第104話 お茶会
今日は後1話更新します!
次は紅葉視点でソラの戦いを観戦します!
〜〜sideユウキ〜〜
「「「「「「……」」」」」」
双葉の試合を観戦しようとしていたのだが…あれ?もう終わってる…
開始のゴングが鳴って慌てて窓際に張り付いたのだが…見た時には既にサフィア公国代表は倒れていた…なんで??
「こ、これは…きっと運が良かった方なのでしょうか?」
「リリア、この世には、思っていても口にしてはいけないことがあるんだ」
「す、すみません…」
とりあえず今日見る試合は終わったな…
ソラの試合は対峙するまで楽しみにしておきたいし…でも、リリアは順調に行けば準決勝で当たるはずだけど…見なくていいのか?
「リリア、そういえばソラの試合は見なくていいのか?俺はともかくリリアは準決勝で当たるだろ?」
「あー、見なくていいですよ?私も手の内知ってからだと練習にならないので…」
「そりゃ殊勝な事だな…だけど無理だけはするなよ?」
「はい!大丈夫です!それよりこの後どうしましょうか?」
「そうね…思ったよりも早く終わってしまったし午後から丸々空いてしまったわね」
コンコンッ…
この後の予定をどうするか話していると、突然ドアをノックする音が聞こえる。
「ま、まさか奴等が…!?」
「いや、マスターその反応はモミジ達が可哀想なのですよ?」
「いや、誰も紅葉達とは言ってないんだけど??ミスティはモミジ達だと思ったのかな??」
「は、嵌められたのです!?」
「まぁ、正解なんだけどな?あいつら来ると平和じゃ無くなるからなぁ…」
「それよりも早く出てあげましょう?…どちら様でしょうか?」
ローズが扉の近くへと行き相手の名を問う。
「ご歓談中申し訳ございません。私はサフィア公国第2王女であられるルルティアーナ様の傍付きメイドのナナと申します。此方にユウキ様とリリア様がいらっしゃると聞き、ルルティアーナ様がお話ししたいと言われましたので、お茶のお誘いに参りました」
どうやら相手は俺とリリアに用があるみたいだな…
「すまんローズ、変わって。えっとナナさんでしたかね?お茶のお誘いは嬉しいんだけど、それは今これからなのかな?あっ、それよりも一旦入ってくれる?」
ガチャ、ドアを開きメイドさんを部屋に招き入れ話を聞く事にする。
「失礼致します。……っ!?…こほんっ、先程の質問ですがこの後で宜しければ是非、都合が悪いようでしたらまた後日都合の良い時間を伺って来るように申し付けられております」
一瞬間が空いたのはなんだろう?
「…どうする?」
「私は構わないですよ?ルル様と久し振りにゆっくりお話ししたかったですし」
「ん、任せる」
「ルビーはお菓子があるならいいよー♪」
「んー、私も別になんでもいいのです!あっ、マスターのケーキが希望なのです!」
「って事は決まりね…あなたに任せるわよ」
「そうだなぁ…ルルティアーナ王女はこの後の試合は見なくていいのかな?」
「はい。先程サフィア公国代表は無様に負けを晒してしまいましたので、この後は国王陛下が引き継ぎ観戦し、姫様は退席する手筈となっております」
このメイドさん毒舌過ぎない!?
「なるほど、それなら丁度俺からも話す事があったからお茶会の誘いを受けようと思うんだけど、場所はどこで?もし良ければ俺たちの宿泊してる部屋でどうかな?リラックスできる場所がいいんだけど…」
あまり変な場所を指定されても困るし…俺の要望が通ると良いんだけど…
「場所は未定でしたので、ご用意していただけるようでしたら有り難いです。それでは姫様を連れて参りますので少々お待ちください」
すんなりと俺の要望が通ったが、主人抜きで勝手に決めて良かったのかな…?
〜〜sideナナ〜〜
これはナナがユウキ達の所へと向かうちょっと前の事
「姫様、次の試合がサフィア公国代表の試合になります」
「えぇ、知っていますの…ただ彼は実力も無く運が良かっただけですの…サフィア公国の恥だけは晒さないで欲しいですの…」
ルルティアーナの願いは直ぐに打ち砕かれる。
「……あっという間に負けてしまいましたの…ところで…ナナ?この後私はフリーになるのですの?」
「予定ではそうなっておりますが…何か行きたいところがお有りですか?」
「そうですの!私はユウキ様にお会いしたいですの!」
あの日、ユウキに助けられてからというもの、何をするにしてもユウキの顔がチラつく…一度でいいからゆっくりとお話がしたい!今のルルティアーナの頭の中はユウキ一色に染められていた。
「はぁ…?確か姫様を豚野郎から救って下さった方でしたか?姫様はその方を好きになってしまったと?」
「そ、そそそその様な事は言ってないですの!!ただお話がしたいだけですの!」
この慌てようは間違いないだろう。
姫様はユウキとか言う馬の骨に誑かされている。
私がどんな輩か判断して、クズ男だった時は早めに始末しよう。
「では、お茶会をセッティングしてきます」
「え?ユウキ様が何処にいるか知ってるんですの?」
「えぇ、情報は得ておりますので姫様はお待ちくださいませ」
それだけ告げ、その場を後にした私は真っ直ぐに私の愛しの姫様を誑かしたクソ野郎の元へと向かう。
まさか自分の傍付きメイドがこんな事を考えているとは露知らず、ルルティアーナは「ユウキ様とお茶を…えへへ…」と頬を押さえとても幸せそうであった。
そして、ユウキと直接会って話したナナはルルティアーナを呼びに戻っていた。
ふむ、凄いカッコ良かったですね…姫様が一目惚れするのも無理はないです…あれは反則です。
仲間達と過ごしていて油断していたユウキは素顔のままナナと会話していた。
そのせいでまた1人犠牲者が出てしまったのだが、当の本人はこの事を話してもなんの話だ?と首を傾げるだろう。
「姫様、無事セッティングできました。場所はユウキ様達が過ごされている宿を使わせてくれるとのことです」
「本当ですの!?ナナ、貴方は本当に頼りになるですの…」
「いえ、私はあくまでセッティングしただけ…ユウキ様と良い感じになるためには姫様の努力が必要不可欠です…」
「そうですの…私頑張ります!さぁナナ!ユウキ様の所へと案内して欲しいですの!」
「はい、此方です姫様」
自分のメイドがユウキの事を様付けしている事に気づいていないルルティアーナ…
ルルティアーナ自身も舞い上がっていた為にメイドの変化に気づけていないのであった。
〜〜sideユウキ〜〜
ルルティアーナ王女が俺達の部屋に遊びに来た。
いや、仮にも一国の王女が男の部屋に気軽に遊びに来ていいのか?
