第127話 リンの成長
夕方とは?すみませんメッサ遅れました…
来週は元に戻ります!
〜〜sideリン〜〜
「ん、嫌な予感がする?」
リリアお姉ちゃんが配属された位置からすごく嫌な気配を感じる。
確実に予期せぬ出来事が起きてる。
そう言った感覚だった。
でも、私がここを離れるわけには行かない。
「あら〜?リンちゃん不安そうな顔ね〜?お仲間が心配だったら、私に任せて貰って大丈夫よん?」
「ん、ありがとうディアンお姉さん…?でも、大丈夫だよ。リリアお姉ちゃんは強いから」
「お姉さんなんて嬉しいこと言ってくれちゃって〜♪でも、そうね…リリアちゃん?はとても美しかったわ〜」
「美しい…?」
確かにリリアお姉ちゃんは凄く綺麗で可愛いけど…なんで今それを言うんだろう?
リンの元にはキングコ……漢女であるディアンが付いた。
リンの場合、修行を始めたのが最近の為まだまだリリア達に実力で並ぶのは難しい。
そこで、決勝トーナメント3回戦でユウキと良い勝負を繰り広げたディアンがリンの元へと派遣されたのだ。
因みに同じような理由でギルド統括はルビーの元へと派遣されている。
「さーてリンちゃん?大物がやって来たわよ〜
ん」
「ん、大物…あのウルフとは私が戦っていい?」
「あら?いいわよん?そしたら私は周りの取り巻きを殺ってくるわね〜ん♡」
さっきまでくねくねしながら話していたディアンは、敵に向かって行った瞬間から豹変し、「オラオラッ!!私の獲物は貴様らかぁぁっ!!」と次々にフォレストウルフの群れを薙ぎ払っていた。
「ん、ありがとう。久しぶりだね?」
「グルルゥゥゥ……」
このウルフは神獣の森でフォレストウルフ達を束ねていた群れのリーダーであった。
そして、幾度となくリンとも戦っていて…良き訓練相手とでも言おうか…
その狼をリンは灰狼と呼んでいた。
「貴方がそうなってしまって残念。でも、安心して?私が貴方を楽にしてあげるから」
オォーンッ!!
意思はない。
だが、想いは伝わっている筈だ。
リンの言葉に反応するかの如く遠吠えをし、臨戦態勢を整える灰狼。
「近接戦…久しぶりの実戦…相手が貴方でよかった」
ユウキお兄ちゃんによって魔法、そして武器の扱い方を教わった私は強くなったと思う。
西音寺流…お兄ちゃんに教わった技は私なんかが使ってもいいのかな?と思うくらい凄かった。
リリアお姉ちゃんもあの修行を耐えてあれ程の強さを手に入れたのなら、私も頑張る。
そう意気込んで望んだ特訓は本当に死ぬかと思った。
まず、私の場合は基礎が破茶滅茶だったからそれを直すのに3日もかかった。
魔法の特訓も並行してやってたから二倍大変だったけど、凄く優しく教えてくれたから伸び伸びできた。
リリアお姉ちゃんが私の時と扱いが違うんですけど!?と怒っていたけど…そんなに違ったのかな?
