第106話 薔薇園襲来
昨日投稿した内容に修正がありますので、1話前の後書きを読んで頂けると幸いです!
窓から外の景色を眺めていると、闘技場の方から人が流れてきている。
「おっ、どうやら1回戦は全て終わったみたいだぞ」
「結構あっさり終わりましたね?まだ夕方ですが…」
「そうですの?大体いつもこのくらいの時間だったと思うの」
そう、お察しの通りルル様はまだいるのだ…
そろそろ夕飯の買い物に行きたいのだが…
「ルル様…すみません、ちょっと買い物行ってきていいですか?そろそろ夕飯の支度をしないと…」
「そうですの…では私はここら辺で失礼するのですの」
「え?ルルは食べて行かないのです?」
ちょっとミスティさん?
「そうよ?遠慮しないで食べて行きなさい?ねぇ…あなた?」
「あ、あぁ…そうだな…」
ローズはニヤニヤしながら俺に振ってきた…確実に俺の考えを把握して嫌がらせしてるな…やられた…
「そうですの?ユウキ様がいいとおっしゃられるなら是非ご相伴に預からせてもらうの!」
こうなったら仕方ない…俺も覚悟を決めよう…
「えぇどうぞ…ナナさん、悪いんですけどサフィア国王にルル様の事を伝えて来て貰えないでしょうか?」
「承知しましたユウキ様、では姫様行って参ります」
「えぇ、お願いですのナナ」
ナナさんを見送り、俺も買い出しへと向かう。
同行者はルビーとリンだ。
最近は大体ルビーとリンだけだな…そろそろ奴らにもお仕置きが必要やも知れぬ…
「しまった…ルル様の好きな食べ物を聞いてくるべきだった…」
「ん、忘れてた」
「ルビーはパパのご飯ならなんでも好きだよー?」
「こいつっ!可愛い事言いやがって〜」
「きゃははっ!パパくすぐったいよー!」
我が娘ながら可愛い過ぎる…甘やかすのは仕方ないよな?
「よし、じゃあルビーとリンの好きな物と適当に何か作るか!」
「ん、ハンバーグ美味しかった」
「えっと…ルビーはねーオムライスー!」
まさかのご飯物の注文…
「ハンバーグにオムライス…なんかお子様ランチみたいな選択だな…って事はそれをベースに考えるか…」
俺達が顔馴染みになってきた八百屋や肉屋の店員さんと話をしていると、突然の乱入者が現れた。
「あれ…?西音寺くん…?」
「ん?おっ!双葉じゃん!お疲れ!」
普通に挨拶したがなんでわかったんだ?
「お、お疲れ様…西音寺くん…それで…その子達は誰なのかな?」
「ん?仲間だけど…それよりも双葉はどうして俺だってわかったんだ?」
「匂いで」
「匂いで!?俺ってそんな臭いのか!?」
そんな変な匂いするのか俺!?
軽くショックを受けているとリンとルビーがくんくん匂いを嗅いできた。
「すんすん…お兄ちゃんいい匂いだよ?」
「すんすん…落ち着く匂いー♪」
「ご、ごめんなさい!全然臭く無い、よ?そのぉ…この世界で西音寺くんが使ってる香水の匂いを嗅いだ事なかったから…」
あっ、なるほどね…確かに元の世界に居た時からワンプッシュだけ香水の香りを纏って学校に行ってたけど、その匂いを覚えてたのか…
「そ、そんな事よりも…西音寺くんはここで何を?」
「ん?俺たちは夕飯の買い物だぞ?あれ、そういえば双葉はここに1人で?」
「ううん…私はおね…「おーい!双葉〜!」えちゃんと一緒に…」
「そうみたいだな…嫌な予感が…」
「双葉〜って何よあんた!私の可愛い妹をナンパするなんて良い度胸ね?」
いきなりナンパと決めつけるのはいかがなものかと思いますよ…?
「はぁ…すみません…それじゃ俺たちはコレで〜」
この流れを利用して逃げ出そう。
そう思ったのだがくいっと袖を引かれる。
「夕飯…食べに行ってもいい、かな?」
「ちょっと!?双葉何言ってるのよ!こんなロリコン野郎について行くなんて許さないわよ!?」
ロリコン野郎は酷くないか!?俺とルビーの関係を知ってる肉屋のおっちゃんが遠くから、よっ!ロリコンッ!と煽ってくる。おい、もう買ってやらんぞ!?
「ん、失敬…私は14歳…もう成人してる」
この世界では14歳で成人として見做されるが…俺のロリコン疑惑じゃなくて、自分のロリ疑惑を訂正させるんですね…
「あら、そうなの?それはごめんなさい」
意外にもすんなり謝るのな?もう帰って良いですか?精神攻撃キツいんだが?
「疑惑も晴れたみたいだし、今度こそ帰りまーす」
がしっ…今度はガッツリ腕を掴まれた。何すんですか双葉さん!?
「夕飯…」
意地でも夕飯を食べに来たいらしい…まぁ、1人増えたところで大した差は無いだろうからいいけど…この流れだと煩わしいオマケまで付いてくるんじゃ…
「双葉…本気なのね?いいわ!その代わり私も付いて行くから!私が双葉に相応しいか判断してあげるわ!」
ほらーーっ!!やっぱりオマケが付いてきたじゃないか!!勘弁してくれ…
テレポートで逃げるか?とも思ったが双葉の真剣な眼差しを見て辞めた。何か悪いことしてる気持ちになるし…
こうして薔薇園姉妹を連れて宿まで戻る…どうか平和に終わってくれ…頼む!!
