第163話 繰り返すド忘れ
少し遅くなりました!
「さて、皆んなに話があるんだ」
リビングで寛いでる一同を見渡し、俺が真剣な面持ちで話し始めた事により、皆んなも真面目に俺の話を聞く体制を取ってくれる。
「…話ってなによ?怖いから早く言ってよね〜」
「…お姉ちゃん?」
「…最近妹が怖い……」
一華と双葉が戯れあっているがスルーして話を進める。
「…俺、神になったわ」
………。
あれ?皆んな俺のことを白けた目で見てくるんだけど…なんで?
「…マスター?真面目に話すと思ったら開口一番それなのです?はぁ…やれやれなのです」
「ご主人様はちゅーにびょう?という病気って聞きました!早く良くなると良いですね!」
「こ、こら!モモちゃんそれは言っちゃダメって言いましたよね!?」
…なるほど?反応を見るにリリアと一華が元凶だな?うちの可愛いメイドさんに余計な事を吹き込みやがって…やはりお仕置きが必要だな。
「普段から適当なこと言ってる俺だが、冗談でも何でも無く、真面目に言ってるんだよ」
「だけどあなた?神になったと言うけれど元々そうよね?サーシャから聞いたのだけど…」
「確かに俺はペリドットを救う時に半神になってるよ…だけど今回はその一歩先にすすんだかんじ?」
「といいますと?」
俺はフェイトの相槌に乗っかるようにして大事な部分を告げる。
「半神から本物の神になったんだよね…そして、これが証拠…俺のステータスだよ」
ステータスを皆んなに見えるように具現化し、集まって来た仲間達に手渡す。
「………は?」×全員
「俺の使える権能は2種類、雷に関する現象と時間に関する現象だ」
「…やばい、頭痛くなって来た…頭痛薬なかったっけ?」
「ん?そしたら俺が魔法で直してやるぞ?」
「遠慮するわ…もっと頭痛くなりそう」
「何故!?」
おかしい、もっと凄い!とかカッコいい!とか流石です!とか褒め称えられると思ってたのに!想像していた反応と違う!!
(そりゃ、この子達からしたら困惑するでしょ…好いてる男がいきなり神になったんだよ?)
ちっ、いきなり湧いて出てくるなこの女神…まるでゴキ(それ以上は言わせないよ!?)…途中で遮るって事は自覚有りって事か?
それよりも続きを話さなくては…
「ほぇ〜ご主人様って本当に凄いお方なのですね…」
「ん、お兄ちゃんは凄い。でも、ちょっと寂しい」
…え?どうした?
急に俺にしがみついて涙を流すリンに困惑しつつ、ペタンとしたケモミミがちょっと可愛いなと思ってしまう俺はゴミなのか?
「ど、どうしたリン?何が寂しいんだ?」
「ん、私は獣人…半神でも神でも無いからお兄ちゃんと同じ時間を過ごせない…」
あっ、なるほどね…そういえばリンには説明してなかったって言うか、インカローズ以降で仲間になった面々は誰も知らないか…
リリアやローズはその気持ちわかるわ〜と言いたげな表情で俺のことを見ている。
口パクで早く教えてやれ。と殊更に言ってくるのだがそのつもりだからな?
「ごめんなリン、俺はリンに言ってなかった事がいっぱいあるんだ」
「私に?」
「あぁ、それに双葉、一華、フェイト、シロナにモモにも言ってない。丁度いいから本題に入る前に話しちゃうな」
「うん、聞かせて欲しいな…」
「そうね、仲間なんだから隠し事は無しよ」
「私にも教えて頂けるのですね…」
「何だろうね?シロナ」
「気になるね?モモ」
「実はだな………」
10分後〜
「て言う事は私達も全員不老不死になっている…と?」
「まぁ、ざっくり言うとそうだな。今まで黙ってて…って言うか伝えるの忘れたてごめん」
俺は包み隠さず全員に与えられている加護についての話、そしてみんなの現状を話した。
途中まで何言ってんだこいつ…?と怪訝な眼差しを受けていたのだが、どうやら俺の言ってる事がガチだと分かると真面目に聞いてくれた。
まぁ、そんなことを思っていたのは一華だけだと思うが…お仕置きポイントがどんどん溜まっていくなぁ〜
「ッ!?何!?今猛烈な寒気がッ!?」
「!?ちょっ、お姉ちゃんいきなり抱きついてこないでよ!」
おや?殺気が漏れてたかな?
「とまぁ、そう言うことだからリン…ずっと一緒だ。それこそ言葉通り永遠に…な?」
「ん、嬉しい。お兄ちゃんとずっと一緒。みんなとずっと一緒は凄く嬉しい」
俺が話してる途中から尻尾がゆらゆら揺れていた為、リンの感情の変化はすぐにわかっていたが、最近は自分の気持ちを素直に言葉に出せるようになったなぁ〜
「うふふ、良かったわね?」
「ん!」
照れてしまったのかローズの方へと逃げるように抱きつきに行ったリンと代わり、今度はルビーが抱きついて来て、仕方ないので続きの話はルビーを膝の上に座らせて話す事にした。
「で、本題なんだけど…さっき与えられた権能は時魔法と言ったよな?」
「えぇ、それは私たちも実際に目撃してるので疑う余地もないですが…それがどうしたんですか?」
「いや、実はその権能をいつの間にか無意識で使ってたみたいで…」
「はぁ…?それで…?」
「実は俺の生まれた世界の時を止めてしまってるみたいなんだよね…」
………。
再びの静寂にちょっと慣れた俺は、誰かに突っ込まれる前に先に話し始める。
「それでその理由が夢を見ていたからなんだ」
「ゆ、夢なのです?」
「それはどんな夢なのでしょうか?」
「いい質問だねフェイト、座布団一枚あげようか?」
「結構です」
「アッ、ハイ……こほんっ、それでその夢の内容が1人の女の子が男の集団に追いかけられてるって夢だったんだよ」
「……へぇ、あなた私たちってものがありながらまーだ他の女の子の夢を見るのねぇ?」
「違う違う!!それは、元の世界で仲良かった奴なんだよ!」
ここまで言った瞬間、双葉がバッと顔を上げて驚いた顔をしている。
「も、もしかしてその女の子って…ユウキくんと仲良かったあの子?」
「…あぁ、そうだ。最初は分からなかったんだ…だけど毎日同じ夢を見て、徐々に徐々にその子がピンチになっていく。そして気づいたんだ…これは夢なんかじゃ無い。あいつが俺に助けを求めてるんだって」
「…それで西音寺は私たちの世界の時を止めたと?そう言いたいわけね?」
「うん、目の前で後輩が泣きながら助けてと言っていたのを見たらいてもたってもいられなくて…その時はまだ現実だと思ってなかったから、時魔法を無意識に発動していたみたいなんだよね…」
そしてこの後、詳しい夢の話と現在進行形で止めてしまっている時間を動かす為に、後輩をこの世界へと転移させたいと皆んなに告げるのであった。
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