第149話 運命
遅れました!
「…それで、君は一体何者なんだ?」
ダンジョン内でシートを引いてその上で休憩しつつメイドさんに話を聞き出す。流石に仲間達も怪しさ満点のこのメイドさんをじっと意味深な眼差しで見つめているし。
(((((この子もユウキくんの事を好きになったのかしら…?)))))
仲間達の考えている事はユウキが思っている事とは全く違うのだが、流石に心までは読むことのできないユウキはそれを知らない。
「ご主人様の質問に答えたいのですが…その前に自己紹介をしたいのですが…私には名前がないのでございます…」
「名前が無い?それは君がここにいるのと何か関係があるのかい?」
「そうでございます…まず第一にこのダンジョンは自然発生した物ではございません」
「つまりここは人工的に作られたって事なのね…そんな物好きが居るなんて驚きね」
「…チッ、雌豚がご主人様と私の話に割り込んで来ないで欲しいのですが?」
「「「「「え……?」」」」」
「話を元に戻しますねご主人様…このダンジョンはあるお方によって作られました。その方はこの世界の創造主…」
すっごい毒舌なんだけどこの子…しかも全てをスルーして話し始めたし…直接毒を吐かれた一華が握り拳をプルプルさせながら、「我慢…我慢よ一華…」とぶつぶつ言っている。
「?ご主人様どうされました?」
「い、いや…なんでもないよ?話を続けてくれるか?」
「もちろんです!このダンジョンは神によって作られたのです」
「もしかしてイブか…?」
「流石私のご主人様…聡明でございますね♡このダンジョンは来たるべき時のための訓練所として作られました。この地に難易度の違うダンジョンがあるのはその為なのです」
ほぉ…なるほど、イブのやつその頃はまともに仕事をしてたんだな…今のぐーたらしてる姿を見てると俄には信じ難いが…それよりも…
「それで君がここに居るのとなんの関係が?」
「それは私が神の手によって作られた存在だからです。あの駄女神によって創造された私はこの地に遣わされました。そしてご主人様がこの扉を開くまで眠りについてました」
「えっ、俺が入った時君立ってたよね?その状態で寝てたの?」
「そうですよ?メイドたる者立ちながら寝るのは基本です。ご主人様のお側に使える者として24時間護衛するには立ち寝が理想なのでございます」
「いや、普通に寝てくれる?気になって仕方ないから」
「ご主人様がそうおっしゃるならそう致します…」
因みにリリア達は黙って俺たちの話を聞いていた。きっと邪魔をして毒を吐かれるのが嫌なのだろう…ローズはルビーの口を手で塞いでいる。
「それでご主人様の神聖なオーラを感じ取り起きた所、害虫がウヨウヨしておりましたので、お掃除しようとしたのですが…」
「…もしかして攻撃の向きがこいつらの方を向いていたの…」
「さりげなくお掃除すればバレないかなと思いやりました。お仕置きですか?」
「…この子達は俺の大切な人達だから無闇に傷つける事を禁止するな?仲良くしてあげてくれ…」
「……ご主人様がそうおっしゃるなら…本当は嫌ですが…」
毒舌メイド…本当に実在するんだな…
「因みにこのダンジョンはどれくらい前からあるんだ?」
「1000年前くらいでございますが…眠っていた為、余り詳しい日時までは覚えておりません」
「1000年前って事は丁度魔神族との戦争が終わった辺りか…?なるほど、その頃ならあいつが仕事してても納得だな…」
「あいつ…ですか?あいつがどなたかは存じ上げませんが戦争が終結してから作られたのは間違いありません。次に戦争が起こった場合を想定してこの地が作られましたので」
「そうなのか…因みにこのダンジョンクリアの証とか貰えたりしない?」
「証ですか…?それでしたらあちらの扉からダンジョンボスの所までショートカットできますが…それを倒せば良いかと」
