第160話 漢女の守護
導入回の為短めです…
目覚めは最悪だったが俺は何も無かったかの様に振る舞い、約束通り早朝から冒険者ギルドへとやって来ていた。
「……ユウキさんどうしたのでしょうか…朝から元気がないような…」
「ん、おかしい。ミスティちゃんが行儀悪くしても怒ってなかった」
「確かに…様子が変ね…双葉は何か聞いてないの?」
「ううん…私も何も…昨日の夜も普通に時魔法について話してくれてたし…」
……バレバレだったようだ。
「あら?先に着いたと思ったんだけど…みんなおはよう」
「おはようございますディアンさん!」
「ディアンお姉ちゃんおはよ〜♪」
ギルドの待合室を借りて待機していたら、ディアンが漢女軍団を引き連れてやって来た。うーん、朝からキツイぜ!
そんな俺の心情とは裏腹にいい笑顔で笑いかけ、手を差し出してくるディアンに俺も手を差し出し握手を交わす。
「ユウキきゅん今日はよろしくお願いするわね〜」
「了解だ、そしたら早速だけど行くか…」
「ちょっと待ってくれるかしら?」
うげっ!!漢女の親玉の登場かよ!!
サクッと挨拶を終わらせてダンジョンへ潜ろうとしたら、扉を塞ぐようにして立っているゴラムスへとぶつかりそうになる。危ねぇ…危うく漢女に飛び込むところだったぜ…
君子危うきに近寄らずだ…使い方は違うけどな…
「あら?お姉様来てたの?」
「えぇ、なんて言ったってこのギルドの存亡がかかっているんですもの…見送りぐらいさせてちょうだいな」
「まぁ、それは構わないけど…ゴラムスさんは来ないのか?」
「えぇ、私まで行くのは過剰戦力でしょう?私はドシっと貴方達の帰りを待ってるわ」
「流石お姉様ね!ユウキきゅん!さっさとみんなを助けて戻って来るわよ〜ん♡」
冒険者ギルドの職員や所属する冒険者達総出で俺たちを見送ってくれている。
期待されるのは苦手だが…
「パパ〜頑張ろうねー!」
「そうだな…いっちょやってやりますか!」
それから俺たちはボス部屋目掛け一直線に進む。道中出てくる魔物はディアン達が倒していく。
ディアン曰く、魔神族との戦いの為に力を温存しておいて欲しいとの事…非常に助かるな…俺はともかく、仲間達に疲労が溜まらないのはありがたい…
「すまんなディアン…任せきりで」
「こんな雑魚の相手なんて気にしないでいいわよ〜ん?それよりも魔神族との戦いは任せきりになってこっちの方が申し訳ないわ」
「そうよ!私達には魔神族をぶちのめすって役割があるんだから!特に西音寺は世界の命運がかかってるんだから!」
「お姉ちゃん?プレッシャーかけすぎだよ?」
一華はなんだかんだ言って俺への信頼が厚いよな…
だが、全ての問題が片付いた時は覚悟しとけよ…?
「適材適所って事か…まぁ、魔神族のことは任せておいてくれ…この間のような失態は犯さないさ…絶対にな」
もうシロナやモモのような悲しい思いをする人を増やしてたまるかよ…
そして、この戦いが終わったら俺も俺の大切な人を救う為に動こう…
「さて、みんな着いたみたいだぞ?」
「そのようね…魔神族…あの悲劇はもう起こさせないわよ…」
「えぇ…シロナ達の笑顔を守る為にも頑張るわよ!」
「ん、やってやる」
みんなやる気満々だな…
「ミスティ、モード刀」
「はいなのです!えいえいおー!なのです!」
「「「「「おー!!」」」」」
「「「「おぉっ!!!」」」」
仲間達の鼓舞を合図に扉を開く。
さぁ、魔神族さん?人間の底力ってやつを堪能するんだな!!
…あっ、俺人間辞めてたんだった。
次の更新は明日の0時になります。
日月で新作も書き出します!頑張りますよーっ!




