変態行き新幹線
俺は気絶していた。
気が付くと俺は広い部屋にいた。
あ、これ知ってる。
また天使が出てくるとこだ。
「素晴らしいです! 素晴らしいです! 最高に笑わせてもらいました! まさか童貞喪失と同時に処女も喪失なされるとは!」
俺は無表情で天使にドロップキック。
天使はその場でもんどり打って倒れる。
俺はルチャドールのような動きで起き上がると、天使の神をつかんで引き起こす。
そのまま腹にヒザ蹴りを入れる。
「げぶ!」
天使の悲鳴などお構いなく、俺は天使にタイガードライバーをかける。
死ね! 死ね! この場でぶっ殺す!
「どば!」
天使は部屋に床に突き刺さる。
俺はそのまま背中にキック。
刺さった天使を引き抜いて持ち上げる。
「ちょ、ちょっと勇者様! マジで死ぬから! まじでし……」
俺はそのまま天使を抱え、落とす。そして落下の途中でパイルドライバーに変化する。
スタイナー・スクリュー・ドライバーだ。死ね! マジで死ね!
天使はピクリとも動かなくなった。……だったらよかったのに。
「ふう、それで……用はなんだ?」
「……」
よし、タマ潰して起こしてやろうか。
「わ、わかりました! 謝りますから! ねえ、謝りますから!」
「てめえ、ヒロインは猫耳奴隷って天地創造の時代から決まってるんだよ! 男装の性欲魔神じゃ決してねえ!」
「だが新しい世界の扉が開いたでしょ!」
ぼぐッ!
顔面を殴る。普通に殴る。後頭部の10センチ後ろを貫くように殴る。
「げぶ! や、やめて! それ以上の暴力はやめてー!」
「次やったら脳みそ指でえぐるからな!」
「でも勇者様。真鍋さんは嫌がりませんでしたよ!」
な……んだと!
「真鍋さんは、勇者様の前世の顔にわざとなっておられるのです!」
「な、なぜそんな酔狂を……」
ガクガクブルブル。
「それは……催眠術を操る体育教師と時間を止める数学教師こそ至高だからです!」
「な、なんだってー!」
なんということだろう。
俺は知らぬ間に某アンリミテッド読み放題にたくさんあるエロ漫画ルートに入るのを恐れていたのだ。
「真鍋……パイセン」
俺の中で真鍋は神になった。
真の漢がそこにいたのだ。
「それに……エリザベス様とは前世からのご縁。断ちきることなどできません」
「どういうことだ……」
「本当だったら前世で出会い、結婚し、子どもをもうけて、年に二回は某大型同人誌即売会に親子で行く幸せ家族になる予定でした」
「生々しいなおい」
「ところがエリザベス様は腐の道を極めんと欲して、同人誌即売会前に過労と栄養失調で死亡。勇者様も過労死なされました。そこから世界の歪みは始まったのです」
「なんなのそれ! 俺たちは世界の調停者かなにかなの?」
「いえいえ、貴方様の間にできるお子さまが新時代の予言者だったのです。アニソンが聖歌と化す新時代のね……」
「ねえ、嘘だよね? マジで嘘だよね?」
「まっさかー。神様は元の世界を『なにこのクソゲーもういらねえや』って世界を壊し転生させたわけです」
うがああああああああああッ!
申し訳ない! マジで申し訳ない!
俺たちのせいで世界が滅んじゃうのねー!
「というわけで、はい、新しい世界でさっさと予言者作ってください。はいはい、ゴーファイ!」
「てめえざけんな!」
俺の手は空をつかんだ。
つまり仕組まれていたのだ。最初から神に仕組まれていたのだ。
ド変態とくっつくように。
「あ、あと、クラスの女生徒ですが、他の廃棄された世界であなたとくっつく予定の人たちです。勇者が産まれる予定ですのでハーレムお願いしますね。ではごきげんよー」
ちょ、お前ざけんな!
マジでざけんな! なにその人権無視!
だが俺の叫びは天使に届くことなく俺の意識はブラックアウトした。
「ふふふ、かわいかったよ子猫ちゃん」
エリザベスパイセンが上機嫌で俺をなでる。
「神にはめられた……」
「なにか悲しいことがあったのか? それなら私の胸で泣くがいい」
お前のせいじゃ!
半分はお前のせいじゃおっぱい。
……抱きしめられた。
さてさて、その後。俺はパンツ一丁で合流地点に戻る。
すると仲間が温かく迎えてくれ……。
「真鍋くん……誰その女の子」
「第一王子」
「くそ、真鍋! どんなエロいことをした」
福本が俺の首輪をつかむ。
答え。口にできないくらいエロいこと。
「私は真鍋の愛の奴隷」
「エリザベスパイセン。ややこしくなるのでマジで黙ってください」
「真鍋くんのえっちー!」
違うと言いたかったが……違わない。
「真鍋! なぜ黙る! ……許さない。俺はお前を許さない!」
福本……うっさい!
こうして俺たちは王子をゲットしたのである。
そういや火炎放射器使ってない。
そして全員が落ち着いたあと、エリザベスが第一王子とみんなが納得し、相談をすることになった。
「いいよ。みんなの安全を約束しよう。ただし条件がある」
エリザベスはあっさりと承諾した。
嫌な予感がする。
「なんだ?」
ごくり。俺はつばを飲んだ。
「私を孕ませろ」
「だからなんでそういう話になるのー!」
「ああ、我らの子は確実に王になる」
「弟が二人いるだろ?」
「あー……あのな、次男は私と同じで女の子。三男はなんというか……昔から筋肉質の男奴隷に……」
「ストップ。事情はわかった。兄弟もかわいそうだから自由に生きさせてやろうな」
「うむそうだな。さすが婿殿はよくわかっている」
俺はみんなを見る。
はいはい! ハーレム作ればいいのね!
エリザベスは変態なところ以外は嫌いじゃないしね。
「もしこの計画が気に入ったら、女装してダブルピースしながら『お姉ちゃん、も、もう、らめ! おねぎゃいしましゅ!』って今夜言ってくれ」
「お前、本当に殴るよ。男女平等パンチしちゃうよ」
「ふふふふ……婿殿。君は案外甘いから最終的にやってくれるはずだ!」
「やーめーてー!」
もう取り返しがつかない。
変態行き新幹線に俺は乗ってしまったのだ。