「へぇ…素敵なホテルじゃない…お金は持ってそうね…」
「もう!お姉ちゃんったら…恥ずかしいからキョロキョロしないで!」
どうやら薔薇園姉の審査は始まってるらしい。俺も恥ずかしいからやめて欲しいわ…
「はぁ…この部屋だ…たでまー」
「ただいまー♪」「ん、ただいま」
「「「「おかえりなさーい?」」」」
「ユウキ様、食材をお預かりしますよ」
「あっ、ありがとうナナさん…もうお戻りになったんですね?」
「はい、報告して速やかに戻って参りましたので…」
「マスター?後ろの2人は誰なのです?」
「あー、この2人は俺のクラスメイトだよ」
「クラスメイト?あなたと私たちが??」
あー、やっぱ姉の方は気付いてないよな…よかった、神咲と双葉が変なだけで俺の魔法は完璧なようだ
「あー、細かい事は気にするな…それよりも適当に寛いでてくれ、夕飯作るから」
「て、手伝うよ?」
「ん?お客さんに手伝わせられないさ…気にせず向こうでお茶でも飲んでてくれ」
〜〜side双葉〜〜
ユウキくんに案内されて入ったお部屋には沢山の女の子が居た…しかもとびきり可愛い子達ばかり…
どういう事?誰なのこの人たちは?と質問したかったがご飯の準備を邪魔するわけにも行かないので大人しく、指定された机に向かい謎の女の子たちとお茶をする事になったけど…
「あら?あなたリリア王女ですよね?」
「お久しぶりです…薔薇園一華さん、それに双葉さんも…」
「お、お久しぶりです…それでどうしてリリア様が此方に…?それにそちらの方はサフィア公国の…」
「私の事をご存知ですの?初めまして、私はルルティアーナと言いますの」
「やっぱルルティアーナ王女…なんなのこの集まりは…双葉?あいつは何者なの?お姉ちゃんに教えなさい?」
「えぇっと…」
私が言葉に詰まって居ると幼い可愛らしい女の子が衝撃の言葉を発する。
「お姉ちゃんはパパの事知りたいのー?」
「パパ…?」
「そうだよー?パパはねールビーのパパなんだよー?いいでしょー♪」
ガタンッ…あまりの衝撃に私は思わず椅子から立ち上がってしまった。
パパ?ユウキくんが…パパ…?
「えっと…すみません…その、驚いてしまって…」
「うふふ、気にしないでいいわよ?その反応は慣れてるから…」
「モミジとユキはもっと煩かったのです…」
「紅葉?雪…?もしかして神咲紅葉と雪先生…?」
「えぇ、その2人で間違いないですよ?てっきり今日もお二人が突撃してくると思ってたのですが…」
「リリア様?モミジ様とユキ様と言うのはどなたですの?」
私のクラスメイトと先生…多分ルルティアーナ王女の質問は別の意味なんだろう。
「2人はユウキさんの恋人ですね…まぁ、私もですけどね」
「あら、私もよ?」
「…え?嘘、ですよね…?」
私は衝撃のあまり嘘だと思った。
ううん…思いたかった。
「紅葉と雪先生が…あの男の恋人…?ってその2人って事はまさかアイツは!?西音寺なの!?」
「おっ!ようやく気付いたのか?これ、お茶のお代わり置いとくな〜」
「ちょっと待ちなさい!あなた今まで何をしていたの!?それにリリア王女と一緒にいるなんて…ま、まさか!?」
私も気付いてしまった。
異世界に来た初日に出て行き、全く音沙汰の無かったユウキくんの正体を…
「あっ、バレた?流石にバレるよな…てゆうかなんでリリア普通に挨拶してんねん…」
「あっ、そういえば…」
「あなたが英雄ラピス…なの?」
「その通りだ!驚いたか?」
私はユウキくんの強さを知っていたから、そんなに驚かない。驚くとしたら居なくなってハーレムを作ってたことだけだ…うぅ、完全に出遅れてるよぉ…
「当たり前でしょう!?あなたはクラスでは陰キャオタクだったでしょう!それに顔も全然違うじゃない!」
「あー、今素顔を見られたくなくて幻惑魔法をかけて姿を偽ってるんだよね…」
「今すぐ解きなさい…」
「いや、それは気が進まないから俺の姿が見えるようにコレやるよ」
そう言ってユウキくんは私達にアクセサリーをくれた。お姉ちゃんには赤い薔薇のピアス、私には色違いの青薔薇のイヤリングを
「可愛い…じゃなくて!何よコレ…」
「それをつけておけば俺の姿を認識することができるようになるぞ?あっ、気に入らなかったら帰りに置いて行ってくれ」
私は純粋にユウキくんからのプレゼントが嬉しかったので、すぐに付けてみる。
すると、違和感があったユウキくんの姿がハッキリとわかる…ってえぇ!?いつも前髪で隠れてたけどこんな顔だったの!?
「あ、あんた…誰よ!?」
「なんでやねん…」
次の更新は明日の正午になります!
あっ、誤字報告してくれた方ありがとうございました!
神咲と紅葉→神咲と双葉に修正しました。
報告感謝です!