まぁ、いいや…
そう思い、それよりも目の前の敵に集中しなければ…と宿敵へと眼を向ける。
構えろと言わんばかりに此方へ威嚇している灰狼の姿に身を引き締め、ユウキから授けられた武器を手に取る。
白狼剣ウルティアーナ
これがこの白銀に輝くユウキから贈られた一振りの剣の名である。
「ん、頑張ろうね…ウルティアーナ」
私はこの剣を凄く気に入ってる。
お兄ちゃんからのプレゼントだし、これから命を預ける相棒でもあるのだ。
そして、この剣の名前の由来…
私のお父さんをイメージして作ったとお兄ちゃんは言っていた。
フェンリルの剣…お兄ちゃんってロマンチストなのかな?でも、凄く嬉しい。
低く唸り、此方に向かい全速力で駆けてくる灰狼に剣の先を向ける。
「…西音寺流剣術 初伝 雪花」
私に向かい飛び上がった灰狼に、お兄ちゃんから教えられ、筋が良いと褒めて貰った瞬動を使って斬りかかる。
「ん、野生の感?」
捉えたと思った一振りは空気のみを斬り裂き、空振りに終わった。
咄嗟に斬られると判断したのか、灰狼が空中で身を捻り私の横をすり抜けていった。
「むむ、貴方も強くなってるの?」
ユウキに師事し、西音寺流の動きを徹底的に身体に叩き込んだから強くなったと思ってたけど…
灰狼…貴方も力を得たんだ…
「でも、私はその上を行くよ?」
もう一度深く息を吸い込み、灰狼に技を仕掛ける。
「…西音寺流剣術 奥伝 雪月花」
さようなら…私が今使える最高の技で貴方を見送るね。
お兄ちゃんに褒められた私の技…
西音寺流は己の心が映し出される。
お兄ちゃんは私を綺麗な心を持った優しい女の子だって撫でてくれた。
でも違う。
私が優しく居れるのは、それ以上に優しいみんながいるからだと言う事を知っている。
「貴方も…天国でまた家族と幸せに暮らしてね…」
さよなら…
私に斬られ絶命した灰狼に手を合わせる。
後でお兄ちゃんに浄化して貰って、埋葬してあげよう。
こうして、リンの人知れず終わった戦い。
仲間達には知られず、一つステップアップしたリンは、リリアの助けに行こうとディアンに意識を向けると、丁度全ての魔物を屠った所だった。
「あら〜?リンちゃんの方も終わったのね〜?」
「ん、終わった。リリアお姉ちゃんのところ行っていい?」
くすっ…と可愛く漢女が笑い、リンの背中を押す。
「行ってきなさい!貴女の大切な人達を守る為に!」
「ん!ありがとうディアンお姉さん!」
「こっちの事は任せなさいっ!私がいる限りここは守り抜くわーん♡」
ディアンお姉さんに手を振り、私はリリアお姉ちゃんの元へと駆ける。
無事で居てね。リリアお姉ちゃん…
〜〜sideリリア〜〜
「くぅっ…ま、じんぞ、くって…こんなに強いんです、か…?」
「あっはっは!お前こんなもんなのか!?ほら、早く立ち上がって来いよ女ッ!!」
左腕は折れ、きっと内臓も破裂してると思う。
口からは止めどなく血が溢れ出してくる。
「ごめ、んなさい…ユウキさん…わた、しはここで…」
「なんだつまんねぇな…もういいや、ここで死ね」
ギルファの大剣が無慈悲に振り下ろされる。
ユウキさん…最後に貴方に名前を呼んで欲しかったです…
この世界を…お願いしますね…
グシャッ……
この日、一人の少女が魔神族との戦いによって命の灯火を散らす。
かに思われた…
「「「「やらせるわけないだろッ!!!」」」」
なんとか間に合った。
ローズ、ルビー、リン、双葉…
4人の魔法がギルファを吹き飛ばし、側に駆け寄る。
「リリアちゃんッ!これは不味いわ!私が回復に専念してる間お願いできるかしら!?」
「リリアお姉ちゃん…うぅ、絶対許さないよ!ルビーに任せてママッ!!」
「ん、リリアお姉ちゃんの事はお願い。必ずあいつを殺す。許さない…」
「リリアさん…貴方のおかげで私はまた一つ強くなれたの…だから、死なないでッ!!」
「くぅーっ!!いい一撃だったじゃねーかッ!!今度はお前らが相手かー?いいぜ!?何人でもかかって来やがれッ!!」
瓦礫を押し退け、起き上がって来たギルファは無傷であった。
「「「覚悟しろッ!!私たちの仲間を傷つけたお前は…必ず殺すッ!」」」
「いいじゃねぇかッ!!やってみろよ!」
リリアが倒れ、仲間たちが駆けつけた。
此処を凌げなければ、この国はアメジスティアと同じ末路を辿る事だろう。
必ず守り抜く。
リリアの信念を引き継ぎ、この地に生きる人々の未来を守るべく…新たな英雄達が死闘へと挑む。
次の更新は明日中には更新します…
明日まで忙しいのでご勘弁を…




