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駄女神に信託を受けた俺、世界最強の流派で異世界を無双する!  作者: 雪月花
いざダンジョンへ!〜運命の分岐点〜
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第162話 取り扱い




あの後俺たちは囚われていた人たちを解放し、ラプアが研究のために使っていたであろう装置を回収し、ギルドへと戻って来ていた。



「ユウキきゅん!ほんっとうにありがとう!こうして何事もなかったのは貴方のおかげよ!」


「いえいえ、俺はディアン達の熱意に負けて力を貸しただけだから…それに、インカローズで仲間達が世話になってたしな…」


「それでもよ…貴方達がいなければディアン達も無事じゃなかった可能性の方が大きいわ。だから素直に感謝を受け取ってもらえると嬉しいわ」


「ゴラムス……」


「そうですよユウキさん!私たちはお友達なんですから!お友達の感謝の気持ちは受け取っておけばいいじゃないですか!」



友人か…


俺の脳裏にチラつくのは元の世界に置き去りになっている後輩の姿…そうだ、俺はあいつを助けないといけないんだったな…



それにゴラムスやディアン、他の漢女達から感じられるのは心の底からの感謝の念であった。


確かにありがとうという言葉を無下にする必要も無いもんな…


「そうだな、それじゃあ俺たちはやる事があるから行くわ」


「えぇ、頼んだわよ?救出人達の看病は私たちに任せておいて〜」


「よろしくお願いしますね…」


「よし!みんな戻るぞ!」



ありがとうという言葉を背に受けながら俺たちは冒険者ギルドを後にし、今後の予定を話し合いながら自宅へと戻って来ていた。



「フェイト、モモ、シロナ!ただいま〜」


「おかえりなさいご主人様!皆さんもおかえりなさいです!」


「おかえり〜!」


モモとシロナが駆け寄って来て飛びついてくるのを受け止め、俺はリビングルームへと移動する。


「むぅ…お兄ちゃん独り占め良くない」


「そうだよー!パパはルビーのパパなんだからー!」


ルビーはともかくリンがヤキモチを焼くなんて珍しいなぁ…と思ったが最近一人で時魔法の訓練をしていたせいでみんなと全然一緒に居れてなかったなそういえば…


ダンジョンに潜る時以外は訓練用に使った地下室で引きこもってたし…リンぐらいだとまだまだ甘えたい年頃なのだろうか?ひと段落ついたら一人一人親睦を深める為に街にでも出かけるか…



「これは独り占めじゃなくて2人占めね…って双葉どうしたの?」


「…何でもないよ?ユウキくんのばかっ…」


…うん、早急に何とかしようそうしよう…



「そ、相談なんだけど色々と問題が片付いたら1人ずつデートに行かないか?そういえば2人きりで出掛ける事ってなかったと思って…」


「いく!!」×全員


「お、おぉ…ってフェイトいつの間に」


「おかえりなさいませご主人様♪戻ってくると思ってお昼の準備をしておきました。お出迎えできず申し訳ございません…」


「いやいや、お昼の準備してくれてたんだろ?それなのに文句は言わないよ…それじゃ、冷める前に頂いてから動き始めるか」


「ご飯ー♪」


「こらルビー!先に手を洗わないとダメでしょう?皆んなも行くわよ」



ローズにガシッと捕まったルビー達と共に手を洗い食卓を囲む。




そして食事が終わった俺は各国の王族に渡して置いた通信機器を使い、親睦のある国を呼び出した。



「うい〜みんな元気そうだな」


「おぉ!ユウキ殿!我々も丁度昨日アメジスティアまで戻ってきたところでな…要約ゆっくりと休めた所なのだ!」


「私も昨日サフィアまで戻れました…うぅ、私もユウキ様と一緒に行きたかったですの…」


「ルルよ…我儘言うでない。それよりもユウキ殿?我々を呼び出したと言うことは何かあったと言うことだろうか?」


「サフィア公王の言う通り、エメラルで魔神族と遭遇した」


「なんと!?ユウキ殿!怪我は無いか?」


「大丈夫ですよ。心配してくれてありがとうございますサラリアン女王」


「わ、我々の盟主を心配するのは当然だ!な、なぁ?魔導王よ!」


「ここで俺に振るのか…?まぁ、確かにその通りだけどよ…それでユウキ殿、魔神族は殺したのか?」


「いえ、生かして捕虜にしようかと…それで捕らえ魔神族を誰かに預かってもらえないかと思って連絡したんですよ…」



そう、結果的に俺はラプアを殺さずに捕らえてある。時魔法で拘束したまま亜空間へとぽいっと放り入れてるのだが、今の所魔法が破られる事はないから安全だが、これから先魔神の介入がないとも限らない。



