【第七話】田中
オニューの制服を手に入れた僕は絶好調だった。
晴れた今日は昨日できなかった屋上から下界を見渡し悦に入るという暇潰しもできた。
そんなわけで朝から僕のシャベルは全開だ。
振って殴って刺して貫く。
一体二体三体四体、と僕は次々に二階のゾンビィーを駆逐していく。
そんなこんなを続けてる一時間ほどで二階のゾンブゥーを全て駆逐。ちゃんと女子トイレと女子更衣室もバッチリだ。
一応男子トイレもちゃんと見た。
二階を駆逐し終わり防火シャッターを閉めて一階との階段を封鎖。
これで大分この学校も平和になった。
というわけでテンション高々な僕は一階の掃除に向かいました。
一階はいままでの中で一番ゾンビがいる階だ。
といっても連日細かな清掃活動の甲斐もあり校舎内だけで言えばこの一階には残り二十体ほどのゾンビしかいない。
そして僕のテンションならそのくらいのゾンビなどイチコロさ。・・・・・・とそう思っていた時期が僕にもありました。流石に二十体はきついです。テンション高々な僕は「ぬおおおぉぉぉぉぉぉぉぉッ」と雄叫びをあげながらシャベルを振り回して真っ正面から突撃したのだけど、
僕の雄叫びがあまりにも勇ましかったから、ほとんどすべてのゾンビが僕の存在に気付いて臨戦態勢を取りやがりました。はい。
いや、別にそれだけならばまだ想定内だ。
僕のテンションならやれる。そうおもっていたのだけど。
一番に来た中年男性ゾンビを柄で殴り、姿勢を崩し露にした首筋を一閃し瞬殺し、続き来る小学生男子ゾンビを蹴りで怯ませ頭をシャベルで貫く。抜きながらゾンビを脇に捨て、更にくるゾンビたちを捌いていく。
僕の記憶が正しければ7体のゾンビを倒したはず。
そこから先はちょっと曖昧。
8体目のゾンビがクラスメイトだった。田中だったか中田だったか忘れたけど良く話した友人だった。
ギャルゲの親友キャラに憧れていつも女の子の情報を集めていた。ただ残念。彼には親友と呼べる友人がいなかった。
そんな生殺しのその情報(生写真)を高値で取引をしているやつだった。
・・・とても良いやつだったのに・・・・。
因みに、彼の頭を叩き割ってから彼の生前を思い出した。因みの因みにだ。
僕はまた発狂した。
毎度のことながら発狂した僕は割りと暴走する。バーサーカー状態だ。荒ぶっている。
記憶は曖昧なのだけど、たぶんシャベルをブンブン振り回しながらゾンビを屠っている。
そして毎度のことながら突然のように止まる発狂。
瞬間に我に帰るとそこは窮地という有り様だ。
我に帰った今現在何故か掃除ロッカーの中にとじ込もって、その回りを10体ほどのゾンビに囲まれていた。
一体何をしたらこんな状況になるのかと、ちょっと自分を問い詰めたい。
しかしながらバンバンバンバンとロッカーを叩く音がすごくうるさい。というか、ロッカーが凹みだしている。このままだと直ぐに壊されてしまう。
打開策を考えないと間も無くあのゾンビたちに美味しく食されてしまう。
だけど、あれだ。こういう状況にも馴れたな。
まさかこんな危機的状況下で取り乱さずにいられるなんて・・・。
直前まで発狂していた僕が良く言えたものだ。
「さて、と」
外にいるのは10体程度の筈だ。なら・・・
「出ようか」
バンッ!!と勢い良くロッカーの扉をゾンビごと蹴破った。
扉の前にいたゾンビと右側にいて扉に当てられたゾンビは揃って倒れ込む。
僕は直ぐ様ロッカーから低姿勢で飛び出し状況確認。
倒れたゾンビが五体に立ったゾンビが四体。
それ以外に伏兵はいない。
僕は発狂しても放さなかったシャベルをいま尚立つゾンビ目掛けて降り下ろす。一体。
降り下ろした姿勢のまま襲ってくるゾンビの足をシャベルで掬い上げるように突き刺し地面に倒し、その勢いで起き上がると同時立った残り二体の頭をシャベルの平面で叩き地面へ叩きつけた。あとはザクザクザクザクと地面を掘るようにゾンビの首を切断していく。
そうして最初に倒れたゾンビがのそのそと立ち上がる前に頭をぶっ叩き再び地面へ。そうしてザクザクだ。
「・・・・・・ふぅ」
袖で額の汗をふく。
一緒に返り血も拭き取る。
「んーーー、もういないかな?」
辺りを見回してもゾンビの姿はない。
アレだけ音を立てていたのに集まってこないとなると本当に一階にはゾンビはいないようだ。
取り敢えず状況確認も含め一階を徹底的に調べよう。
僕は一階の状況を確認しながら歩く。
この学校を安全にするのなら一階の窓はどうにかしないといけないな。
鉄板でもあればそれを打ち付けたいけど、たぶんそんなに数があるわけでもないだろうし木材でも打ち付けよう。
そんな風に確認しながらゾンビの残りがいないかも確認する。
まあ、いなかったが。
確認が終わればお昼近くになっていた。
取り敢えずお昼ご飯を食べて、そうしたらバリケードとか窓板とかいろいろしよう。
そうして残りの半日をかけて僕は学校の防御力を上げたのだった。