ふむ、そしたら今日はそいつを倒して終わりにするか…
「因みに君のことはなんて呼べばいいのかな?」
「ご主人様のお好きにお呼びください。私としては名前を頂けると嬉しいところでございます」
そっか…1000年もの間名前もなく、この何も無い部屋に1人でいたんだもんな…
「そしたら…そうだな、君の名前は今日からフェイトとかどうかな?俺達の世界の言葉で言う運命って意味だよ。こんな所で素敵なメイドさんに出会えたんだ。これは運命だろ?」
俺の事をジト目で見てくる女性陣はスルーしてフェイトの反応を伺う。
「フェイト…素敵な名前を付けて頂きありがとうございます。誠心誠意ご主人様へとお仕えいたします」
よかった…気に入ってくれたみたいだな…
無表情だったフェイトの口角が少しだが上がってる気がする。
「よろしくな?改めて俺は西音寺ユウキだ…自己紹介が遅くなって申し訳ない」
「いえ、先にご主人様の指示に従うのがメイドの務めですので…それでそちらの雌ぶ…方々はどちら様でしょうか?」
今雌豚って言おうとしなかった??何食わぬ顔でこちらを見てるけども…
「…初めまして、私はアメジスティ王国王女のリリアと言います…ユウキさんのこ・い・び・と!です!!」
「私はペリドットという妖精の国の女王のローズよ、こっちは娘のルビーでリリアちゃんと同じでユウキくんの恋人…よろしくね?」
「ルビーだよー♪メイドのお姉ちゃんよろしくねー♪」
「あらあら、ご主人様のご息女ということでしょうか?キチンとご挨拶できて偉いですね。流石ご主人様のご息女…リリア様とローズ様もよろしくお願いします」
おや?思ったよりも普通に挨拶してるな…
「ん、私はリン…ユウキお兄ちゃんは大好きな人。よろしく」
「リン様ですね?お兄様という事は妹様という事でしょうか?よくわかりませんが理解はしました。よろしくお願いします」
一体何を理解したのだろう…まぁ、次行ってみようか…
「私はユウキくんと同じ世界から来た…双葉です…その、ユウキくんの恋人です…な、仲良くしてください」
「双葉様、こちらこそよろしくお願いします。ユウキ様の事を色々と教えてくださるとありがたいです」
「最後は私ね…私の名前は一華よ!こいつとは…クラスメイトっていうか…その、なんというか…まぁ、そんな感じよ!よろしく!」
「ふむふむ、ご主人様?この方は恋人では無いのでしょうか?」
「え、あ、あぁ…そうだな。双葉の姉なんだが妹が心配で俺たちの旅に同行してる感じだ」
「なるほど、では一華と呼び捨てで良さそうですね?よろしくしてやりますから、ご主人様に近づくのは控えてもらえます?」
「なんで私の時だけそんな感じなのよ!?べ、別に言われなくてもこいつに近寄らないから!」
「私の中で優先順位を設けてますので…そして貴女の性格も把握しました。素直になれない残念な方なのですね。ふっ…可哀想」
「なぁっ!?あ、あんたね!!私の何をわかるのよ!?」
おいおい、さっきから思ってたけど一華の時だけ凄い毒吐くよなフェイト…
「貴女が本当はご主人様のことが…「や、やめなさい!!それ以上言わないで!!」あらあら?どうされました?」
「くぅ…こいつぅ…」
なんだ?実はこの2人仲良いんじゃ無いかと思えてきたぞ…
「とりあえず一華の事も何かあったら守ってやってくれな?とにかくさっさとボス倒して帰るぞ!」
新たなメンバーのフェイトが加わり、俺たちはボス部屋へと向かう。
何はともあれ戦闘メイドさんゲットだぜ!
次の更新は明日の正午になります。
感想にありましたがキャラが増えすぎてごちゃごちゃにならないでね…ってその通りなんですよねぇ…
ちなみにしばらくヒロインは増えないので安心してください!ヒロインが増えて欲しい方は申し訳ないですが…




