第143話 物件探し
なんとか2話更新…
「ふぃ〜疲れたなぁ…」
俺達は無事に普通のホテルに部屋を取る事ができたが、前同様…全員同じ部屋にされてしまった…
「ちょ、ちょっと!?な、何よコレ!!ベッド一つしかないじゃないッ!!」
「だなぁ…俺はソファーで寝るから大丈夫だぞ?」
きっと俺と一緒に寝たくないのだろうから家が見つかるまでの間はソファーで我慢するとするかぁ〜
「…それならいいけどっ!ふんっ!」
「はぁ…お姉ちゃんったら…」
同じベッドで寝ないって言ってるのに不機嫌になった一華の様子に双葉が溜息を吐く。
なんかここ最近こいつやけに感情の起伏が激しいなぁ…日本に居た時からこんなだったっけ…?
まぁ、影でこそこそ話してる薔薇園姉妹は放置しておいて早速ベッドの上で飛び跳ねているルビーを捕まえて肩車する。
「ちょっと不動産屋行ってくるけど…他に行きたい人いるかー?」
「私はちょっと疲れたので休みます…その、色々と…」
「私もお昼寝したいので行かないのです!」
リリアとミスティは昼寝と…
「んじゃ、ローズとリンはどうする?」
「んー、そうねぇ…一緒に観に行きたいのは山々なのだけど…不埒者が来ないかどうか見張っておくことにするわ…この二人は熟睡したら魔神族が来ても寝てそうだもの…」
「あー、確かに…ローズが見ていてくれるとありがたいか…リンはどうする?疲れたなら休んでていいぞ?」
「ん、私は大丈夫。お兄ちゃんと一緒に行くよ?」
「そうか?ならルビーとリンと…双葉と一華はどうする?」
「私は行きたいな。お姉ちゃんはどうする?」
「双葉が行くなら私も行くわ!それに拠点は自分の目で見て決めたいもの!」
「了解っと、じゃあ少しの間留守にするけど…ってあの二人もう寝てるぞ……ローズ、すまないけど頼んだ」
「えぇ、承ったわ…報告楽しみにしてるわね」
「ほい、んじゃ行ってきまーす」
「いてきまー♪」
「ん、行ってきます」
「ローズさんお土産買ってきますね」
「行ってくるわ!」
「行ってらっしゃい。ふぅ…私も少し休もうかしら…?」
ホテルを出た俺達は途中で買い食いした肉串の店のおっちゃんに教えてもらった不動産屋に向かっていた。因みに肉串は意外と美味かった。また買おう
「みんなはどんな家がいいとかある?」
「んー、ルビーはわかんない!みんなと一緒ならどこでもいいよー♪」
「ふふっ…ルビーちゃんは本当に良い子よね…私は個室が欲しいわ!あっ、双葉と一緒でも良いわよ?後は…それなりに広い庭があった方がいいわね!」
「個室に広い庭か…双葉はどうだ?」
「私は……広いお風呂がいいかな?それにそれに!貴族のお家も憧れるなぁ〜」
「なるほど…リンは何か希望があるか?」
「ん、私もルビーちゃんと一緒。みんなと過ごせるならどんな家でもいいよ?」
「くーっ!リンちゃんも本当に可愛いわねっ!」
ふむふむ、ルビーとリンはみんなで過ごせる場所…イコール広いリビングとかか?
そうなると自ずと限られてくるな…
全員の個室に広い庭に広い風呂、そして貴族の家みたいな外観に広いリビング……そんな物件あるのか…?
まぁ、無ければ纏まった土地を買い占めて俺が建てるから良いけどな…寧ろそれもありなのでは?