「ルルティアーナ王女、すみませんが急だった為お菓子のストックがありませんので、今から作っていいですかね?」
「構わないですの!そ・れ・よ・り・も!!私の事はルルとお呼びくださいとこの前言ったのですの!」
「す、すみませんルル様…リリア!ルル様の相手を頼む!」
「え、ちょっとユウキさん!?はぁ…露骨に逃げましたね…すみませんルル様、ユウキさんは結構照れ屋なんですよ…」
「気にしないで欲しいですの…あんなユウキ様も素敵ですの…」
「え?ちょっとローズさん…これ…」
「えぇ、間違い無いわね…はぁ…やっぱユウキくんは縛り付けといた方がいいんじゃないかしら?」
「?どうしたのですの?それよりもリリア様!ローズ様!ユウキ様は何を作ってるの?」
「ユウキさんはケーキを作ってると思いますよ?さっきミスティちゃんが食べたいと強請ってましたので」
「リリア!その言い方は悪意があるのです!強請ったのでは無く、お願いしたのです!」
「ユウキ様はお菓子作りも得意なんですの?凄いですの…私は料理をした事がないので、尊敬しますの…」
第2王女として産まれたルルティアーナは家族から甘やかされ育てられた結果、身の回りのお世話はみんながしてくれる。その為着替え一つまともに出来ない。
「あはは…私も人の事言えないですね…」
どうやらこれは王族あるあるらしい。
「リリア様はどうしてユウキ様と共に?」
「私ですか?ルル様はアメジスティアが滅びかけたのをご存知でしょうか?」
「えぇ、噂で聞きましたの…大変みたいですの…でも、先程アメジスティア国王とお話しした時はお元気そうでしたの。国が滅びかけた方の様子ではありませんの」
「それはユウキさんがアメジスティアを救ってくれた事が大きいのです。魔神族を倒し、アメジスティアが直ぐに復興できるように便利な魔導具を作り、お父様に託して旅に出ましたので…私はユウキさんの案内役として世界を一緒に旅してるんですよね…」
「そんな事が…ユウキ様は凄いですの…」
その後、1時間程ガールズトークに花を咲かせているリリア達の会話をBGMにケーキを作り終えた俺は、手伝ってくれていたルビーとリンにお礼を言い、机へとホールのまま持って行く。
「わぁっ!今日はチョコレートケーキですね!」
「美味しそうなのです…マスター!私このいちごが沢山あるところがいいのです!」
「こら、ミスティ!お客様の前でみっともないぞ!すみませんルル様…ルル様?」
「…こ、コレをユウキ様がお作りに…?」
「え、えぇそうですけど…やべ!もしかしてチョコレート苦手でしたか!?」
「いえ!寧ろ大好きですの!!ですが…この様な美しいケーキは初めて見ましたの…」
「うふふ、ユウキくんはデザインも凝るものね…」
そうか?この世界のケーキがどんなものか知らないけど、元の世界で売られてたケーキを模倣してるだけだからな…あっ、ちなみに今日のケーキはガトーショコラです。
「マスター!早く切り分けるのです!待ちきれないのです…」
「はいはい…っと、んじゃお皿に移すな〜」
「!?今切ったのですか!?全く見えませんでした…」
「あはは、ナナさんもそんなに驚くんですね」
「し、失礼しました。あまりにも速過ぎて…」
「気持ちはわかるのですの…私もあの時の剣技を見ていなければ驚いていたと思うの…」
「それよりも、なんでナナさん座って無いんですか?こら!リリア達もなんで座らせなかった!」
「「「ご、ごめんなさい…」」」
「ったく…次はご飯抜きの刑だからな!」
「「「そ、そんな!?」」」
「当然だ!全く…すみませんナナさん、此方座ってください」
「い、いえ…私はメイドですので姫様の後ろに控えるのが義務ですので…」
「あっ、そういうの無しで!よっと…」
「きゃっ!?何を!?」
一瞬で背後に周り込、体術の応用で身体を動かさせ、無理矢理椅子に座らせる。
「俺にとって王族もメイドも関係ないですからね〜、ルル様も良いですよね?」
「もちろんですの!ユウキ様の言う事は聞かないとダメよ?ナナ」
「は、はい…畏まりました…」
こうして俺たちは全員仲良くお茶をするのであった。
ケーキを食べたルル様とナナさんが、フリーズして黙々と食べてたのが可愛かった。
美味しそうに食べてくれると嬉しいよねやっぱ…
次の更新は、本日21時予定です!




