第14話 ミスティと謎の人物
リアルが落ち着いて来たので、そろそろ本格的に投稿して行こうと思います!
話は現在に戻る。
先程の怪しいローブさんはなんだったのです?
と可愛らしく小首を傾げているミスティだったが、まぁそんなことよりも今はマスターの寝顔を堪能するべきだ!!とユウキの顔を覗き込むべくベッドに腰掛ける。
「うへぇ〜、マスターの寝顔を今のうちに脳内フィルターに保存しないとです〜むふふ…」
まさか自分の相棒であるミスティが、ユウキが寝てるのを良いことに、これでもかと寝顔を堪能してるとは露知らず、すぅすぅと規則正しい寝息を立てているユウキだった。
ある程度満足したミスティは先程の戦闘を思い起こす。
(それにしてもマスターの力は異常なのです…)
ゴブリンキングは通常では、ギルドで示されてる討伐難易度はS、しかもそれがスタンピードの渦中となると、SSS程度の難易度になるはずなのだが、戦闘自体はあっさりと終わってしまった。
(マスターは元の世界である程度武術は極めてきた!と自信満々だったので、それほど心配はしていなかったけど、流石にあそこまでとは思ってなかったのです…)
雨が降り続いていた為、暇だった2人はユウキの元の世界で得たマンガの必殺技の知識を元に、再現できそうな奴を片っ端からオリジナル要素を足して脳内戦闘を繰り返していたのだが、実戦となると流石に想像通りにはいかないだろう。
などと考えていたミスティは自分の想像力があまりにも低かったことに苦笑いを浮かべる。
(はぁ〜、マスターは元の世界でどんな修行をしてたのです?起きたら聞いてみるのです!)
謎の決意を胸にそろそろ起こそうかしらん?と考えていた時にふと、扉の前に誰か立っている気配を感じた。
(なっ!?私に気取られることなく扉の前に立つなんて何者なのです!?)
伝説の武器であるミスティは、基本スペックがかなり高い。言うなれば、王国の騎士団長が100人いても勝てないぐらいには使い手が居なくとも戦えるのである。
そんなミスティに気取られずに扉の前に立った時点で敵はミスティレベルの能力を有している可能性が高い。
その事実を咄嗟に判断し、つぅ…と嫌な汗が一筋、額から顎に伝う。そしてそれがポタリと床に垂れた時…ドアが勢いよく開けられた。いや、勢いよくと言うより乱暴にぶち開けられたと言った方が良いぐらいの勢いだった。
扉が開かれたと同時に2人の声が重なった。
「ユウキさん!!!!来てしまっ『曲者め!!ここで始末するのです!!!』っってなんですか!!!???」
一瞬で右手を短剣に変え、敵目掛けて接敵するミスティだったが相手の首を刈る寸前で止まる。いや、止まることができた。
「ッッシって、あれ?リリアです?」
「は、はわわわ!?ミスティちゃんいきなり何するんですか!!??」
リリアは涙目になりながらその場にへたり込んでしまった。それもそうだろう…
もう少しミスティが相手の正体に気づくのが遅れていたら、今頃のリリアは首と胴体がおさらばしていたのだ。
「ご、ごめんなさいなのですっ!まさかリリアがこんな所に来るとは思わなくて!賊だと思って…本当にごめんなさい…」
「ま、まぁ私もドアをいきなり開けたのは悪かったですものね…ものすっごく怖かったですけど、今回は許してあげます!」
「ありがとっ『ただし!!』…なのです?」
「私だったからよかったですけど、もしミスティちゃんの知らない人でもいきなり斬りかかるのはやめてください!その人が悪い人の可能性もあるけど、何も悪さをしてない善良な方だったら、ユウキさんの評判を落とすことにもなるのですよ?ミスティちゃんはそれでいいの?」
はっ!!とミスティはリリアの顔を見上げる。その顔にはデカデカとそこまで考えてなかった!!と書いてあった。
はぁ〜と一つ大きなため息を吐き、改めてミスティと見つめ合い言葉を紡ぐ。
「自分がどれだけユウキさんに迷惑かけることになったかもしれないかわかりましたか?」
「はい…なのです…次から気をつけるのです…うぅ…」
しゅん…と反省してる素振りを見せるミスティに顔を綻ばせながらリリアは、俯いてしまったミスティの空色の髪を丁寧に撫で、顔を上げさせる。
「では、この話はおしまいです!ユウキさんはどちらに?」
リリアの思った以上に心地よい撫で撫でに惚けていたミスティだったが、リリアの一言で我に返った。
「んみゅ〜、っは!!リリアはマスターに会いに来たのです?マスターはお昼寝中なのです!」
ようやくリリアがユウキを訪ねて来たのだとわかったミスティは自分の主人が寝ていることを告げる。
「そうなのですね…起きられるまで待っていてもよろしいでしょうか?」
「いや、その必要は無いよ」
「あっ、マスター起きたのです?」
「そりゃ、あそこまで騒いでたら誰だって起きるって」
声のした方を振り返りながら問いかけるミスティに対して、苦笑いを浮かべつつ、自分が起きた理由を簡潔に伝えるユウキなのであった。
次回から主人公視点に戻ります。




