るんだ?」
「あれよ!ボスドロップ!フェイトと出会ったダンジョンのドロップは何か怪しい巻物じゃなかったかしら?」
「あー!確かに拾ったのは巻物でしたね!そうです、まだアレがなんなのか確認してませんでしたね!」
「あれか…確かポイっと亜空間に放り込んでたはず…っとあったぞ」
俺はゴソゴソと亜空間の中を探り、お目当ての物を引っ張り出す。
「…あなた?なんか違う物が出て来た気がするのだけど…?ソレ、ナニカシラ?」
「えっ!?あっ…コレは…そのぉ…」
俺が取り出したのは、インカローズでソラと内緒で行ったケモミミメイドに奉仕してもらえるメイド喫茶的なお店の店員さん一覧であった。
なんでこんな物が!?と思ったが確かに帰りにハイッ!って渡されたのを何も考えずに亜空間へと放り込んでたんだった…なんで従業員一覧が巻物っぽくなってるんだよ…
「……マスターはこういうのが好きなのです?」
「あっ、この子可愛いわね?でも、わざわざこんな店行かなくてもここにシロナとモモがいるじゃない」
「言い訳はしないが聞いてくれ…その店に行ったのはソラと2人…そしてまだシロナとモモと出会う前だ…だから、今は行こうなんて思わないぞ!だから、双葉!その俺に向けた杖を降ろしてくれッ!!」
ハイライトの消えた目で俺をじーっと見ていた双葉の方を向き、ルビーを膝から降ろして、速攻で土下座の態勢へ移行した俺の冷や汗が止まらないのだが!?
「…ユウキくん?約束できる?」
「で、できまふ!」
「……次は無いですからね?」
「りょ、了解であります…」
よ、よかった…なんとか生き延びたぞッ!!
「…はぁ、ユウキくん本当に神になったのかしら?と疑いたくなるぐらい綺麗な土下座だったわね」
「あれ?ローズさんは土下座知っての?」
「えぇ、ユウキくんの元居た世界での究極の謝罪方法だと土下座していた当人から聞いたわ」
「へぇ…通りで板についてると思ったわ。なるほど、西音寺の特技は土下座だったのね?」
「おい、一華調子に乗るなよ?お前の修行を10倍キツくしてやるからな」
「理不尽ッ!!なんでよ!!?」
「うるさい黙れ!!そして、それ返してくれ!燃やす!」
俺はバッとメイド一覧を奪い取り、サッと魔法で消滅させる。……フリをして自分の部屋へと転移させておいた。後でどんな子が居たのかチェックしとこっと。
「早く本物を出すのです!時間が勿体無いのです!」
「あっ、はい。此方が本物?になります」
「おぉー!これがメイド長が居たダンジョンのドロップ品なのですね!」
「そうですよ。シロナとモモも家事を一通りできるようになったら戦闘訓練を積んだ方が良いかもしれませんね」
「「やった!ご主人様教えてくれますか?」」
「もちろんいいぞ?だけど、フェイトからお墨付きが出てからになるからな?だから、一人前のメイドさんになるんだぞ?」
「「頑張ります!」」
「うん、良い返事だ。っと、話がまた脱線したな…とりあえずこの巻物を開いてみるか」
そう言い、俺は紐で結ばれていた巻物を開く。
すると部屋が閃光に包まれ、驚いたルビー、シロナ、モモの幼少組が俺に抱きついて来た。役得ってやつですかね?
「あれ?別に何もなさそうだな…3人とも大丈夫だぞ」
「あっ、ご主人様ごめんなさい!」
「ご、ごめんなさい…」
「気にするな…それよりもなんだったんだ今のは?」
抱きついて来ていた2人が離れ、ルビーは何故か俺の背中側に周り、頭によじ登ろうとして来たので、座りながら肩車をするという変な状況になってしまった。
「あっ!ユウキさん!上を見てください!」
「ん?」
「あ…」
「ほぇ〜」
なるほど、ルビーがよじ登ってきたのはコレを近くで見るためだったのか?それなら納得だな。
「魔法陣…ですか?」
「だな。多分俺以外知らないと思うから言っとくが、アレは神界文字で描かれた陣だな…」
「私は創造神様に創って頂いた時に見たことがございます。確かにアレは神界文字でございますね」
フェイトの説明を真剣に聞いてる皆んなを勉強熱心だなぁ〜と思いながら、ぼけーっと天井に描かれた魔法陣を見上げている。
すると突如再び魔法陣が輝き出したのであった。
次の更新は明日の0時頃になります。
明日は視点がユウキ以外の誰かになります!まぁ、バレバレだと思いますけどw