「好き勝手に言っちゃったけど…こんな物件あるのかな…?もし無かったら私の意見は無視しちゃっていいからね?」
「ん?そんな遠慮するな双葉!なければ作るから大丈夫だ!」
「作るんだ…まぁ、ユウキくんのスキルなら作れそうだもんね…」
「家を作るスキルって何よ…まぁ、アメジスティア城をポンッと出した時は本当に度肝を抜かれたわよ…?」
「あはは…でも、おかげで野宿しなくて済んだんだよ?あの時はラピスさん凄い!だったけど、まさかその正体がユウキくんだったなんて…」
「あの時点では身バレしたくなかったからな…結局バレたけど箝口令を命じてあるし大丈夫だよな…?」
俺はインカローズを出る前に各国のトップにお願いしたのだ…俺の事を無闇矢鱈に口外しないで欲しいと…そして、もし話したら…わかるよな?(ニッコリ)
側から見たら脅してるように思われたかもしれないが、まぁ実際脅してるので別に良いけど
ただ、その後に雪姉にしこたま怒られた。
「おっ、あそこだな!っと…ルビー?一旦降ろすな」
「はーい♪」
理想の家について話しながら歩いていると目当ての不動産屋が見えた。
流石にルビーを肩車したまま入るのは印象が悪いと思ったので先に降ろし、足を踏み入れる。
「ごめんくださーい…家について相談が…」
「はいはーい!少々お待ち下さ〜い!今行くでござるよ〜!」
「「「ござる…?」」」
俺を含む日本人組は揃って首を傾げる。
何故語尾がござるなんだ…?と
「お待たせしたでござる!本日はどのようなご要望でござるか?」
声でわかっていたが奥から出てきたのは人の良さそうな男性…ちょっとぽっちゃりしてるところがまた柔和そんな印象を与えていた。
「仲間達と暮らす拠点が欲しいんだけど…値段はいくらでも払うからこれから言う要望に沿った物件が有れば教えてほしい」
「承知したでござる!某の名はハンゾンと申す!よろしくでござる」
「あ、あぁ…よろしく…俺はユウキだ仲間達の自己紹介は割愛させてもらうけどいいか?」
「えぇ、えぇ!勿論大丈夫でござるよ!ささっ…ご要望をお聞かせくだされ!」
「それじゃ遠慮なく…まず初めに……」
俺はさっき話をしていた内容をそのまま伝える。この時点でハンゾンさんの表情は特に変化が無いため、それなりに扱いがあるのかもしれない。
「ふむふむ、なるほど……今のところその条件に当て嵌まる物件は2箇所…一箇所は今すぐにでも確認できるでござるが…見るでござるか?」
「んー、せっかくだから見に行ってみるか!因みにこっからどんくらい離れてる?」
「ここから場所で15分ほどの貴族街でござる!丁度廃嫡された貴族が売りに出した物件でござる!」
「へぇ〜なかなか良さそうじゃないかしら?早く見に行きましょ!」
「了解でござる!では、裏に引っ込んでる者に声をかけてくるでござる!」
口調は忍者っぽいキビキビしだのだが、動きはとても俊敏とは言えない…この人の歩くペースで行ったら1時間近く掛かりそうだな…
そんな失礼な事を考えていると奥からハンゾンさんが戻って来たようだ
「お待たせしたでござる!某が先導するでござるからユウキ殿達は後ろから付いてきて欲しいでござる」
「了解でござる…あっ、了解です」
ついついござるが移ってしまった…失敗でござる
「では、行くでござるよ〜スキルグランドウォークを使うでござる!」
「うぉっ!急に動きが機敏に!?」
「な、何あれ!?見た目との違和感がヤバいんだけど!!」
「ちょ、ちょっとあれは…」
「おー!おじちゃん早いのー♪」
「ん、ちょっと面白い」
俺達が呆然と立ちすくんでいるとハンゾンさんがこちらん振り返り手を振っている。
「何してるでござるかー!こっちでござるよー!」
「と、とにかく追いかけるぞ!」
「「う、うん…」」
「れっつごー♪」
「おーー」
引き攣った笑みを浮かべる薔薇園姉妹と楽しそうなルビーとリンと共にハンゾンさんの進む方へと向かう。
動きはともかく人は良さそうだしよかったな…後は物件さえ決まれば……
斯くして俺達は一つ目の拠点候補地へと向かうのであった。
次の更新は明日のおやつの時間までに更新します!
いやー、同行者が増えると話の割り振りが難しいですね…




