第97話 予選二日目と思わぬ出会い
少し短めです…
翌日、予選第2回戦もバトルロワイヤル形式である。
何事も無く勝ち進んだ俺とリリアは早々に会場を去り、冒険者ギルドへと来ていた。
「いやー、今日も骨のある奴は居なかったなぁ…」
「ですねぇ…昔の私なら絶対に闘いたくない人ばかりでしたけど…今は張り合いが無くてつまらないですね」
「リリアがどんどんバーサーク気味になって行ってるのです…」
「ところであなた?なんでギルドへ来たのかしら?」
「ん、ご用事?」
「いや、不完全燃焼だったから身体動かしたくて…ちょっとした討伐依頼でも受けようかなって」
そう、俺とリリアは全然動いていない為、依頼でも受けて身体を鈍らせないようにしよう!という話になり、依頼を受けにやってきたのだ。
「ちわーす!モンドさん!何かいい依頼ないですか?」
「ん、こんにちは」
「おじちゃんこんにちはー!」
「ん?おぉ!お前らか!こんにちはだな!…いや、大会はどうした?まさか負けたのか?」
「んなわけ!速攻終わらせたのはいいけど、昨日から全然身体動かせてないから何か依頼受けたくて」
「…一応歴戦の猛者と呼ばれるような奴らが参加してるはずなんだが…まぁ、予選だしな…わかった!丁度良いのが合ったんだよ」
「おっ、ラッキー!どんな依頼?」
「東門から出てちょっと行った森の中にオークの巣が出来たらしくてな…こんな時期だったから依頼を受ける奴が居なくて困ってたんだよ」
おっ!やった!オーク!!初めて見るぞ!!
「了解了解!んじゃ、それ受理しちゃってください!」
「おう!頼んだぞ!」
「おーい!みんな決まったから行くぞー!」
受付嬢達とガールズトークに花を咲かせていたリリア達を呼び戻す。
「もう決まったのです?」
「何を受けるんですか?」
「オークの討伐だ!これぞ異世界…くっ殺騎士に会えるかなー」
「くっこ…?なんですかその騎士…まぁ、良いです…」
「確かオークの肉は美味しいんじゃなかったかしら?討伐後の肉はギルドに渡すの?」
「んー、そう言えば何も聞いてなかったな…」
「「「えぇ…なんで…」」」
どうやら呆れられてしまったらしい…
ルビーとリンも俺と一緒にいた為、2人して顔を背けていた。
「まぁ、とりあえず亜空間に入れて持って帰ってくれば良いでしょ?そこで討伐部位とか聞けばいいし!」
「まぁ、いいですけど…」
「ん、問題ない」
「ルビーも頑張ってブタやろう倒すよー!」
「オークの事をブタ野郎って…誰に教わったんだ…?」
たまにルビーが心配になる…まぁ、道を踏み外しそうな時は全力で止めるから問題ないか
「あっ!あの森じゃないですか?」
「ん、きっとそう」
東門から出てちょっと行った森…そう説明された通りの場所にあった。
いや、近すぎるだろ!?こんな所に巣ができるなんて異常だぞ!?
「また面倒くさい事起きてないといいけど…」
「さ、流石にそう頻繁に魔神族が絡んでるとは思わないわよ?」
「だといいんだけど…」
嫌だなぁと思っていたその時…
キャァァァァアッ!!!
森の方から女性の悲鳴が聞こえてきた
「ッ!!行くぞ!!」
「「「はい!(なのです)」
「ん!」
「あーい!」
「ミスティ!モード刀!」
「了解なのです!」
ミスティを刀に変え、森へと駆ける。
見えた!!あれは…貴族の馬車か…?
護衛と思しき人達がオークの一団と闘っている。
オークが軽く20体は居るぞ…
馬車は半壊…そこから女の子がオークに連れ去られようとしていた。
「…西音寺流抜刀術 初伝 無影ッ!」
一瞬でオークへと肉薄し、首を跳ねる…
「おっと…お嬢さん?大丈夫ですか?」
「きゃっ…あ、貴方は…?」
落ちそうになった女の子を所謂お姫様抱っこで受け止める。
「自己紹介はこの場を切り抜けてからにしましょう!首に腕回してもらえます?そしたら舌噛まないように黙ってなよ!」
「は、はい?」
怒りの咆哮を上げた数匹のオークが、俺に向かい走って来る。
それ以外のオークは仲間達が対処してくれているが、何故かこっちを睨みつけてる。え?なんで?
「雷光発動…西音寺流抜刀術 中伝 刹那…じゃあな豚野郎!!」
自分が斬られた事すら気付いかず絶命したオーク達がバラバラに崩れ落ち肉片と化す。
チラリと周りを確認するが、他のオークも片付いたようだ。
「ふぅ…とりあえず一安心だな…おっと、すみません…大丈夫でしたか?」
「は、はわわわ…だ、大丈夫ですの…ありがとうですの」
で、ですの?
また変な子が現れてしまった…
「ひ、姫様!!ご無事ですか!?」
「えぇ、此方の方が守ってくださったので平気ですの」
「な、なんと御礼を申し上げたら良いか…とにかく助かりました!」
「いえいえ、俺達は丁度この森のオークを狩りに来たので…それよりもあなた方は…?」
「私は、ここより東に位置するサフィア公国の第二王女…サフィア・エマ・ルルティアーナですの!貴方のお名前は?ですの!」
ヤバイ頭抱えたいんだけどいいですか??
軽い頭痛を覚えながらも、見捨てる事はできなかったし仕方ない…
「お初にお目にかかります公女殿下…俺の名前はユウキと言います」
「ユウキ様ですの!私の事はルルと呼んで欲しいですの!」
「…ユウキさん??どうしました?」
「おや?貴方はアメジスティア王国のリリア様ですの?」
「えっ!?あっ、ルル様じゃないですか!お久しぶりです!お元気でしたか?」
えぇ…リリア知り合いだったんだ…
またややこしくなりそうだ…
魔神族の気配はしない。だが、もっと厄介な人物に遭遇してしまったのかもしれない…
明日の更新は祝日なので2話更新になります!
1話目は正午になります!