そして俺が捕虜にする事にしたのはリリアの思いを聞いたからだ。






リリアの意見を聞かせて欲しい。

そう告げた俺の眼を真剣に見つめ返し、リリアは悩む素振りを見せながらも、元々決めてたのだろう。ハッキリとした口調で俺に思いを告げた。


「うーん、そうですねぇ…私はユウキさんになるべく汚れ仕事をして欲しくないと思ってます」


「…それはどうしてだ?」


「そんなの決まってるじゃないですか。魔人族とはいえ見た目は人間と何ら変わらない彼女達を好きな人が手を掛けてる姿を見たい人は私たちには誰もいません。それに人の死に関わってる時のユウキさんの悲痛な姿は見たくないです。綺麗事かもしれませんが血が流れずに済むのならそれに越した事はないのですから…」


「リリア…」


「それにです。魔神族が何人居て、どのような計画を企てているのか…そう言った情報も私達は何も知らないです。なのでとりあえずこの人は捕虜にすればいいんじゃないですか?先延ばしのような気もしますが…別にユウキさんが自ら手を下す必要はどこにも無いですからね…」



一見優しそうに聞こえるリリアの意見は俺の心を見透かしての言葉なのだろう。


俺の覚悟が甘い事を見抜いてるんだなリリアは…


もちろん俺は殺せと言われれば殺すが、自ら進んで魔神族を殺そうとは思ってない。もちろん仲間が傷つけられ、危ない状態に陥った時は間違いなく、魔物を倒す時と変わらぬ気持ちで斬り伏せる事ができると思う。


だが、このラプアという魔神族の女はこの場に囚われてる人達を殺してはいなかった。魔神族になる為の適性が無くてもとりあえず生かしていたのだ。



それに、アールは魔神族という立場に生まれながらもアメジスティア王国を支えていた。最後まで宿命に抗い強制的に変質させられなければ何事も無く今もアメジスティアを守り続けていたに違いない。


俺は魔神族だからと言って一方的に悪い奴だと決めつけるのは違うと思っているのだ…


アールのようにいい奴も居るはずだ。



……一番最初に出くわした魔神族がアールだったからこそ、俺は気持ちが揺らいでるのかもしれない。


それこそ一番最初に出会ってたのがラプラやデルフィのような根っからの悪であれば、こんな感情は湧かずにこの世界から魔神族を問答無用で消し去ろうとしていただろう。



アールと関わりが深かったリリアだからこそ俺の気持ちを理解し、殺さなくてもいいと言ってくれてるんだろうな…本当敵わないよ…



「リリア、君の思いはわかった。こいつは今の所人類に危害を加えたわけでは無い。まぁ、研究してる実験内容は恐ろしいものだが…」


「えぇ、そうですね…人を魔神族へと変貌させるなんて…想像しただけでも鳥肌が…」


「あぁ、だがまだ人を殺してないしその研究をどのように使うつもりだったのかも聞いてない。それにこいつの攻撃には…」


「…殺意が感じられなかった。ですか?」


「…そうだ。元々殺すつもりは無かったのだろうね…生捕にして本当に実験をしたかったんだろうな」


「ユウキさん…結局この魔神族はどうするのですか?」


「……捕らえるまでに止めておく事にするよ。それにもしかしたらこちら側に着く可能性もあるだろ?」


「…ですが、それではあの時のような事になるのでは?」


リリアが言ってるのはアールの事だろう。

だが、あの時には無かったが今なら何とかできる手段がある。



「あの時は咄嗟のことで止められなかったし手段が無かったが、それなら何とかできる」


「本当ですか!?そしたらこの方にもその話をしてみてはいかがですか?」


「あぁ、そうしようと思う。それとリリア…その、ありがとうな」


「…何がですか?私はユウキさんの恋人ですからね!大好きな人が悩んでる時にそばに寄り添うのが私の役目ですから!」







あの時、俺とリリアはラプアを生かすという選択をした。この決定を俺は後悔する事は無いだろう。


「それは構わないが…その捕らえたものはどういう風に扱えばいいのだ?」


「…では、こうしましょう…」



俺達の話し合いは小一時間程続き、結果インカローズがラプアを…実験機材はダークディモンドが解析するという風に落ち着いた。



その後、話し合いに乱入して来た紅葉や雪姉、空達と談笑し、俺はラプアや機材を転送したのであった。












次の更新は明日の0時頃になります!

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